脳卒中の後遺症には『コミュニケーション障害』があります

脳卒中によるコミュニケーション障害の概要

脳卒中の後遺症には運動機能や言語中枢の障害が有し、また言語障害のタイプには(失語症)(構音障害)が有ります。

言葉をスムーズに発生する事が困難な状態、及び意味不明な声音を発する状態を示します。

意思疎通が困難であると精神的にストレスが生じてコミューケーション障害(コミュ障)の他’うつ病’を発症する事も有ります。

予後にはリハビリを行われ個人差にもよりますが改善するケースも少なくありません。

周囲の無理解によって出にくい言葉に対して急かしたり、嘲笑したり、罹患者に執拗な態度で接する事で、発声に恐怖感が芽生え結果リハビリの進捗状況にも影響し、むしろ症状悪化を招く症例も有ります。
この事は言語中枢と知能や記憶の障害が併合している脳性麻痺とは異なり脳卒中の場合、思考能力や感情は正常である事を意味します。
従って多くの罹患者は「もどかしさ」「イライラ」「不甲斐無さ」を感じています。
運動機能障害も加わったケースでは体の自由も奪われる事に成る為、自ら命を絶つ計画を内心思い起こす事も有ると云われます。

リハビリに於いての留意点は当人に「孤立感」「ストレス」を出来るだけ与えない配慮が必要です。
悪意の無い言葉でも家族・周囲からの感情的な言葉(何故解らないのか?しっかり話せ!)に対して心萎える場合もあり家族・周囲の人と罹患者も険悪な状態は双方にとって不幸な事です。

先の様な失敗を回避する為、言語障害のリハビリをサポートする側には最低限必要な知識が有ります。
基本的には最初はペースをゆっくり行い会話の受け答えはスローで行います。
但し相手は成人であるので人格への尊重を留意し良好な関係構築が必要に成ります。

point「話し掛け」「話を聞く」「その他」

話し掛け
話始める事を伝える 話の内容を理解する事に遅延が生じている患者に対しては話題に入る前に注意を向けられる様にします。
短文でゆっくり、はっきり話す 連接語の多用により主部と述部に距離が在る場合、話の核心がぼけてしまう事もあり、能の症状によっては理解出来なく成る事も有ります。普段の対話よりスローに、口を大きく開いて明朗な語り口調を意識します。
具体的表現に努める 抽象的な表現では患者の意識が想像に偏り話が耳に入らないケースもあります。
患者本人の意向を含めた内容を優先 話内容が事務的な事柄だけに収まると会話に対する患者の応答も機械的に成に収まり、マンネリ化した話への集中力は減退が予想されます。
普段患者の使いなれた語り口で話す 年齢層、地方、職業によって対話形式が異なり対応出来る範囲で口調を合わせる事による潤滑油的役割として有効。
必要に応じて絵,ジェスチャー、実物を見せる等して疎通を図る 右脳や左脳、各々に適切な刺激を与える程度成ら、リハビリとして有効です。
理解されない部分は再度試みたり表現を変えたりして工夫する 2,3度同内容を試行しても患者が理解出来ないケースでは、話し方や表現を工夫して核心部分の理解に努める。
唐突に話の脈略から逸れない様にする 失語症の場合外界からの刺激を能で反応する為に普通の場合と比較し多少遅延する事もあり、話題の変化に追い付けない場合もあります。
重要な事柄は予めメモに書いて患者に渡す 認知症の場合、進行中の事象には対応出来ても一定時間の経過と共に失念する事があります。その場合メモ出書き残して記憶想起し易い様に対応します。
話の聴き方
患者ゆっくり話せる様な環境作り 聴き手の看護側はスムーズな答えが返って来ない場合も冷静に対応し感情的な素振り(性急さ)を露骨に表さない様に注意する。
言語上の小さな間違いを神経質に指摘又は嘲笑する様な態度を避ける 特に聴力が正常な場合は患者自身、吃音や発音への違和感を認知しており心を痛めている事が多く、傷に塩を塗る様な反応からは回復意欲減退などデメリットが多いと思われます。
(yes)(no)で判断出来る様な対話が必要 標準程度の理解度が保たれているケースでは、意思疎通の手段として解答や質問を簡略化させ負荷の掛らない対話形式が望まれます。
空間や患者の様子を察知して適切な対応を心掛ける 患者の表情に注意を向け、過度にパターン化した対応は避ける必要があります。叉、早合点や話の腰を折る様に先取りしたりする対応も避ける事が望まれます。
言葉だけに依存しない 口頭だけで無く、伝え方、答え方に色々な工夫を加えます。
患者に達成感を実感させる様にする リハビリの成果は純粋に評価して、患者が張合いを持てる様にします。
無理に強要する事を避ける 患者本人の体調など配慮し、リハビリを強制したりはしない。
その他

励まし方も程度を超えては、むしろ患者には過度なプレッシャーを与え萎縮する場合があります。
看護側は臨機応変に配慮する必要が在ります。
患者による自発的な語り掛けは「自分の言葉で意思疎通を図りたい」という根本的意図が在り、その事を無視して周囲の者が患者の意見の先取りし時間的制約だけを重視する在り方は推奨されません。
失語症の症状には個人差があり、安易に一般的症例との比較は有効ではありません。

また、安易な激励(必ず治る)等の保証や曖昧な声掛けも結果的に望まれません。
脳卒中の複合的後遺症として言語中枢に加え(全・半)身麻痺など運動機能の喪失と言った症状を有す事もあります。
この状態では筆談や文字盤での意思疎通も困難で在る為ジャスチャ―や絵カードを用いて疎通を図れる様治療側には考慮する必要がります。
現在では患者の目の動きや口の微細動き等と連動させ信号化させ人口音声によるコミュニケーションを図る医療機器もあります。

失語症には‘ひらがな’の理解困難と云う症例として存在し、対応としては漢字で書かれた(汎用性の高い)単語カードを用意し意思疎通を図る方法もあります。
全失語症の場合、(聞く)(書く)(読む)の能力を失う状態です。
この場合での対話はどうしても一方通行に偏る傾向があります。
過剰な話しかけは患者の負担が増し思考混乱を発症させる可能性も想定され専門的なアプローチが必要に成ります。

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