統合失調症の症状の経過

経過は専門家により定められ細かい点で違う場合があります。
但し、発生期(初期)⇒消耗期⇒回復期(慢性)が基本です。
概要は治療開始してしばらくの間は陽性症状が増します。
消耗期に移行する過程では逆に陽性症状は低減します。
加え正常状態を超えて一気に陰性症状が増幅し暫く続きます。
この症状は消耗期の独特な状態です。
消耗期後半に至るに従い時間に比例して緩慢な形で正常状態に戻ります。

ここでの陽性症状とは、妄想、興奮、幻覚示します。
他方、陰性症状とは生きることへの不器用さ(怠慢、無愛想など見える)を意味します。

初期

引きこもりや不登校から始まり、独り言や奇異なこだわりが目に付きます。
この場合は比較的、家族や周囲の人達にも比較的判断しやすいケースですが、陽性症状(発狂や奇行)が出て始めて気が付く場合も在ります。

治療開始

急性期では症状が比較的判断しやすい形で現れます。
逆に症状が鬱々として一見して判断し難い場合もあります。

いずれにしても、周囲が率先して投薬などの治療を進める事に成ります。
殆んどの場合、患者本人が自らの異常を主観的に判断できる事は統合失調の場合はありません。
治療当初は薬の効果が反映して陽性症状は抑えらる傾向が一般的症状です。

揺り戻し

陽性症状の減少は一見して回復期に似た症状ですが完治した訳ではありません。
薬の効果が高い程、陰性症状への 下降が際立って現れます。
正常値を超えたこの様な状態を揺り戻しと言います。
不安定な状態は回復期へ移行を意味します。
この回復期は先の症状とは異なり長い治療期間を要します。
具体的には陰性症状と正常値の範囲を一進一退します。
一般的に統合失調症は急性時期に目立つ陽性症状だけに目が行きますが、長期的観点から捉えると陰性状態も統合失調の症状と言えます。

長い回復期

緩慢な回復傾向を待たなければ成らない時期で、揺り戻しの傾向が徐々に小さくなり正常値に近づけて行く時期です。
目安は年単位で診なければ成りません。
個人差もあり重症の場合は20~30年の治療していても完治に至らない症例も在りますし揺り戻しが激しい時には正常値を越えて再発(陽性症状)にまで戻る場合も在ります。
患者本人は元より、家族にとっては症状が、もどかしく忍耐が必要になります。
陰性の状態にある患者は第3者からは意欲がなく怠け癖や甘えの印象を受けます。
その様な周囲の無理解は患者の治療にはマイナスに成ります。

先に著した様に陽性は投薬治療の結果は期待できます。
他方、陰性の場合にも抗精神薬や睡眠導入剤など在りますが正常値に留めておく事を目的とした投薬では在りません。
この場合に必要とされるのはリハビリテーション、訪問看護、地域(生活環境)の理解などのケアーだとされます。
しかし無菌状態では抵抗力は無くなり治療に活きません。
徐々に負荷を掛けながらも常識的な態度を心掛けられる様に適切なリハビリが重要です。

年齢との関係

多くの場合、疾患は体力面から疾患は壮年層や若年層が有利です。
しかし統合失調治療の場合は加齢はむしろ有利に働きます。
20~30歳代は最も症状(揺り戻しの幅が大きさ)が激しく40歳代に成ると多少は緩やかに変化します。
50歳以上に成るとリハビリなどの治療は軽快に進む傾向が高いと言えます。
25歳の時には陽性反応が激しく無能力状態だった人が5歳代を越える頃になると殆ど完治の常態に改善した症例も在ります。

統計上、発病への危険因子

年齢別比較
発症危険年齢は思春期15歳~更年期45歳と幅があります。
稀なケースですが若年層7歳頃に発症したケースも在ります。
性別比較
発病(陽性症状)は男性は女性に比べ約1.4倍の割合で高い傾向に在ります。
原因は不明です。
有病率は男女とも横這いです。
出生時期
冬季生まれの人は他の季節に生まれた人よりも発症率が高い傾向に在ります。
また高緯度地域の場合も発症率が高いとされています。
婚姻関係
既婚者と未婚者とでは、発症率は未婚者は既婚者と比べて2.6~7.2ポイント高いとされています。
妊娠や出生合併症
羅患者の母親が妊娠時期に何らかの病気を患い投薬など治療を受けていた場合や普通分娩が困難だった場合など母体にストレスがあった場合は、それ以外の場合とを比較して発症率が高いとされます。
遺伝的背景
両親共に発症した場合、子供が受ける影響はそれ以外の子供と比較して発症率は高く46%が発症する統計が発表されています。
しかし一卵性双生児の場合は100%ではなく、この場合も40%程度にとどまる事から遺伝子配列との関係は曖昧です。
環境やストレス
冠婚葬祭や進学・就職など家庭内での環境変化、会社や学校でのトラブルが発症因子になる事は症例として認められています。
しかし葛藤の性質を科学的に実証はされていません。
経済状態
海外では低所得者が発症する環境下に在る事は高所得者と比較して想像に難しくないとされていますが、他方、国 によって経済困窮の尺度が異なり、経済を直接的な因子と判断するには根拠が浅いとされます。
酒・タバコの乱用
酒・タバコの乱用は、精神状況に悪影響を与えると指摘されていますが、適量という概念が個人差があり化学的に実証には至っていません。

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