統合失調症の“怖さ(恐怖)”について

統合失調症の“怖さ(恐怖)”には、第3者から見た怖さと、患者本人が受ける怖さとに大分されます。

第3者の恐怖

第3者の恐怖や違和感とは大概が陽性症状下に於ける性格豹変や社会一般的には異常行動や表情、又陰性症状下に於ける陰鬱な表情など生理的に嫌悪感や危険を抱く表面的な要素が中心です。
家族や周囲は患者に対する本来の姿を認知している為、発病時又はその後の表情変化に驚きと場合によっては恐怖を感じる事もありえます。

患者本人の主観から成る恐怖

患者本人の主観から成る恐怖は、幾つか違和感から様々な変化から始まり、患者本人の視点からは、周囲の変化に恐怖又は対人関係に於いて恐怖や自らに向けられる敵意を感じるケースが多々観られます。

違和感

①相対的に周囲のペース展開が早く成り、自らの能力に限界を感じます。
例えば 「周りに付いて行けない」
「落伍してしまうのではなか」
「自分だけ置いてきぼりを受けるのではないか」
その様なネガティブな感情が常態化して行きます。

②周囲からの期待を寄せられている立場では、その期待が誇りであると同時に心の負荷が掛かります。
現実の能力がそれに伴わない場合
「自己能力の劣等感を強く意識し周囲からの期待に応えられないのではないか」
というネガティブな感情が常態化して行き、最悪なケースとして自虐的な言動に至ります。

③依存性の高い性格の患者は 「相手のペースに巻き込まれ、引きずらされている」
「自分の人生は周囲に握られおり、自らの能力では切り開けない」
「自分自身が無く成っていく」
というネガティブな感情が常態化して行きます。

④評価や人目に過敏に成り 「絶えず、追い立てられている」 「自分のペースで生活出来ない」 というネガティブな感情が常態化して行き進行すると絶えず監視されている様になり、ひきこもりや回避性人格障害の原因に繋がります。

①~④のケースはあくまで一般的な症状であり、違和感や不安の特徴には個人的に差異が生じます。
これらの感情が長期間に及ぶと、結果的に「無力感・閉塞感を感じる」様に成ります。
内容的に観て感受性の強い若年層が影響され易い内容ですが適切な早期治療によって寛解される時間も比較的に短期間で達成されるケースです。
尚、破瓜型(分列症)など原因が掴む事が困難なケースの場合は治療を困難にさせます。

情緒不安定~離人症

無気力が持続すると主体性が欠落して行き、翻弄されている人生観に将来不安が支配される様に成ります。
何を見ても聞いても関心が呼び起こされる事は滅多にありません。
集中力や持続性は決定的に欠如していますが多動的に動く気力も無く何をするでもなく無為に過ごします。
この停滞状態も一時的で希薄化し日時の経過に浮足立つ様に成り若干の現状不安を抱く様に成ります。
しかし、明確な答えを見出せません。

外界・他者との間に「隔絶・隔離」が生じ、自発的な行動が薄められて行き、世の中の流れや同調意識から乖離された状態に成ります。
この状態での放置が継続される事で離人症状(健忘)が促進させるケースもあります。
又、周囲とのコミュニケーション能力にも減退が生じる様に成り、これを「意志疎通性の障害」と呼ばれる症状です。

続いて自発的行動、自発的意思(心情)をも周囲から管理、制御させられている様な被害妄想に浸ります。
「思考奪取」
「思考途絶」
「思考伝播」
「思考化声」
という症状が顕在する様に成ります。

進行と共に浮足立った焦りの感情が逆に薄らぎ、気力(意欲)減退が増幅させられて行きます。
コミュニケーションを敬遠する様にも成り、主に対人恐怖から社会からの「ひきこもり」状態が顕在化されて行きます。

「ひきこもり」は生活パターン(昼夜逆転や過食・拒食)などが重なり体調不良に至ります。
情緒の安定性にも悪影響を与え、イライラした感情が些細な事から沸いてきます。
物・動物等への虐待(八つ当たり)~他者への(八つ当たり)又は自傷行為に至る場合もあります。

親子関係に於いてもトラブルが派生します。
幼少期の子供の親が離人症に浸った場合、怒りが子供に向けられるケースが多く、その結果凄惨な事態を招く事あります。
男女問わずドメスティック・バイオレンスの根底にはこの様な心の屈折が多くの場合で存在する様に思えます。

この「離人症・乖離性健忘」でのパニック症状は持続性は極めて限定的で覚醒した後、子供に怪我を負わせた場合、大概は自責の念に囚われ、子供に謝罪するなど豹変を繰り返す特徴もあります。
当然、この症状での放置はパニックを再発し暴力行為が続きます。
尚多くの場合この段階で初めて自覚症状を覚え、精神科への受診に足を向けるケースが多い様です。

