統合失調症の陰性症状

統合失調症には陰性症状というものがあります。
それとは反対の陽性症状というものもあるのですが、その違いはというと、エネルギーがあるかないかというものです。
陰性症状はエネルギーがない状態にあります。
幻覚や妄想以外のエネルギーの低下からおこる症状です。

1.感情の障害

感情の障害として、感情鈍麻(どんま)というものがあります。
感情がなくなって無表情になってくるというものです。
そして、感情によく似た疎通性の障害として、他人との心の通じあいが無くなってきます。
表面上だけの付き合いになってしまうわけですね。

カタレプシーというものもあり、受動的に囚われた姿勢をとりつづける、いわゆる迎合主義的なものもあります。
緘黙(かんもく)という全く口をきかない症状もあれば、自閉という自己の世界に閉じ込もる現象もあります。

簡単にいえばひきこもりのような状態になる事です。

2.思考の障害

常同的思考という、無意味な思考にこだわり続けている症状がそれに当たります。
「あの時こうしていれば」とか、「あの年齢であれを成し遂げられて入れば」とかいう普通の人でも考えてしまうような症状から、「時計の針が丁度になった時に唾を飲み込み、その人の名前を思い浮かべるとその人のように頭が良くなる。逆に悪い人を思い浮かべると頭が悪くなる」などといった特有のものもあります。

また、興味の対象が少数に限定されているのも同じです。
極端に人形しか興味を抱かないなどの傾向の事です。

3.意志や欲望の障害

自発性の低下として、自分ひとりでは何もしようとせず、自発性がない状態があります。
意欲低下として、頭ではわかっていても行動に移せず、行動に移しても長続きしない症状もこの障害に当たります。
世の中のこと、家族や友人のことなどにも無関心でよく知らないというのも病気の症状として現れます。

意欲のない子供といいますが、意欲のないのは統合失調症の症状かもしれません。

4.認知機能障害

これは統合失調症の中核をなす基礎的障害です。
認知機能とは、記憶力、注意、集中力などの基本的な知的能力があります。
また、それだけではなく、計画、思考、判断、実行、問題解決などの複雑な知的能力も同じです。

この障害ゆえに、作業能力の低下が起こったり、臨機応変な対処の困難になったり、経験に基づく問題解決の困難になったり、新しい環境に慣れにくいなど社会生活上多くの困難を伴い、長期のリハビリが必要となります。

これらの症状は全て「仕事ができない」という一点で片づけられます。
仕事ができる人は、認知機能も優れていますし、知的能力もあります。
統合失調症の人が社会に適合できないのは、この「仕事ができない」という症状によるものが大きいのです。

5.感情の障害

不安感や焦燥感や緊張感や抑うつなどです。

また、躁状態になり、何でもできる気分になる事もあります。
パニック障害類似のパニック発作が起こることがあり、連合弛緩といって連想が弱くなり、話の内容がたびたび変化してしまう症状もあります。

また、幻聴や妄想世界での会話もあります。
そして、「言葉のサラダ」というただ無闇に言葉を羅列することもあります。

さいごに…

統合失調症の陰性症状はかなり厄介なものです。
そして、自分が陰性症状である場合は、そうであると自覚する事が重要となってきます。
自分の症状に合わせて統合失調症の治療をしてください。

ノーマライゼーションという考え方があります。
簡単にいえば、障碍者のできないところを見るよりもできるところを伸ばそうというものなのですが、統合失調症の人にとっては大きなお世話です。
できない事によって社会参加ができないのですから、治すしかありません。

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