くも膜下出血のグレード

くも膜下出血のグレードとは、出血後の患者の症状を表す目安で、患者の症状の重症度を示します。
一般的に、数字が大きくなると病状の重症度が高くなり、回復率が減少いたします。
この指針は、3種類存在し今回はその3種類に関して紹介いたします。

くも膜下出血のグレードの解説

最初に、Hunt and Hess分類(1968)です。
このグレードの基本は倒れた人間の意識のレベルや顔の症状を見ることによって、脳の損傷度合いを中心に見ていく指針で、一般的に数字が大きいほど重症度が高いのが特徴です。

各グレードは5つに分類されその内容を見ていきます。

Grade Ⅰ
無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
Grade Ⅱ
中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
Grade Ⅲ
傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
Grade Ⅳ
昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
Grade Ⅴ
深昏睡状態で除脳硬直を示し、危篤状態の様相を示すもの

注意して欲しいのは、糖尿病と言った疾患や以前脳の重篤な障害にあっている人は、一つ症状のグレードが高くなるのです。
また、診断時の血管が正常値よりも細い場合は血管攣縮といった症状が出ているので、重症度が一つ重くなります

次に、Hunt and Kosnik分類(1974)です。
この分類は一般的に現在診断時に使用しているもので、Hunt and Hess分類(1968)をより細かくしたものです。

早期発見が可能になったため、早期の部分の分類が細かくなっています。
その分類は7種類で、0が加えられ、Ⅰは2つ分類があります。

Grade 0
未破裂の動脈瘤
Grade Ⅰ
無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直をみる
Grade Ⅰa
急性の髄膜あるいは脳症状をみないが、固定した神経学的失調のあるもの
Grade Ⅱ
中等度から強度の頭痛、項部硬直をみるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はみられない
Grade Ⅲ
傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示すもの
Grade Ⅳ
昏迷状態で、中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
Grade Ⅴ
深昏睡状態で除脳硬直を示し、危篤状態の様相を示すもの

最後に、くも膜下出血の出血の程度による神経の損傷度合いを示した、WFNS分類(1983)があります。
これは、くも膜下出血のよって発生しやすい障害の失語と麻痺に関しての指針です。
Grade GCS score 主要な局所神経症状(失語あるいは片麻痺)といいます。
その分類は、Ⅰ 15 なし、Ⅱ 14-13 なし、、Ⅲ 14-13 あり、Ⅳ 12-7 有無は不問、Ⅴ 6-3 有無は不問となっています。
この分類は、先ほどの、Hunt and Kosnik分類(1974)の分類に補足して要素で使用されます。
生存率は、Ⅱで90%ですが、Ⅴの意識障害、昏睡になると20%に低下します。

まとめ

くも膜下出血のグレードには人間の意識障害による指針と、神経の損傷箇所に関する分類が存在します。
両者の分類とも数字が大きくなるほど回復率が悪く、脳の損傷度合いは数字が大きくなるほど悪化します。

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