更年期障害にともなう症状

更年期障害にともなう症状として、45~55歳の女性をさいなむ症状として、下記が挙げられます。

原因として、更年期が近づくと卵巣機能が低下することによる、女性ホルモンの分泌量の顕著な減少です。
中でも、エストロゲンの急激な減少が女性のメンタルやフィジカルにさまざまな影響を与え、多様なメンタル・フィジカル両面にわたる症状が現れます。

女性ホルモン(特にエストロゲン)は月経・妊娠・出産との関係に限定して考えられがちですが、女性特有の現象のコントロールだけでなく、女性の全身の健康を守る上で大きな役割を果たしています。

逆に言うと、エストロゲンが減少すると、女性の体は自分の体を守り続けてくれた外護者を失った状態になります。

更年期障害の根本的治療としてホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)が世界的に主流になっています。
最も普及率の高いオーストラリアで56%、他の欧米諸国でも30~40%の普及率です。
それに対して日本における普及率は1.5%に過ぎません。

これは乳癌に対するリスクを恐れての事と思われます。

確かにUSAで実施されたWHI(Woman's Health Initiative)の中間報告の影響が未だ足を引っ張っているのかもしれません。

それは1991年にUSAで、50~70歳の閉経後女性161,808人を対象に実施された大規模な研究です。
生活習慣と癌・心血管系疾患・骨粗鬆症の発生との関係を検討していました。
その中間報告として2002年に、HRTは心血管系疾患・乳癌発生などのリスクがあると報告されました。

その結果、日本でも女性の間に不安が広がり、HRTの普及は停滞したままです。

しかしその後、このWHIの報告の問題点が指摘されました。

その存在そのものが病気のデパートである事が判明しました。

しかし、その後多数の研究報告がなされており、特に乳癌関連の研究報告では、WHI中間報告と逆の結果が出ています。

エストロゲンとプロゲステロン併用療法を5年以上の長期に渡って実施して死亡率を比較した場合、ホルモン補充療法を実施た群の方がむしろ死亡率が低いとの報告があります。

ホルモン治療法の実施により、定期的に検診を行うために、潜在的な乳癌が発見しやすくなり、またその予後自体も改善されているからであろうとされています。

いずれにせよ、ホルモン補充療法を受ける・受けないにかかわらず、定期的な乳癌検診は必要ですし、キチンと検診を受けていればホルモン補充療法はむやみに恐れる必要はないと思われます。

筆者が2005年にの職場で知り合った40代の女性が、卵巣摘出手術を受けた後で、露骨に更年期障害が出て、産科医にHRTに関する相談をしたところ、言下に子宮癌と乳癌のリスクを言い渡されて終わってしまったそうです。

「苦しい苦しい」と大音声に叫んでおりましたが、上司の奥さんが同じ経験をしたそうで、その紹介によって別な産婦人科を受診して事なきを得たようです。

人気の記事