緊張型頭痛と偏頭痛が同時に起きる!?(その1)
転勤家族に生まれ育ったもので、短いと2年、長くても4年ほどで転校を繰り返していました。
どこに転校しても開拓以来の農村共同体が頑強で、よそ者をあまり歓迎してくれないのが基本的な気風でした。
子供社会も同断と言おうか、よそ者の子供が分け入っていくには多大なエネルギーが必要でした。
会話の糸口が何だったろうか、と思い出すと祖父か祖母の頭痛話だったりします。
「おばあちゃんが月に10日間は不機嫌そうにしているんだ」
と言われると
「父方のおばあちゃんがそうだな」
と返し、
「じっちゃんがやっと良く効く頭痛薬を手に入れたと喜んでいたんだけど」
と言われて
「そりゃあ頭がズキズキってやつだべ。
でも何年も飲み続けると効かなくなって、うちのじっちゃんも、十何錠も酒で流し込んでいるな」
と答えたりしていました。
今から考えると緊張型頭痛や偏頭痛だったんだなぁと思い当たるのですが、その当時に家の中にあった婦人雑誌の健康欄や「家庭の医学」関係の本を見ても、そのような頭痛の原因は明確に書いていませんでした。
原因が明確な頭痛となると非日常的と言おうか、命を落としてしまう病と言おうか、いわゆる卒中と言われるような疾病が並んでいました。
ただ、漠然と頭痛には2種類あって、どちらもいやだよなぁと思っていました。
中には 「不機嫌な状態が続いて薬を飲むのと治まるようなんだけど、今度は頭を抱えるような痛みが来るんだ」 と言われると 「ひでえ。いつだりかつだり頭痛だべ。どーなってんだ」 と応えるしかなかったのを覚えています。
幸い筆者自身も両親も、偏頭痛も緊張型頭痛もなかったので頭痛薬とも縁がなく、他人事でした。
それが他人事でなくなったのは大学に入ってアルバイトで学習塾の講師を始めた時の事です。
筆者は基本的に数学と理科でしたが、英語や文系科目の講師には女子が担当する事が多く、まだ大人としては成長途中で、体調が不安定であり、とりわけ頭痛もちのが多く、相談される事が一再ならずありました。
別に筆者に人望があったわけでなく、理系の特に生物専攻でしたから、何がしかの知識があるんじゃないか、と期待されたわけです。
当時から筆者は大学の図書館の常連のようになっていたもので、期待に答えようと頭痛に関する書籍をあさったり、学内の保健体育教諭養成コースの学生に質問したりしました。
ですが、当時の医学水準では頭痛の原因は明確に判明しておらず、結局は対症療法を伝えるだけに終わってしまいました。
ただ薬物に関しては、偏頭痛に効く薬に関しては、知り合いに身内の偏頭痛に悩まされた経歴のあるい人物がいて、しつこいほど継続的服用の危険性は指摘されたことが印象的ででした。
とは言え、基調は慢性的頭痛で、定期的にあるいは何か特定の状況で偏頭痛の発作が起こる、と言う2種類の頭痛がに悩まされる人々が少なからず存在するのには閉口させられました。
と言うのも、英語や文系科目の講師の女性講師たちがドタキャンするとしわ寄せが直撃するからです。
特に筆者などは教育大学で理科専攻なのにも関わらず、高校時代の成績は文系科目のほうが高かったと言う困った人間だったので、便利扱いされてしまったからです。
そしてドタキャンの理由が「ずっと続いていた頭痛が治まったと思ったら今度は頭が割れるような頭痛が来ました」と言うものがかなりの割合を占めていました。
当時、筆者が務めていた学習塾の教務管理や講師管理の権限を握っていた人々は、全員男ばっかりで、年長者でも30歳前後の、他の業界で言えば「青二才」と言うべきものであって、女性陣の「2段階頭痛」攻撃には極めて脆弱でした。
筆者は、頭痛と無縁な体質だったので、女性講師が「頭痛が」と休みの電話を入れてくるたびにため息をついていたものでした。