統合失調症と電気痙攣療法

電気痙攣療法と云う一種のショック療法歴史が長く抗精神薬治療以前からありました。
この方法は薬物療法が発見される以前の治療法で、多くの人々は脳の通電させる方法は一見物騒な印象を持っています。
実際に過去の治療方法には幾つか問題がありました。

現在では下の表の様に医療技術の進歩と治療前後に於いて患者の状態把握に多くの手間を掛けて実施されています。
但し費用対効果の関係から抗精神薬代効かないケースや寛解(安定した症状の維持)での終了に満足できない患者等の強い希望など特別ケース以外は一般的に敬遠されている方法です。
電気痙攣療法は診療医師の他、専任の麻酔医師の管理の元、より安全性の高い方法で実施されます。

他方、一部の専門家の間では能に電気を通す事に疑問符を持つ専門科が少なからず存在します。
しかし長期における治療歴に基づいた改善に高評価する医師は投薬治療と併合たり、抗精神薬治療に不向きな患者に対してむしろ積極的に実施する診療機関があります。
電気治療の概要は通電治療の方法は患者に全身麻酔をかけ睡眠状態にし、患者本人には苦痛を与えない様に考慮されます。

又、幾つかある電気治療の中でより進歩的方法では筋弛緩剤によって通電による全身痙攣は発生させない方法もあります。
加えて医療技術の向上により安定出力の短波パルスを発生させる機材《定電流短パルス矩形波治療器》が用いられます。

『治療方法』

  • 修正型電気痙攣療法
  • 無痙攣電気刺激療法
  • 無痙攣電撃療法

『電気痙攣療法の手順』

治療期間:概ね2~3回/週を3~4週実施します。
患者の状態が通常の場合はンフォームドコンセントを行い今後の治療の検討に生かします。
緊急の場合は対話が不可能で在る為、実施しない事もあります。

  • ①特殊な方法である故、患者本人、及び家族に同意を取ります(電気治療に於ける長点・短所の説明)。
  • ②患者本人への各種身体検査(レントゲンやCTで脳内チェック)
  • ③治療の前は食事は摂らせず点滴をします。
  • ④基本的に別室(手術室など)で行う為患者の心理的変化が認められる場合は中止そます。
  • ⑤血圧・心電図・体温などで体調をチェックします。
  • ⑥麻酔中での呼吸は酸素マスク着用します。
  • ⑦麻酔医師が10分程度の全身麻酔と筋弛緩薬の静脈注射を打ちます。
  • ⑧精神科医は100vで5分間を患者の脳に通電させます。
  • ⑨脳波計で状態を確認(通電前後の状態変化の確認)
  • ⑩約1時間、患者の状態はボンヤリしていますが、その後患者の意識が完全に覚醒したら終了です。

『電気痙攣療法が適しているケース』

  • ①自傷を度々繰り返す患者で、緊急に興奮状態(陽性症状)を鎮めたい場合に採用します。
  • ②セロトニンなど強制分泌の影響で偏頭痛など副作用が強くでる患者への代替措置として採用します。
  • ③予後が悪く重く陰性症状が出ている患者は食欲も無く体力疲弊が際立っている場合に採用します。
  • ④何らかの理由で薬物治療の効果が無い患者に採用します。
  • ⑤高年齢や妊娠中の患者の場合など薬物治療より体への安全性を考慮する場合に採用します。
  • ⑥揺り戻し(再発)した場合で、過去に通電治療の効果が認められた場合に採用します。

『薬物治療との併用』

本来は向精神薬の投与による治療が基本です。
しかし発病し認知機能が不全な状態に至り患者本人の自尊心・自信など失われ日常生活や再就業へ大きな障害と成り、抗精神薬治療だけでは深い落ち込みから心の状態の改善が望めない場合や長期療法に不向きで在る場合。
又あくまで完治に強く期待する患者の意向と、現在の投薬治療にギャップがある事から電気痙攣療法を採用される場合があります。
但し電気痙攣療法で統合失調を完治する保障はありません。

『統合失調症の大分』

破瓜型

統合失調症のタイプ別では多数派です。
発病は大概は10歳代後半~20歳代と若く、徐々に性格面や生活態度などに変化が現れ陰性症状(自発性を失い引き篭もりなど過度に人を避ける)~発病(多くは陽性反応で周囲が確信)に至ります。
予後に於いては症状の起伏は他のタイプと比較的小さい一方慢性化しやすく長期治療を要します。

緊張型

このタイプも概ね20歳前後と若年層の発症が多数を占めます。
興奮と昏迷状態とを繰り返し発生し、攻撃的な興奮/ヒステリーと周囲への反応の鈍化が顕著に現れます。
抗精神薬治療により改善出来ますが、治療を怠ると略100%再発します。
躁鬱病と混同される事も多いのも特徴です。

躁鬱の場合は異常な精神状態下にある事を自覚し妄想や幻聴などの症状が現れないのが特徴です。
又、うつ症状の場合、他者への批判は殆どなく自己批判(力不足からの自己嫌悪)に営々と続けます。

妄想型

発病は30歳頃が最も多く、個人差にも寄りますが他のタイプによる症状と比較して軽いと言われます。
陽性症状時に於いて本人は妄想・幻聴に襲われます。
患者が恐怖に耐らず表情や言動で表現しない限り第3者には違和感を与えません。
しかし治療を怠ると回避性人格障害や緊張型へ症状が進行する場合も在ります。

※尚、これは大まかな分類で参考書によっては他に《解体型》など加えて表記される事もあります。

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