パニック障害と栄養障害03

ともあれ、炭水化物(ご飯、パン、麺類、イモ類)を摂取すると、食道・胃・十二指腸・小腸と進む過程でブドウ糖にまで消化され、小腸の絨毛から吸収され、血液中に入ります。
血液中のブドウ糖の事を血糖といい、その量を血糖値と言います。
結果として血糖値が上昇します。
血糖値が上昇すると、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞がその動きをキャッチして、インシュリンと言うホルモンを分泌します。
血糖が全身の臓器に届くと、インシュリンの働きによって、臓器を構成する細胞は血糖を取り込んでエネルギーとして利用したり、たくわえたり、さらにタンパク質合成や細胞の分裂を促進したりします。
こうして食後に増加した血糖値はインシュリンによって可及的に速やかに処理されて一定量に保たれます。

炭水化物といきなり言われて何を連想するでしょうか? 下記などが挙げられるでしょう。

確かに、ご飯は白米で、パンや麺類は小麦粉が原料です。
どちらもイネ科植物の種子を脱穀・精米したものです。
わずかなタンパク質以外の夾雑物は全て捨て去った、限りなく100%に近い純度を誇る炭水化物の塊なのです。
ですから、主食だからとご飯やパン、麺類だけを撮り続けると、インシュリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島にストレスをかけ続けることになります。

それだけではありません。
初めは19世紀のヨーロッパから普及し、20世紀の間に全人類が耽溺した調味料があります。
それは白砂糖です。

この調味料は、サトウキビの茎やサトウダイコンの根に蓄えられてショ糖が精製に精製を重ねた純度100%のショ糖の結晶であり、栄養的にはカロリーしかありません。
人類史的には化学物質の先駆けと言っても良い物質です。

ですので、白砂糖を摂取するとすぐに消化吸収されるため、血糖値が急激に上昇します。

血糖値が急上昇すると、膵臓のランゲルハンス島からインシュリンが大量に分泌されます。
その結果、血糖値は今度は急激に下降します。
つまり、白砂糖を摂ると血糖値が急上昇し、急降下します(血糖値の乱高下)。
血糖値が変動するのは構わないのですが、それはあくまで従来型の炭水化物を消化・吸収する過程においてです。
つまり、米であれば玄米や分搗き米であったり、小麦粉もフスマを多く含んだ茶色の小麦粉だったりします。
このレベルの血糖値の変動は許容範囲です。
それに対して、白米にしろ小麦粉にしろ白砂糖にしろ、普及したのは現世人類14万年の歴史の中のわずか200年にしかすぎません。
それらによって引き起こされる血糖値の乱高下に進化適応するにはあまりにも短い時間です。

血糖値の乱高下が日常化されると、膵臓のランゲルハンス島の機能に異常をきたしてしまいます。

血糖値が急上昇とまでは行かないような通常の食事の血糖値の上昇でも、膵臓のランゲルハンス島が過剰に反応し、インスリンを過剰に分泌し、結果として血糖値が低い状態が常態になってしまいます。

血糖値が低いと、前記のチェックリストにあるように、身体が疲れたような感じになり、甘いものを食べたくなります。
そこで甘いものを食べると血糖値が急上昇し、その直後に急降下し、また甘いものを食べたくなる……と言う悪循環にはまり込みます。

そうなると、低血糖の状態が常態になり、だるい・やる気がでない・疲れやすいと言う感覚が常につきまとうようになります。

この状態が高じると、通常の食事に対してもインシュリンが過剰に分泌され、血糖値が急降下してしまいます。

この影響が自律神経に及ぶ人は下記の症状が現れます。

それだけでなく、身体の中で最も大量に血糖を必要とする器官である脳は、最大の影響を被ります。
これが、普段はおとなしい人間がいきなり乱暴になる原因となっています。

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