統合失調症の症状としての恐怖感について

『主題』

統合失調症での恐怖感は現実の出来事と非現実(自ら生み出した感情)との間に本来備わっている筈の境界があやふやに成る事による恐怖感です。

統合失調症の観点から健常な状態とは自分(自我・自己)と他者(外界)とは完全に区分されている事を意味します。

統合失調症に於ける極初期の状態では当人自身が感じる変化があります。
以前は適応出来ていた事柄や環境適応能力の減退し周囲のペースが速く感じられついて行けない様に成ります。
序々に様々な事柄に振り回されている様に感じ要求に上手く対応できない事により罪悪感に浸る頻度が増えて行きます。
この段階まで症状が進行すると外界が猛烈な勢いで当人の自我や自己の領域に圧力を加え境界線の形も崩れ自分の領域が縮んで行く感覚に襲われます。
患者の中には、「周りが自分に侵入して来る」「自分と周りとの境界が曖昧」「自分の気持ちが何処かから外に漏れている」の様な感想を持つ人がいますが実は当人の置かれた状況を的確に反映した感想です。

離人症(乖離性健忘/心因性健忘)状態は上記の様な時に発生します。
健忘の症状(フラッシュバックして時間的配置の誤認知)が進行すると2重人格障害・多重人格障害に至るケースが多様です。
特に若年層が発病されやすいと言われる多重人格障害は複数の人格(他人の自我)が当人の自我の境界を、あちこちから破っては侵入し本来の自我を制圧する感覚に襲われます。
この症状が続くと複数の人格による内的統制、住み分けが出来る様に成る人もいます。
但し殆どの場合、本来の自我が統制の主体では無く、より優れた自我が本人を支配下に置きます。
一定時間の経過と共に恐怖心は馴化により克服出来ます。

しかし現実の外界との関係、特に会話には決定的に混乱が生じます。
例えば表情変化や会話の質(精神年齢)の変化が前兆なく発生し外部とのインターフェイスの自我が交代してしまうからです。
その他、阿吽の呼吸など常識的反応が出来なく成ります。(一応統制する人格があっても外部の人格との会話にどの人格が対面するのか内部混乱が生じるケースも在ります)。
これが主に接触障害と言われる症状の本質だとされています。
侵入して来た複数自我は、本来の外部との境界線をより強固に塗り固め防御の為、厚い殻に閉じこもった結果です。
一見してパニック状態にあった患者の状態が表面上落着いて見える理由で表情は硬く又は平坦に成ります。
この陰性症状が非定型抗精神病薬による長期治療開始のタイミングとされます。
治療の基本的ノウハウは誰の人格であれ、人格定員を減数化の方向で患者本人の人格に少しずつ心の纏まりが出来る様に促します。
効果が上手く進むとコミュニケーションがかなりスムーズに成立する様に成ります。

この状態を飛躍させて内部からの伝達障害や外部からの伝達障害、双方向伝達障害の特性をヒントに特殊情報伝達又は感覚器官外知覚などと称して、テレパシーや悪霊の憑依など等の概念が生み出され空想小説うや映画など商業的に反映されます。

基本的に心因的な不具合が精神疾患でありますが、大脳萎縮が確認されるケースも在ります。
精神疾患は大脳の異常が原因なのか、胃潰瘍の様に心物総合作用によるものか判然としません。

『了解性の低下』

本来自我が身を守る為、強く意識しなければならない外部から刺激(五感機能)が境界の殻が厚い程、緩慢に成る傾向があります。
例えば拳銃を持った犯罪者が接近している時、周囲は患者に一刻も早く逃げる様に促しますが本人がそれに関心が無ければ当然あるべき反応(生理的欲求)さえも阻害されます。
つまり自分の置かれている立場、状況、事態の判断が出来難く成る事を意味します。

『意思疎通性の障害』

自分の意見が不明瞭な事によって持続的に意見を交わす事が出来難く成ります。
客観的に外部から見ると時には物静かに成ったり、舌足らずに成ったり、時には精神年齢を超越した雄弁な物言いをして理路整然と主張したり、とにかく個人が安定しない事を言います。
症状に知見が無い第3者は患者との接触に戸惑いや恐怖を与えます。

『自我の葛藤』

迷いや不安が擬人化されて、自らを追いかける、又は急き立てる者として視覚・聴覚的に官能する状態です。

『自責の念』

自分に対する嘲笑、怒り、憎しみとして聴覚に官能する状態です。
当然患者本人はイライラしてきます。
忍耐が限界に達すると攻撃性が出てきます。
第3者は何の前触れなしに暴言や暴力を受ける事を体験し、殺意や恐怖を抱きます。
大抵はこの段階に至って家族や周囲は精神疾患に気付きます。
複数回の抵抗が無に帰した段階では逃避願望に襲われます。
とにかく周囲に人が存在する事自体が心の負担に成り、ひたすら開放の為に邁進を試みます。
統合失調での引き篭もりの主な原因です。
しかし自ら望んだ孤立は幻聴や妄想の頻度と恐怖感を増幅させる事にしか成りません。

『作為体験』

本来人間は自律神経系以外の所作は自らの意思が根本にありますし実感します。
特に多重人格障害の場合に於いて本来の自我は、より強い自我に押しやれれる様に感じます。
この事を《自我の縮小》と言います。
病症の進行により自らの意思は頻繁に他の人格に操られ自我が希釈される感覚に襲われます。
最終的には自らの肉体はロボット状態に成ります。

『思考吹入』

唐突に誰かの声が頭の中に響き、新しい知識や情報を強制的に吹聴される感覚に襲われる様な症状です。

『思考化声』

音読中、今から読もうとする言葉が、一瞬早く、誰かに読み上げられてしまう様な症状の事です。

『思考伝播・盗聴』

心の内を誰かに知られている、又は内部から漏れている様に感じる症状です。

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