統合失調症と認知機能障害

認知機能とは記憶・思考・理解・計算・学習・言語・判断などの知的能力を網羅した表現です。
統合失調症の場合、陽性・陰性症状が発病する事で、認知機能の一部に障害(認知障害)が現れ日常生活又は社会生活に支障が出る場合もあります。

認知障害の症状

選択的注意の低下 情報や刺激を選択し、時には注意を払う。
優先順位を付けて柔軟に事に当たれない。
比較照合の低下 体験知との対比・応用が反映し言動に生かせない。
言葉の中での比喩など連想付けが出来ない。
概念形成の低下 物事をグループ化し分類が出来ない。
整理整頓や手際良く作業が出来ない。

統合失調症と認知機能の障害とは症状自体類似点が多く専門家の間でも判断が難しいと言われています。
この曖昧な状態を《認知障害との合併》と表現に留めています。
統合失調症の進行に伴い能の萎縮や神経系の組織の異常などが外科的に証明された場合は認知障害である事を客観評価できますが、健忘の症状一つを取っても障害が心因性によるものかどうかの判断には一定の時間経過を必用です。

認知機能障害の中でも統合失調症・陽性症状と誤診しやすい疾患は《レビー小体型認知症》です。
この症状は妄想や幻聴症状を引き起こす事が多いのが特徴だからです。
レビー小体という特殊なタンパク質が脳内の神経系などに付着する事で機能障害を発症させます。
他方、統合失調症・陽性症状の方は脳内分泌物質の暴走で神経系に於いて情報伝達にオーバーフローが生じて発症する疾患です。
従って双方は障害原因が異なりますが問診など症状確認だけでは適正判断は難しいと思われます。

レビー小体の付着先は大脳皮質(思考中枢の場所)・脳幹(呼吸による酸素及び血液などの循環機能を司る場所)です。

性別比較から男性の発症割合が女性の場合と2倍近く高いと言う特徴があります。
発症年齢は65歳以上の高齢者に多いのが特徴ですが40歳以降の(早期)中年層にも発症するケースがあります。

逆に女性の発症率が高いのが《アルツハイマー型認知症》です。
アルツハイマーは新しい記憶に健忘を生じさせる特徴があります。
海馬と言われ記憶を司る皮質に病変が生じる為に発症します。
又一般的に発症は治療開始との間に開きがあり、数年前から海馬以外の場所に病変が現れているケースが多いと言われています。
病変の原因はアミロイドβやτ(タウ)と呼ばれる特殊タンパク質が溜まる事によって能神経細胞などを破壊する為に発病します。
進行すると能の萎縮と共に身体機能にも影響があり、加えて妄想・幻聴症状も現れる事もあります。

物忘れは健常な人も経験しますがアルツハイマーの健忘とは根本的に違いがあります。
例えば約束を他の雑多な出来事に紛れて失念するなど、それを指摘されて直ぐに想起出来る様な場合は単なる物忘れであり認知機能障害には相当しません。
アルツハイマーでは約束した事自体を忘れる様な症状を言います。
又、日常的な基本的な所作や面識の有無など 比較的頻繁に更新される記憶を初め、病症進行に伴い古い記憶にも影響が現れます。
家族や周囲が異変を感じるのは大概は上記の様に重症化した後だと推測できます。

情報伝達の神経細胞のドーパミンニューロンが何らかの理由により減少する疾患の事です。
健常な人でも10才歳を取るごとに10%程の割合でニューロンの数が減少します。
二十歳を100%とすると100歳(80年後)には20%程に成りこの状態がパーキンソン病との境界と成ります。
特徴は《老化現象》物忘れが増加・物覚えの悪化・行動がスローに成る・前かがみで歩行・転び易く成る・心身に震えが現れる。
従って若年性アルツハイマーとはドーパミンニューロンの減少(破壊)が年齢と対比して高い状態を指します。
現在の医学でもニューロン減少の原因が特定出来ない為、克服には至っていません。

レビー小体型認知症 アルツハイマー型認知症
困りごと・生活障害 主に注意意障害・視覚認知障害 主に記憶障害
幻聴 多い 少ない
妄想 嫉妬妄想(幻視による) 物取られ妄想(記憶障害による)
徘徊 少ない 多い
認知機能の変動 あり なし
睡眠障害 REM睡眠行動障害に伴う睡眠障害 単純な睡眠障害
パーキンソン症状 多い 少ない

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