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喫煙とうつの関係性【その2】

タバコ飲みがタバコを止められない原因。

すなわち、ニコチン中毒者の自覚症状。

そう、「タバコを吸うとスッとする」とか「タバコを吸わないとイライラする」などの発言です。

これはどこから来るのか、自分自身でも疑問でした。

周囲の友人知人や、大学にいた頃は保健体育の教授(教育大学だったもので)などに訊き回ったものでしたが、「精神的なものでしょ」と言うのが応えの全てでした。
筆者としてはその「精神的」と言うものがどのようなメカニズムで現れてくるのかを知りたかったのですが、それは誰も応えてくれませんでした。
時代は1980年代の話で、「精神」と言うものが、頭蓋骨に鎮座まします大脳のはたらきの結果現れている事は解っていましたが、そのメカニズムを曲がりなりにも語れるようになるまでには、あと20年間の大脳生理学の学者達の刻苦勉励を必要としていたのでした。

そして、タバコをやめてから気がついた事は、有名人も、筆者の周囲の無名人も、老若男女を問わず、自殺した方々の圧倒的多数が「ヘビースモーカー」だった事です。

三原順はヘビースモーカーだった。
メジャーな少女漫画雑誌の編集部は漫画家の自殺を嫌う。
人には前向きな事を発言していたのに、突然病死した。・・・・。

これだけの材料で自殺と結論づけるのは乱暴である事は解ってはいるのですが、どうしても考えてしまいます。

以下ような情報に接しますと特に。

自殺者: ニコチン濃度高く 解剖例調査で判明 (毎日新聞)
高知大病院で02年10月~03年12月に実施した司法解剖のうち、腐敗が進んでいない31例の遺体について、血中のニコチン濃度を調べた。
喫煙の習慣があったのは13人。
このうち、自殺した8人(男性6人、女性2人)の濃度は血液1リットル当たり65.1~205マイクログラム(マイクロは100万分の1)だったのに対し、その他の5人(男性4人、女性1人)は同4.4~62.1マイクログラムで、顕著な差があった。
平均値では約3.5倍も違った。
ニコチンは肝臓で分解されるため、血中濃度をみれば死亡直前の喫煙状況がわかるという。

これは「自殺者にヘビースモーカーが多い」と言う経験則を裏付ける情報です。

そこで、もう21世紀に入って16年も経つんだから、そのメカニズムを説明できるようになっているのではなかろうか、と思ってネットをあさりました。

そこで得られた情報を総合すると、以下のような事です。

タバコを止められない原因物質は周知の如くニコチンです。毒です。
コップの水にたばこ3本入れて茶色になった液体にゴキブリを入れると、あのゴキブリが身動きをする間もなく昇天するような。

ですが、事もあろうに、この物質は脳内の神経伝達物質と代替するように働くのです。

代表的な神経伝達物資として上げられるのは、以下の3つです。

  • ノルアドレナリン(ストレス対抗物質):やる気・集中力、そして不安・緊張を司る。
  • ド-パミン(快感物質):行動の動機づけ(意欲・喜び・快感)を司る。
  • セロトニン(気分・感情コントロール物質):ノルアドレナリン・ドーパミンの暴走のコントロールを司る。

タバコを吸ってから8秒でニコチンが脳に到達します。

すると、ニコチンは、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの代わりに脳内に作用するのです。

タバコを吸うと、「元気が出た」とか「気分が落ち着く」とか「もっと吸いたい」と言う状態になります。

喫煙体験のある方なら、必ず体感している感覚です。
これはニコチンが神経伝達物質の代わりをした結果なのです。

喫煙者は事あるごとにタバコを吸う(ニコチンを大量に摂取する)ので、もともと分泌されていた神経伝達物質は「なんだ、オレらは用なしじゃん。空っぽ病んでしまえ」と言う事で、分泌されなくなります(生体は根っこが怠慢なので)。

そしてドーパミン代替の作用で、必要がなくてもタバコを吸ってしまいます。

この状態が常態になるのがヘビースモーカーです。

常に大量の神経伝達物質代替物質が脳に作用し続けています。

なんだ、それならニコチンが供給され続ける限り問題はないじゃないか、となるでしょうが落とし穴があります。

常にニコチンという刺激を受け続けていると、同じ量のニコチンでは効かなくなっていきます。
ニコチン耐性と言う現象です。
より多くのタバコを吸わなくてはならなくなるのです。
しかし、どんなヘビースモーカーと言えども、24時間タバコを吸いっぱなしと言うわけには行きません。
人によっては1日8時間睡眠を取らなければなりません。

そうなると、脳としては神経伝達物質不足に曝される事になります。

  • ノルアドレナリン不足:意欲・集中力の減退
  • ドーパミンが不足:喜べない、楽しめない、意欲が湧かない
  • セロトニンが不足:不安感、恐怖感、厭世感を抑えられない

人それぞれに神経伝達物質の不足の発現の仕方は違いますが、どれが出てもそれはうつ病の症状です。

タバコ(ニコチン)依存と、吸っていない時のうつ状態のスパイラルが始まります。

特に厭世感というものは、容易に自殺願望につながります。

生活が充実しているのなら大丈夫ですが、何か問題があってストレスがたまった状態だと、ふとした瞬間に自殺願望に引きずり込まれかねません。

漫画家という職業は、白紙からストーリー作りもコマ割も作画も個人が行う家内制手工業(?)なので、ストレス発散に喫煙をする方が少なくありません。
特にコンスタントに作品を発表し続けている漫画家にとっては、タバコは手放せない精神安定剤です。

しかし、ベテランの漫画家の寿命は、日本人の平均寿命よりも明らかに短いという事実があります。
たとえば、手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫と言ったトキワ荘の面々がそうであったように。

過度の喫煙そのものが自殺行為と言ってしまえばそれまでなのですが、三原順が42歳、吉野朔実が57歳と日本女性の平均寿命にはるかに及ばない年齢で亡くなった原因がニコチン中毒としたら、元喫煙者の漫画好きとしてはやりきれないものがあります。

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