双極状態(そう・うつ症状)が悪化すると

双極状態(そう・うつ症状)が悪化すると両症状の悪化が際立ち、罹患者本人にとっても大きな負担と成ります。
そう状態下では悪化・進行しても基本的には気分爽快ですしかし、普通受け流す程度な事柄に対しても胆力を失い感情的に成る特徴が在ります。
振り子運動と同様、片方の症状悪化は他の症状の悪化へと連動します。
治療はこの揺れ幅を小さく成る様に指導する事が目的で一見して快活な躁状態を単純に完治とは評しません。

そう状態の悪化に於ける主な例

  • 目的無く徘徊を繰り返す様に成る。
    認知機能障害とは異なり空間的誤認知の症状は無い。
    夜半大声で虚勢を発する言動も現れる。
  • あちこち電話を掛け周り長時間通話とも相まって通信料支払いの負担が増す。
    その他、高額な商品購入で請求に困る。
  • 早朝起床しても疲れ知らずの状態を維持出来るが基本的に睡眠障害状態に近い。

うつ状態の悪化に於ける主な例

  • 意気消沈状態でなかなか布団から起き上がる事が出来ない。
    意欲・興味・関心事が減少
  • 食欲不振に成り栄養状態が悪化する。
  • 不眠症に掛る。
    睡眠導入時に目が冴え、睡眠自体(REM症状)浅く翌日に疲れを引きずる。
  • 更に症状悪化が進行すると自傷行為、及び自傷行為を試みる様に成る。

暴力

進行した『そう状態』には誇張した表現や言動が目に尽きますが、他者への物理的暴力行為もその症状の一つと成り得ます。
家族や周囲の人は何がきっかけで罹患者が暴力に及ぶのかを見極める必要があり、その理由が理不尽な事柄であっても対応を考慮する必要が在ります。
原因究明し回避出来る事柄である場合ならば、罹患者から遠ざける工夫で暫定的に解決を図る事が出来ます。

しかし個人や家族など周囲にとって手に負えなく成った場合では主治医に緊急入院手続きをお願いする事に成ります。
パニック障害など離人症とは異なり躁状態の時、またはうつ状態の時の記憶は残ります。
従って自らの言動に違和感や嫌悪感で苦しみます。

[処置入院]は緊急入院と類似点が在りますが根本的に入院の定義が異なります。
まず請求者が個人や家族では無く行政機関が直接、罹患者に命じます。
また、行政からの退院認可が下りるまで強制入院は原則解かれる事は在りません。
実際には処置入院行使の対象は極めて限定され、罹患者が過去に違法行為を起こし結果、事件化し広く社会に影響を与え且つ、本人の刑事責任が問えない場合などに対象が置かれます。

仕事

双極障害は一定期間入院し適切な治療を受ける事によって、かなりの確率で症状改善が望めます。
しかし再発率も極めて高く(9割近くが再発するとも言われる。)
主治医の判断に寄らず罹患者が勝手に薬の服用を停止したり、仕事復帰など行動に移す事は賢明では有りません。

また、再発の繰り返しは病相間隔を狭める(急速交代型)傾向があり、コロコロ変わる心情に職場関係者との信頼関係構築に取ってもマイナス要因にしか繋がりません。
結局、離職する事に成り、この事は精神面にも悪影響しか与えません。

アドネラリン

興奮や憤りなど小さな日常のストレス溜め込む事により交感神経が闊達に成り、脳内の分泌物質にも影響を与えます。
脳内分泌物質のノルアドネラリンが過剰分泌される様に成ります。
これらは体を緊張や興奮状態にする働きを持ち、血管収縮や過呼吸などにより血圧を上昇を促します。

ストレス高血圧

ノルアドネラリンの役割

本来ノルアドネラリンの役割は生命維持に際し危機状況の際、脳内で分泌させアドネラリン(手・足の筋肉や臓器に俊敏に動く様に信号を発する物質)を働かせる役割があります。
主に血液を末端に収束させ胃腸など消化器を収縮させます。

分泌物質の生成過程

チロシン(口から吸収するアミノ酸の一種)が分解合成⇒交感神経内で[ドーパミン⇒ノルアドネラリン]生成⇒副腎皮質内で[アドネラリン]の順序で生成されます。

アドネラリン

甘え/原因

個人の性格上、好き嫌いはあっても、好きな事・嫌いな事問わず、以前は興味があり自発的に追及していた事柄も突如関心が薄まり、ただ単に布団に潜り込んでいる事を望み、食欲も含め生きる為の最低限な欲をも失った状態を想定すると精神衛生上、普通な状態では無く単なる甘えや反抗期と言った通過儀礼的な心の変化などでは無い判断出来ます。

また、性別や年齢と言った属性は『そううつ』の発症には関係がない事から考えると精神上(正常な能の働きが何らかの理由で阻害されている)の問題と考える方が合理的です。
脳内分泌物質の適正化の為の投薬治療及び、環境など阻害要因が可能な事柄ならは取り除き、無理な場合は回避措置、または軽減措置を執って再発しない様に(演習)リハビリ等を通して本来の正常な状態へ徐々に修繕していく方法が採られます。
従って抑うつ症状(うつ症状)の治療と部分的に似ている所があります。

しかし、『そううつ』は、『そう』状態という異常性もあり、『うつ』状態とは双極を成しています。
ちょうど「山高し、谷深し」の関係を成しています。
その意味から治療では心の状態を低い山・低い谷の方向へ向けて投薬治療(薬投与の適正化も含まれる)を行われます。
最終的な目標はドーパミンやセロトニンが適正に分泌された状態に相当する心の平地を再構築する事に尽きます。

『そううつ』や『うつ病』の類は病識が無いと「気合で乗り切る」などと、方向違いの精神論を持ち出す人は世の中には多く存在しますが、この事は結果的に症状を放置して置く事であり、症状悪化に伴い慢性化に至るケースも少なく有りません。
自傷行為の延長線上に実際に命を絶つ人もいます。
他の病気同様、早期治療が寛解(又は完治)の可能性が増し、予後効果も良く、比較的短期間での治療で回復出来ます。
再発の繰り返しは再発期間を徐々に狭め、ラピッド・サイクラーと化します。

治療

そううつ薬物治療
アドネラリン

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