緊張型頭痛とパニック障害05
カフェイン
カフェインは血管を収縮させる作用があります。
ですので、その多量摂取は緊張型頭痛を持っている人には、破壊的な結果しかもたらしません。
緊張型頭痛の最中にコーヒーや紅茶などでカフェインを摂取しようものなら頭痛はさらに悪化します。
「頭痛にカフェインが効く」のは偏頭痛に対してなのです。
また、カフェインのような覚醒作用を持つ物質を多量に摂取すると、それがパニック発作の引き金になりかねません。
パニック障害の患者は一般的にカフェインの不安誘導作用に敏感です。
なぜなら、カフェインがストレス時に恐怖や不安を引き起こす神経伝達物質であるノルアドレナリンの暴走を促進してしまうからです。
カフェインがノルアドレナリンの機能を抑制する神経伝達物質であるアデノシン(ATPの部品で有名)と類似した分子構造であるため、アデノシン受容体にはまり込んでしまい、アデノシンの機能を阻害するのです。
アデノシンの機能はノルアドレナリンの機能の抑制です。
アデノシンの機能で抑制されるはずだった「恐怖・不安(ノルアドレナリンの機能)」を、カフェインが抑制する事になります。
カフェインのアデノシン受容体への介入によって、ノルアドレナリンはその機能を増加させます。
ドーパミンの機能を高め、心拍数や血圧を上昇させて、動悸・頻脈・めまい・息苦しさを促進し、心理的に不安を煽りたて、パニック発作を誘発させます。
カフェインの過剰摂取は、健康な人でもパニックに陥らせる場合があります。
カフェインは交感神経を刺激し、心拍数・血圧を上昇させ、めまい・動悸・発汗・緊張などの症状を起こさせます。

アルコールと鎮静薬
アルコールはパニック障害の初期症状を緩和させる効果がありますが、中長期のアルコール使用はパニック障害を引き起こしたり、症状を悪化させます。
なぜなら、アルコールは睡眠の質を低下させるからです。
睡眠は2種類あります。
1つは脳が眠っていると考えられる深い眠りのノンレム睡眠です。
もう1つは身体が休んでいると考えられるレム睡眠です。
入眠直後に最も深いノンレム睡眠が現れ、その後はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に現れ、徐々に眠りが浅くなって覚醒を迎える、と言うのが通常の睡眠パターンです。

アルコールを摂取して寝ると、直後は深いノンレム睡眠に入るのでグッスリ眠った気にはなります。
ですが、時間が経ってアルコールの血中濃度が低下すると、反対に覚醒作用が働いてしまいます。
そのため、それ以降はレム睡眠の時間が長くなり、眠りが浅くなってしまうのです。
なので、睡眠時間もトータルで見ると、アルコールを摂取しない時に比べて短くなる傾向があります。
これでは、脳は十分に休まりません。
さらに就眠時のアルコール摂取がよくないのは、アルコールには「耐性」があるからです。
大抵の人は就寝時のアルコール摂取を続けていれば、次第に今までとは同じアルコール摂取量では足らなくなり、アルコール摂取量がますます増加していきます。
このうように、アルコールに限らず、薬物を摂取し続けていくに連れて効かなくなり、同程度の効果を得るには量を増やさなければならなくなるのを耐性といいます。
もともとアルコール耐性の少ない人もそれなりに、アルコール耐性のある人はさらに多くのアルコールを摂取することになります。
その結果、深いノンレム睡眠の時間が減少し、レム睡眠の時間が増加するなど、睡眠のパターンが崩壊します。
そうなると身体が疲労から回復する時間が不十分になってしまいいやすく、結果として疲労を蓄積させて行くことになります。
それは結果として、交感神経が緊張するような状況そのものなので、パニック障害を治すどころか、逆に悪化させてしまいます。
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