パニック障害を和らげる自律訓練法01

(3) 自律訓練法

パニック障害には、パニック発作に続く予期不安や広場恐怖のような症状がありますが、それらの症状をやわらげる治療法として、ワイマール共和国末期のドイツでシュルツ博士によって自律訓練法が開発されました。
「単なる自己暗示じゃないか」とか「自己催眠?」とおぞける方がいるかも知れませんが、睡眠薬やアルコールよりはマシと思って試してみては。

短期間で習得しやすく、リラックス効果も高い方法です。

(1) 準備A

以下のような環境で行うことが望ましく、条件が整わないと効果が得られない恐れがあります。

  • 静かな場所
  • 暑すぎず寒すぎない場所
  • 楽な服装
  • 空腹でも満腹でもない状態
  • アルコールが入っていない状態

(2) 準備B

  • 基本姿勢はあお向けになっている状態です。
  • 就寝時に枕を使っている人は、いつもの枕に頭を乗せます。
  • 両腕と両脚は少し開いて体幹から離します。
  • 手の指から力を抜いて曲がり気味にしておきます(力を抜けば勝手にそうなります)。
  • この姿勢になったら軽く目を閉じます。

(3) 自立訓練

段階として4段階あります。

(a) Level01:気持ちが落ち着いている

「気持ちがとても落ち着いている」と、頭の中で何度も呟きながら、自分に言い聞かせます。
ただ念じるだけでなく、「ああ、ホントに自分は気持ちが落ち着いているんだなぁ」と心底思うようにすること。

何せ、自己暗示なもので。
これはまあ、簡単にその気になっちゃう人と、そうでない人がいるから、一概に言えませんが、一日24時間の内で頭を空っぽにする時間があっても良いじゃないかと自分に言い聞かせつつ、トライしてみましょう。

言葉だけでは難しい場合、自分が落ち着く風景や状況を思い浮かべるのも手です。

たとえば、夏休みに甲羅干しをした海水浴場とか、子供の頃に遊んだ公園とか、とにかく自分が落ち着けるようなものであれば何でも良いからイメージします。

あとは気持ちが落ち着くまでひたすら「気持ちがとても落ち着いている」と頭の中で念じ続けます。

最初は変に感じる事もあるかもしれませんが、繰り返し念じていると自己暗示効果によって本当に気持ちが落ち着いてくるものです。

それから、このLevel01が全ての基本だから手を抜かずにしっかりとやりましょう。

かと言って、日本人にありがちですが、「気持ちを落ち着かせなければならぬ」と力んだり、焦ったりして「気持ちよ落ち着け」などと念じないこと。

難しいですが、「今現在自分の気持がすでに落ち着いている事を自覚する」ような感じで行いましょう。

まあ、最初から上手く行かなくても気にしないことです。
少なくとも身体を休めているわけなのですから。

(b) Lebel02:手足が重い

気持ちが落ち着いてきたら、手足の重さを感じる作業に入ります。

まずは自分の利き腕から。
右利きの人は右腕から、左利きの人は左腕からですが、取り敢えず多数決ということで、Level01の姿勢のまま「右腕が重い」と、ひたすら頭の中で繰り返します。

そして、意識を右腕に持って行きつつ、右腕の力を極限にまで抜き、本当に右腕が重くなるようにイメージします。

途中で、「右腕が重い」と頭の中で繰り返す間に、「気持ちが落ち着いている」というのを入れます。
「右腕が重い」を4回念じたら「気持ちが落ち着いている」を1回入れるという感じで。

これを繰り返していると、だんだん右腕から無意識のうちに力が抜けていき、本当に右腕が重く感じるようになります。
ここまで来ると右腕が完全にリラックスした状態になります。

この要領で、左腕→右脚→左脚の順に進めていきます。

これによって全身がリラックスした状態に入ることができます。

重い感じを意識できるようになるには個人差があります。
数日で手脚の重さを感じることができる人もいれば、1ヶ月以上かかる人もいます。

自律訓練法の目的はあくまでリラックスです。
手足が重たく感じるように必死になったり、重たく感じない事に焦っては本末転倒と言うものです。
なので、すぐに重さを感じ取ることができなくとも、諦めずに継続しましょう。
誰にもその事を言わなければ、急かされることもありません。
どうせ他人から急かされる毎日です。
一日24時間のうちで急かされない時間を持つことも有意義かもしれません。

パニック障害を和らげる自律訓練法02へ続く

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