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統合失調症の様々な症状により、記憶を司るシナプスが急激に減退

2014年国立精神・神経医療研修センターによると統合失調症の様々な症状が記憶や感情を司る脳内中継網の繊維質(シナプス)が何らかの原因で急激に減退する事が確認されました。
霊長目科の生物(特に人類)は出産後、シナプスのネットワーク構築をインフレーションさせ、言語中枢を始め喜怒哀楽など感情との一致を個別領野にある記憶同士の結付きによって達成させます。
その合算である種の行動様式を生み出し、体の神経系と情感とに合理的所作を創るのを制御します。

続いて少年期にはネットワークの高度化(教育などの知見獲得)を図る為、原始的な無駄な情報との関連付けの古いシナプスの刈込みを行います。
統合失調症の発病原因の一つとして、この脳領域同士をリンクさせるネットワークの構築にエラーが頻繁に生じて発症すると示唆されています。
特に海馬や辺縁系皮質との関係に不具合が生じるケースが多く正確性、判断力などに大きく影響が与えます。
加えて幼少期に築かれたシナプスの総量減少が確認され、次々に起こる環境変化に追いつかず、これが記憶障害(時間的側抑制の不備)の原因であると示唆されています。
妄想・幻聴、更に空間配置の誤認知(幽体離脱現象)はシナプスの接続異常、混線や外部的要因(薬物摂取)からのダメージが原因だと思われます。

俊敏な選択・判断・決断を要求される思春期~青年期にもシナプスの刈り込みが行われ、少年期より頻繁な更新を余儀なくされます。
古い記憶(深奥部皮質の本能的な生物的記憶)より、次々と移り変わる環境適応に備えて、判断を司る脳領域(海馬)と不要な記憶領野を断切って、短期記憶を司る辺縁系皮質領野との情報交換に流れる伝達物質の負荷を防ぐ為の機能が闊達に働きます。
他方、シナプスの頻繁な更新に反してシナプス量の増減は一定しています。
通常の状態では生涯に亘って海馬と新皮質記憶領野とはシナプスとの結びつき方は更新されて行き、ネットワークの形は安定する事はありません。

シナプスの総量は幼少期のインフレーション後、本数は安定して目立った増減は確認されません。
現在は主にシナプス内のドーパミンやセロトニンといった脳内分泌制御が一般的ですが将来的には統合失調症の治療はシナプス神経の総数安定化を司る遺伝子を解明して臨床応用される事による本質的な症状寛解(この場合は完治)が期待されます。

『海馬』

海馬は能の新皮質(大脳辺縁系)に位置します。
必要な記憶の出し入れや空間学習能力に関する機関です。
動脈の血量の減少(虚血)に於けるダメージが致命傷に至る箇所とも言われます。
脳卒中が原因での言語障害などは海馬へのダメージが原因です。
心理的ストレスが長期間持続的に加わると能ホルモンの一種《ゴルチゾール》が大量に分泌され海馬を萎縮させます。
PTSDやうつ病の原因と言われています。

『認知記憶障害』

統合失調症には《陽性症状》と《陰性症状》とに分化され、更に《認知記憶障害》もある事が最近発見されました。
これは、注意や短期記憶を適宜行い、環境変化に速やかに対応出来る様にする海馬などの機能不全(及び低下)を誘発させる事を意味します。
進行が進む事で学習障害が顕著に現れます。
新規の情報習得や完結までのプロセスが踏めない為、就学中は元より仕事にも当然影響が出てきます。

又、集中力の低下は周囲の変化に対して優先事項の状況把握に困難を及ぼします。
又、劣後的な事案と優先的事案との混線により脳の処理機能が限界を超えます。
患者の強張った表情で身動き一つ出来ないに振舞に事情を知らない周囲や家族は当惑します。
この症状は嘗て緊張型分裂病と呼ばれていた症状に類似しています。

認知機能には様々な種類があり障害の進行具合、又は患者の個人差によってタイプが異なります。
何れに於いても、専門医の診断に基づいたリハビリが必要に成ります。
リハビリの内容は主に患者本人への状況把握を促す為に基本的な心理学上の知見の習得学習と社会適応の為に社会生活技能訓練(SST)等が在ります。
抜本的に完治治療や施術方法が未解明である為、非定型抗精神薬の服用によりシナプス負荷低減させつつ並行して行われます。
デイケアーという施設が用意されている場合は同じ症状の人達がスポーツや共同作業を通して社会復帰のリハビリを行う方法を取っている病院やクリニックが在ります。
この様に実地踏まえた訓練は対人関係や環境変化へのストレス過多な患者には適しています。

統合失調症に於いてのリカバリーは直訳の復帰とはかなりニュアンスが異なります。
従って《症状の寛解》という言葉が用いられます。
寛解とは具体的に陰陽症状改善(軽度に収まる)と患者本人が自発的に人生の目的設定が出来る様な状態にし、投薬による症状の起伏の抑制、医療関係及び家族が必要に応じて支援出来る体制作りの構築です。
進行の度合いや発病時の年齢差、その他個人的体質とは別に日常や社会生活を送っている患者は多数存在します。

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