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うつとアルコール依存の関係が注目

お酒は、色々なシーンで飲みたくなるものですよね。
辛かったり、悲しかったり、腹が立ったりしたら自棄酒。
ひいきのチームが勝ったり、試験に受かったり、嬉しい事があれば祝い酒。
桜が咲けば花見酒。
雪が降れば雪見酒。
寝付けなくて夜な夜な寝酒…… 上手く付き合っていけば人生を豊かなものにしてくれます。
が、その一方では酒に呑まれて身を滅ぼす人がいる事も事実です。

近年、うつ病という言葉が社会に広く深く浸透するにつれて、うつとアルコール依存の関係が注目されるようになってきています。

ちなみに、うつ病とはどのような病気かというと、定義として「脳の機能低下に伴い、日常生活をまともに過ごせないほど感情が極端に落ち込んでしまった状態」の事を言います。
人は誰でも憂鬱な気分になることがありますが、何事もなければしばらく経つと元に戻るものです。
しかしそれがいつま経っても回復せず、次のような症状が複数同時に見られたら、そして2週間以上治まる兆しが見えない場合はうつ病を疑ってください。

  • 極端な体力の低下
  • 偏頭痛や腹痛の他、身体の一部の痛み
  • 極端な睡眠不足・あるいは過度の眠気
  • 食欲減退・あるいは過度な食欲亢進
  • 体重低下(正常通り食事を繰り返しても起こり得ます)
  • 自傷行為の進行

うつ病の原因は、実はいまだハッキリと解明されていません。

  • 過度のストレスの影響で脳内神経伝達物質のバランスが崩れた
  • 脳内の血行や代謝の衰え
  • 自律神経の機能低下
  • ホルモン分泌の低下

などなど挙げられていますが、比較的因果関係が解りやすい事例があります。

それはアルコールです。

うつ病とアルコールの関係

「うつ病とアルコールは鶏と卵の関係」と言うのは長年アルコール依存症者に関わってきた精神科医の談話の見出しです。

その談話の冒頭に「うつ病の人は(早く眠りたい)(不安感をなくしたい)などの理由から、治療薬を求めるようにお酒を飲みます。
酒をたくさん飲むと、一時的に眠りに入れます。
しかし浅い眠りしか得られません。
そこでさらに酒を飲む……」と言う、アルコール依存の人間には非常にありがちな現象が語られていました。

確かにアルコール依存症とうつ病の併発は頻度が高く、大別すると

  • (1) アルコール依存症者にうつ症状が見られる場合
  • (2) うつ病が先で、うつ病患者がアルコール依存症になる

の2つのパターンに分ける事ができます。

うつ病とアルコール依存症の関係をまとめた記事として次のようなレポートを見つける事ができました。

(1) 「アルコール依存症者がうつ病を併発する割合」
依存症の人には、過去1年間に限っても、うつ病が27.9%見られる、と言う事です。
これは非依存勝者に比べるとうつ病になる危険性は3.9倍で、高い頻度で両者の併発が見られると言う事です。
(2) 「うつ病患者と非うつ病者がアルコール依存症を併発する割合」
「うつ病患者と非うつ病者がアルコール依存症を併発する割合」という表があります。
これを抜粋すると、
  • (a) 現在の依存症者(ア) うつ病患者:21% (イ) 非うつ病患者: 7%
  • (b) 過去の依存症者(ア) うつ病患者:40% (イ) 非うつ病患者:16%
と言う事で、(a) のアルコール依存症者がうつ病を併発する割合は,現在のアルコール依存症者は3倍、(b) の過去のアルコール依存症者は2.5倍という頻度になっています。

うつ病とアルコール依存症が併発するパターンとしてとして4つ考えられます。

  • (a) 単なる併発または共通の原因(ストレス・性格・遺伝因子など)によル場合
  • (b) うつ病の症状である憂うつな気分や不眠を緩和しようとして飲酒した結果、依存症になった場合
  • (c) 長期の大量飲酒がうつ病を引き起こした場合
  • (d) アルコール依存症者が飲酒を止める事によって離脱症状の1つとしてうつ状態が見られる場合

このうち、うつ病とアルコール依存との時間的関係から、(b) のうようなうつ病先行型は1次性うつ病、(c) のようにアルコール依存先行型を2次性うつ病と言います。

治療法

両者の治療法としては、2次性うつ病の場合は、まず断酒から始める事が至当です。
これから入らなければ何事も始まりません。
1次性うつ病でも一定期間(最低数ヶ月程度)の断酒は必要不可欠です。
アルコールがうつ病の状態を増悪している場合もあって、うつ病の改善も期待できます。
また、抗うつ剤や抗不安薬などによる薬物治療を行う上でもアルコール摂取は避ける事が必要です。

アルコール依存症とうつ病の危険性

さて、アルコール依存症とうつ病と来ると避けられないのが自傷行為の進行です。

もともとアルコール依存症者は非アルコール依存症者と比較して自傷行為の危険性が約6倍高いとされています。
特にうつ病の併発・離婚や別離と言った対人関係のストレス・社会的サポートの欠如・非雇用・単身生活と言った事が自傷行為の危険性を高めるとされます。
加えて、アルコールの乱用そのものが自傷行為の危険性を高めます。

飲酒と自傷行為の関係は大きく

  • (1) 飲酒後の自傷行為
  • (2) 慢性的な飲酒と自傷行為
  • に大別できます。

    (1) 飲酒後の自傷行為
    • 飲酒が絶望感・孤独感・憂うつ気分と言った心理的苦痛を増強する。
    • 飲酒が自己に対する攻撃性を高める。
    • 飲酒は衝動性をたかめ、自傷行為に移すきっかけになる。
    • 視野を狭めて自傷行為を予防するための有効な対処手段を講じる事ができなくなる。
    (2) 慢性的な飲酒と自傷行為

    習慣的な飲酒に関して、約6万人の中年男性(40~59歳)を7年間(1993~99年)追跡した調査というレポートがあります。

    • (a) 月に1~3日程度飲酒をする人が自ら命を絶ってしまう危険度を1とする。
    • (b) 非飲酒者及び週にアルコール414g(日本酒1.8升に相当)以上の大量飲酒者では自ら命を絶ってしまう早退危険度が2.3。
    • (c) 少量ないし中程度の飲酒では自ら命を絶ってしまう危険度は低くなる。

    (0-137g:1.1、138-251g:1.2、252-413g:1.1)と言う事で、これを何と解釈すべきなのでしょうか。

    「酒は百薬の長」と言いますが、これはやはり「節度ある飲酒を」と言う事なのでしょう。

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