統合失調症の症状への対応

臨床の場合、画一的なマニュアル的対応では適切な対応は期待出ないと言われます。
個々人それぞれ置かれた立場、環境、生活力、経験、男女差、性格が異なり、症状の進行具合によっても当然対応出来ません。
家族といえでも、統合失調症独特な苦しみの内容まで理解できないのが普通です。

また、社会的偏見は根深く患者自身は元より家族も場合によっては窮地に追い込まれるケースもあります。
身体的な症状は多かれ少なかれ自己の体験上その痛み具合は想像する事は難しくありません。
従って適切な対応に結びつける事は難しくありません。
患者にとっては真実である窮迫した脅威は身近な家族にとっても、それは非現実な出来事であるから理解できる筈はありません。
発症時は患者自身も妄想や幻聴が想像の産物か現実なのか理解できていません。
通常、人間は目で見えて耳で聞こえる事に尽きます。
理解できる筈のない事についつい深追いして患者の内面へ表面的且つ過度に寄り添うと結果的に患者を否定する事に成ります。
患者の病的体験で苦しんでいる事の事実を理解する程度に留め、あえて客観的距離感を執る事が望まれます。

通常の病気や怪我は予防や再発回避の為、病根に対して省みる事は重要です。
しかし精神疾患の場合は必ずしもそうとは言えないケースが多々あります。
振り返る事で患者本人は元より家族や関係者にとって埋めがたい溝を造り、環境的にも回復に対して有利に働かない場合もあります。
現状把握と回復の為に必要な事(環境構築)に目を向ける事の方がむしろ建設的です。

向精神病薬の副作用

未経験者は抗精神薬という言葉自体に身を固めたくなる事は通常な反応だと思えますが、世に存在する薬という代物は副作用とはつき物です。
例えば市販の風邪薬にせよ服用方法や同時服用の薬との相性など留意しなければ成らない事と同じです。
特に向精神薬は分量に細心の注意が必要です。
症状に対し過度な効果は反って症状悪化に繋がる事はよくあります。
統合失調症の場合、服用による一時的倦怠感や寒気、手足の震え等の症状が出てしまう性質がある為、自発的に服用停止する場合があります。
しかし自己判断で途中で中止する事は避けるべきで主治医に相談する事が適正な処置です。

統合失調症という病の性質上、時間と共に機械的に回復する事は滅多に在りません。
揺り戻しを何度か経験する事が普通な症状です。
その際、薬を適正に服用していた場合は比較的軽度で回復する場合が多いと言われます。
逆説的に程度の問題ですが副作用は抗精神薬の場合、避けられないのが現状です。

例えばそう状態(陽性書状)とうつ状態(陰性症状)とでは相反する効能を一度に薬に求める事であり、分量の微調整は個々人により差異が生ずるからです。
従って経験科学的に症状のデータ(所見)に基づいて序々に適合させる方法が外来入院問わず執られるのが通例です。

発症時は極度な陽性症状の表れである為、ドーパミンの強制抑制上、かなり偏った投薬や注射での治療に成ります。
抑うつ状態に成り表面的に症状が落着いた様に見えるだけです。

副作用の症例
  • 倦怠感(過鎮静)
  • 眠くなる(過鎮静)
  • 排泄の不具合(自律神経系)
  • 体重が増える
  • 口の乾き(自律神経系)
  • 目のカスミ
  • 手及び指先の痺れや震え(パーキンソン症状又は急性《ジズトニア》)
  • 顔が強張る・無表情(パーキンソン症状)
  • 眼まえ・立ちくらみ(起立性低血症・自律神経系)
  • 舌・唇・足の震え、重症化した場合の体全体の振るえ(遅発性ジズトニア) 

ジズトニア症状とは特に首の筋肉収縮症状が生ずる病症のです。
右左又は後側に収縮が顕著に現れます。

タイプには《急性》の場合と《遅発性》の場合とが在ります。
基本的に首が上向きに成る為、足元が見えにくく成ります。
しかし現代では抗ジズトニア薬がある為、常態に回復できます。

《急性ジズトニア症状》は定型抗精神剤(第一世代)が原因による副作用の場合が多く、医師は非定型抗精神剤(第二世代)に変更する場合があります。
非定型抗精神剤でも稀に発病する事があります。
その様な場合は異なる非定型抗精神剤の再変更する場合もあります。
但し、非定型抗精神剤の服用自体にも制限があります。
特に幼児や高齢者(認知症を併発している場合)への服用は過去に死亡例があり、法律で禁止されています。

《遅発性ジズトニア症状》は体の一部又は全体に於いて本人の意に反してクネクネ動いてしまう症状です。
その他、舌や口も無意識の内に勝手に動き、第3者からは何時も口をモグモグしている様に見えます。
対象方法は急性の場合と同様に薬の服用によって改善出来ます。

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