うつ病と摂食障害(前編:摂食障害とは)
飽食の国、日本。
深夜だろうが早朝だろうが、24時間営業のコンビニやスーパーに行けばいつでも食べ物が手に入ります。
お金さえあれば、が条件ですけど。
ともあれ、食べ物の確保がこれほど容易にできる状態は古今東西未曾有の事です。
しかし、そのような時代にあって、「食べ物」や「食べる事」に苦しんでいる人達がいます。
この不幸な人々が患っている病気の名前は「摂食障害」です。
近年では、「ゲキ太り」とか「ゲキやせ」などの報道にともなって、摂食障害と言う言葉が流布するようになっています。
ですが、言葉だけが独り歩きして、その実態は案外知られておりません。
摂食障害の症状は幾つかの種類に分類されています。
具体的には、下記の通りです。
- (1) 拒食症
- (2) 過食症
- (3) 特定不能の摂食障害
実態のハッキリしている(1) 拒食症、(2) 過食症について紹介させて頂きますと、以下の通りです。
(1) 拒食症
その名称の通り、「食べる事を拒む」症状です。
客観的に見て痩せ型体型であるにも関わらず、本人は「自分が太っている」と思い込んで食べ物を受け付けなくなってしまうケースが圧倒的です。
真っ先に目立つのは、体重の低下です。
食べないわけですから体重は急激に落ちていきます。
特徴的な症状は下記の通りです。
- (a) 「体重コントロール可能=自己評価アップ」と言う事でアグレッシブな動きをする人も見受けられますが、「カロリーをどんどん消費しなくては」と言う脅迫観念が働いている場合もあります。
- (b) 脳(特に大脳)に栄養が行き渡らなくなるため、脳の機能が低下します。
集中力の低下・持続困難、言語能力の喪失、反応の鈍さなど。 - (c) 女性の場合の生理不順が、栄養不足のためにホルモン分泌が正常に行われなくなるために起こります。
- (d) 拒食の結果、栄養分の不足になると、それが狙いの炭水化物や脂肪分の不足だけでなく、タンパク質の不足も洩れなくやって来て、身体がむくみやすくなります。
筋肉量が減少して身体の血液循環が滞ってしまうからです。
「また太った」と勘違いしてさらに厳酷なダイエットに走りがちになる人もいらっしゃるので注意が必要です。

この他、不整脈・骨粗しょう症・低血圧・便秘などの症状も見られます。
(2) 過食症
過食症は拒食症の逆で「食べ過ぎてしまう」病気です。
病気であるので、健常者が時折、「あー食べ過ぎた」などと感じるようなレベルではありません。
涙を流しながら、際限なく食べ続けるのがこの病気です。
おいしいから食べる、と言うよりは、摂食中枢の絶賛大旋回の結果「食べまくる」と言う状態です。
そして、消化器官にも自ずからキャパシティと言うものがあるので、入りきらない食べ物は自力で吐いてしまう「過食嘔吐」も症状の1つです。
過食症には主に次のような症状が見られます。
- (a) 過食嘔吐→拒食→過食嘔吐→拒食……を繰り返す事が多く、尋常ではない体重の増減を繰り返します。
- (b) 嘔吐によって出た胃液によって歯のエナメル質が溶かされてしまい、虫歯になりやすくなります。
- (c) 嘔吐だけでは足りず、体内に入った食べ物を一刻も早く出そうとするために、下剤を乱用する事があります。
そうなると、下痢と共に神経伝達に必要なカリウムが体外に流失してしまい、低カリウム血症という、筋肉が麻痺したり身体に力が入らなくなったり、と言う症状が発現します。 - (d) 拒食と同様に、体内のホルモンバランスが崩れてしまい、生理が来なくなります。

さて、この摂食障害の原因は何か、と言うと、様々な説が論じられていますが、いまだはっきりとした結論は出ていません。
と言うのも、拒食症は10代、過食症は20代に多く、それぞれの患者のうちの90%が序でいであることが大きいでしょう。
この手の学問の研究者と言うのは大部分が男性であるし、従来の就業観や産業観では10代・20代の女性のメンタルや体重の増減は「大した問題」ではなかったからであり、おそらく、今でもそうだからでしょう。
とは言え、この21世紀。
男性の甲斐性は消えうせ、望むと望まざるを問わず、10代・20代の女性から、過酷な労働環境で追い使われる時代になってきました。
したがって、10代・20代の女性のメンタルや体重の増減は「大した問題」になってしまっているのです。
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