脅迫神経症

別の症状として、「脅迫神経症」の症状が挙げられます。
取り越し苦労、過度な心配症に支配されます。
具体的には、自らを不潔と思い込み、手洗いや、その他、日常習慣を必要以上に半ば無意識に反復します。

自傷~自分を傷つける行為

現状(居住地・仕事・人ごみ)へのからの生理的回避を大望する様に成ります。
「蒸発」や「自傷」を考える様に成ります。
更に進行すると肉体的(生理的)な伝達にも疎く成ります。
具体的には肉体疲労や負傷時の痛みに感覚が鈍感して行きます。
リストカットなど痛みへの感覚が麻痺し、本人にとっては適度な刺激的興奮状態(快感)に成ります。

自傷~派生する症状 疲労の顕在化

この様な肉体症状の他、これまで苦痛であった、ストレスや切迫した事柄にも関心が薄らぐ様に成ります。
肉体疲労が認知出来ない為、適度なリラックスや休憩が取れず、突如として
「めまい」
「たちくらみ」
「ふらつき」
「メニエール病」
など発症します。
加えて突如、聴覚にも異常が生じる場合もあります。
耳が何かによって塞がれている様な感覚で軽い難聴の様な症状で一般的に「突発性難聴」と呼ばれている症状です。
本人とっては予感のない、突発的な肉体症状変化に動揺、恐怖が生じます。
それら症状が原因と成り恐怖が生まれ
「パニック発症」
「不安発作」
が生じる場合もあります。

自傷~派生する症状 偏頭痛

通常は緊張した状態で本来発症する偏頭痛などの症状にも遅行性が生じ、特に何もしていない時、突然痛みが発生する場合があります。
大概は脳神経外科に掛りますが、MRIなど外科的診断からは答えが得られない事もあります。

自傷~派生する症状 その他 

その他肉体的な疾患(内臓、循環器)などが原因で放置され別症状として現れるケースは主種、様々に存在します。

このことから自傷行為は直接的な自らへの攻撃の他、肉体的な異変への無関心という間接的な放置行為も含まれます。

外科的要因

統合失調症は通常はドーパミンに代表される伝達物質の分泌量の異常が原因ですが、例外もあります。
表情や短期記憶などを司る大脳皮質自体の萎縮の場合です。
逆説的に脳の疾患が性格変化など異常を来たした場合では抗精神薬やリハビリなどの一般的な治療方法が根本的に方向違いという事に成ります。

外科的要因

脳の萎縮している部位がある。
脳機能の一部に異常かある。

統合失調症の性格について

病気前性格

ドイツの精神科医のクレペリンが統合失調症と性格、性別との因果関係を探りました。
その結果、男性の場合は無口・孤独・休日は室内での滞在・内気な場合、発症率が高く。
女性の場合は怒りっぽく・敏感・強情・神経質な場合が発症率が高いと述べています。

スイスの精神科医であるブロイラーの性格診断によると。
易怒性・引っ込み思案・孤独・周囲から奇異な感情抱かせる性格が対象に挙げられています。

ドイツの精神科医のクレッチマーは自閉性(非社交性)、精神感受性の亢進(過敏)、精神感受性の低下(鈍感)
この様な性格を対象に挙げています。

発症率の高い性格判断は以下の様な表現で纏めておりクレッチマーの説が広く汎用されています。
興味深い所は敏感・鈍感の両極面性を持つという所です。
尚、あくまで傾向である為、安易にパターン化して偏見する事は目的から外れます。

  • 自発性
  • 過敏性
  • 鈍感性
問題点

①病前性格が原因で統合失調症を発症させるのか?
②持って生まれた性格自体がすでに前駆症状なのか?
という事です。

①の場合は後天性を意味しますので、教育的指導やリハビリなど性格改善が発症回避の為、有効手段と成りえます。
他方②の場合は先天性を意味しますので発症は不可避と成りえます。
内因性の破瓜型など原因不明の発病を説明する場合は②が有効と成りえます。
現在の所、明確な証明定義がされていませんが、精神科医の多くは②を支持する傾向が高い様です。
②の具体例として下記の3要素が肉薄されます。

  • 遺伝子の問題
  • 出世時のトラブル
  • ストレス耐性の脆弱性

ストレス耐性を挙げましたが、ストレスの小さな環境構築又は自発的に雑多で危険な環境から回避する事が発症を防ぐ為に有効かどうかは実証されていません。
結果的に複雑な人間関係や社会との関わりから回避する事と成り恒常的な手段としては無理がある様に感じられます。

又、●外科的要因で挙げた症例にも一部重複します。
高血圧など循環器系に問題がある場合、重度な脳へのダメージを受ける可能性が必然的に高く統合失調症を患う事との因果が、遺伝子の問題が絡んできます。

高血圧とそれに連なる疾患の多くは生活習慣という表現で自己責任を追及されるのが一般的ですが、科学的に見た場合生活環境が寿命の長短とに因果を結びつける事は感情論や統計的一側面であり、全てを説明できていません。

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