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パニック障害に対する非薬物治療へのアプローチ01

パニック障害に対する治療法として最初にあげられるのが薬物療法です。

使用薬物として「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」・「抗不安薬」・「三環型抗うつ薬」などが使用されています。
ですが、その薬剤も継続的な使用にともなう副作用が重く、薬剤使用量を減らしたり中断した時の離脱症状は、薬物治療以前よりも社会参加を不可能なものにしかねないと言う、皮肉な結果をもたらしています。

そのため、薬物治療と平行して、うつ病の治療でもそうであったように、非薬物治療へのアプローチがはかられて来ました。

具体的に治療法を列挙すると下記があります。

  • 認知療法
  • 認知行動療法
  • 暴露療法(エクスポージャー法)
  • 系統的脱感作法
  • 弛緩訓練法(リラクゼーション・トレーニング法)
  • 自律訓練法
  • オーソモレキュラー療法
  • 血糖調節異常・機能性低血糖症の治療

(1) 認知療法

パニック発作に対する「認知モデル」という仮説があります。
概念的に書くと以下の通りです。

パニック発作に対する「認知モデル」

※例)電車に乗る(状況)→閉鎖空間に対する不安→身体感覚の変化(動悸・呼吸困難)→身体感覚に対する破局的解釈(「心臓発作」・「窒息死」・「このままじゃ死んじゃう」)
※上記のような流れで、頭のなかに誤った破局的な解釈が浮かんできて(自動思考と言います)、それによってさらなる危機感が生じ、不安感が増悪し、身体症状がエスカレートしていくと言う悪循環にはまり込みます。

上記はパニック発作に至る精神的・身体的変化の悪循環を模式的に表したものですが、この仮説に基づいた心理的治療法(カウンセリング)が認知療法です。

薬物療法と同等の効果が期待でき、なおかつ薬物的な副作用や離脱症状がないということで、注目されてきた治療法です。

パニック障害だけでなく、うつ病やその他の精神障害にも幅広く適用されます。

この悪循環に対して、思考記録表と呼ばれる記録用紙を用います。
具体的には、破局的解釈を含む自動思考に対して、そう考えた理由(根拠)とその内容を書かせて、その内容に対する反証を立てることによって、より現実的で建設的なバランスの良い考え方(適応的思考)を導き出します。
この方法により不安や恐怖感を軽減し、パニック発作の進行を抑制していきます。

◎思考記録表使用例
  • (1) 状況:土曜の晩、夜行列車の出発を待っている
  • (2) 気分:恐怖(98%)
  • (3) 自動思考:(a) 心臓発作を起こしかけている (b) 病院の手当が間に合わない (c) 自分はこのまま死ぬんだ
  • (4) 根拠:(a) 心臓が激しく速く打ち始めている (b) 汗をかいている (c) この2つは心臓発作の特徴だ
  • (5) 反証:(a) 動悸は不安の特徴である (b) 医者は「動悸は危険ではない」と言った (c) 以前に同様な状況で、深呼吸をしてリラックスしたら動悸が治まった
  • (6) 適応的思考:(a) 動悸や汗は、夜行列車にのる事で不安になり、緊張しているためだ。(b) 医者の言う通り、しばらくしたら心臓が元に戻る可能性が高い
  • (7) 今の気分:恐怖(25%)

先述のように、この治療法はパニック障害だけでなく、うつ病やパーソナリティ障害、摂食障害、薬物依存、その他の精神疾患の治療法として臨床的に適応される事が多くなって行きました。

その結果、認知療法に関する研究が進み、1980年代から「行動療法」と合体して「認知行動療法」と呼ばれるようになり、技法の幅が広がていきました。
その結果、パニック障害・強迫性障害・対人恐怖などの不安症や、発達障害、接触食障害、統合失調症の症状(幻覚・妄想)、パーソナリティ障害にも適用されるようになました。

パニック障害に対する非薬物治療へのアプローチ02に続く

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