うつの原因は何でしょう

「うつ病は心の風邪」という表現はうつ病に関するこのたとえとして、よく耳にしますが、患者本人たちは全く風邪とは捉えていません。
数日で治る風邪とは比較にならないほどつらいのです。
とは言え、このフレーズのおかげでうつ病という精神疾患が世間に定着したことは確かです。
かつては何か特別な人がかかるものと言った印象があったが、最近では誰もがかかる可能性があると認知されています。

では、「うつの原因は何でしょう」と問うと誰もが言下に応えるのが「ストレス」です。

ストレスとは stress と言う英単語でして、英和中辞典によると

1.不可算名詞 [具体的には 可算名詞] (重みでかかる物理的な)圧力,重圧 〔on〕
用例 the stress of a roof on a beam 梁(はり)にかかる屋根の圧力
2.不可算名詞 [具体的には 可算名詞] (精神的な)圧迫感,ストレス,精神的重圧
用例 suffer from the stress of city life 都会生活のストレスに悩む
3.不可算名詞 [具体的には 可算名詞]
a.圧迫,強制
用例 under the stress of poverty [overwork] 貧困[働きすぎ]のために
b.緊迫,緊急; 緊張
用例 in times of stress 非常時に

となっています。

確かに「現代はストレス社会」と言うフレーズは、1960年代の高度成長時代から使われていますし、精神疾患が漠然とノイローゼとか神経衰弱と言われたころからそれらの原因の筆頭でした。

ストレスという言葉自体は上記のようにもともとは物理学や化学の分野で使われていた「ひずみ」を意味する概念でした。
それが医学や生物学の世界でも使われるようになり、今では精神的な分野で使われることが多くなりました。
ですので、この稿で使われるストレスの意味は「心に受けた刺激によって起こる精神的緊張」もしくは「外圧に抗して身体が持ちこたえようとする防御反応」とします。

その種類は以下の4つに大別されます。

  • ◎音や熱、暑さ寒さ、病原菌などのような物理的なもの
  • ◎空腹や痛み、熱などのような身体的なもの。
  • ◎怒り、悲しみ、困惑などのような心理的なもの
  • ◎人間関係や仕事、経済的な事など社会的なもの

また、ストレスを受ける期間の長さから「急性ストレス」と「慢性ストレス」とに分けて説明される事があります。

  • ◆避けがたい急性のストレス:土砂崩れなどの自然災害や、個人の力ではどうすることのできないような人災など。
  • ◆ある程度は予測可能な生活面での出来事によるストレス:入学試験・就職・出産・卒業・進学・転勤・離別などの、いつかやって来るであろうという出来事で、その時期もある程度は予測可能な事どもです。
  • ◆日々の暮らしの中におけるいらだち:家庭内の小さなイザコザ、近所とのイサカイ、職場での人間関係、仕事上の問題など。

このように挙げてみると、我々の身の回りにはストレスの元になるようなものがいくらでもある事に気づかされます。

それではストレスを受けた場合、ヒトはどのうように反応するのでしょうか。

今から70年ほど前にカナダの生理学者セリエがストレスに対する身体の反応として以下のような3つの段階を考察しました。

  • まず、最初にストレスにさらされた時に、そのショックによって抵抗する力が少し落ちます。
  • 次にそのストレス状態が続くと、神経や内分泌・免疫系が働き、そのストレスに打ち勝とうとするため、通常よりも抵抗力が高まります。
    この時期を抵抗期と言います。
  • さらにストレスが長引くと、このうような抵抗力も疲弊して,心身ともに追いつめられ、状態が悪化し、病気になったり、最悪の場合には亡くなってしまいます。

「抵抗力も疲弊して,心身ともに追いつめられ、状態が悪化し、病気になったり、最悪の場合には亡くなってしまいます」と言う「病気」の中にうつ病がある事は間違いありません。

かつて、うつ病を扱った番組がありました。

その中で人為的にうつ状態を作り出す実験がありました。

ゼブラフィッシュの水槽に天敵の魚を入れると、最初は逃げ回りますが、水槽と言う閉ざされた空間の中では逃れようがありません。
やがてうつ状態になって動きがなくなりました。
閉ざされた時空間の中で生きる人間の運命を彷彿させます。

人気の記事

サイトリンク

免責事項