統合失調症とドーパミンの深い関わり

統合失調症とドーパミンには深い関わりがあります。

ドーパミンとは快楽物質としての役割や、興奮物質としての役割がある神経伝達物質です。
人生を楽しく生きるには必要な物質となっています。
また、外から手に入れるものではなく、人間が自分で生成する事が一つの大きな特徴になります。

そうしたドーパミンですが、異常が起こることによって、統合失調症を発症してしまいます。

また、陽性症状と陰性症状でその働きが違ってきます。

1.陽性症状での脳機能

統合失調症を考える上で重要となるとしてドーパミンがあります。

陽性症状の統合失調症ではドーパミンが過剰になることによって症状が引き起こされます。
ドーパミンが過剰になることによって、幻覚や妄想などの症状が引き起こされるわけですね。
ドーパミンは生きていく上で必要な物質ではありますが、過剰に分泌される事で、統合失調症の症状を引き起こしてしまうのです。

そのため、このドーパミン量を減少させるように働く薬は統合失調症による陽性症状を改善させることができます。

ただし、脳の全ての経路でドーパミンが過剰になっている訳ではありません。
統合失調症によってドーパミンの分泌が亢進している部位は脳の中でも中脳辺縁系と呼ばれる部分です。
そのため、やたら滅多にドーパミンを減少させようとするのは間違った療法です。
きちんとした適切な薬品を使う事が必要になってくるのです。

2.陰性症状での脳機能

その一方で、ドーパミン機能の低下が起こっている部分も存在します。
このような部分として中脳皮質系があります。
ドーパミンが減少している事によってネガティブになっていく事は想像できると思います。
陰性症状では意欲減退や集中力の低下が起こりますが、このドーパミン量の低下が陰性症状を引き起こすと考えられています。

ドーパミンは生きていくための活力のようなものです。
多すぎれば頭がぐちゃぐちゃになりますが、少なすぎれば生きていく力が失われてしまいます。

また、意欲減退や集中力の低下は誰でも起こり得る事です。
普通に生きていても、そうした経験を持つ人がほとんどなはずです。
ドーパミン不足というのは、身近にあるのです。

陰性症状が強く出ている人は、ドーパミンを促進させるような薬を使う事をおすすめします。

さいごに…

統合失調症には「ドーパミン量が過剰になっている陽性症状」と「ドーパミンが減少している陰性症状」があります。
脳の違う部分で起こっているのですが、脳一つで見れば矛盾した症状が現れているのです。
そのため、統合失調症では相反する症状が隠れているようになります。

陽性症状を改善させるためにドーパミンを強力に阻害すると、中脳皮質系のドーパミンまで抑えて陰性症状を強く引き出してしまう恐れがあります。
逆に陰性症状を抑えるためにドーパミンを強力に増進させると、中脳辺縁系を刺激して陽性症状を促進させる恐れがあります。

ではどうすればいいのでしょうか?
それは自分がどちらの症状に傾いているかという事が重要になってきます。
自分の症状に合わせてドーパミンの量を薬でコントロールしなければいけません。

統合失調症のドーパミンには、繊細な扱いが必要になってくるのです。

元々自分で生成しなければいけない物質であるからこそ、薬で調節する時に厄介な働きをします。
同じ体内物質である睡眠ホルモンであるメラトニンはそのものを摂取する事で、眠りを促進させる事が実験の結果わかっていますが、ドーパミンはそのものを摂取する事ができません。

コントロールができればいいのですが、これがなかなか難しいものです。
自分の合った方法で、薬を使ってコントロールをしてみてください。

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