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うつと自律神経

女性は40歳を過ぎると卵巣の機能が徐々に衰え、それにともなって女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少していきます。
一般に45歳から55歳くらいの閉経前後の時期を更年期と言います。
閉経を境にエストロゲンが急速に減少することで、自律神経の調節機能が乱れやすくなります。
エストロゲンは、神経伝達物質であるセロトニンを介して、2つある自律神経のうちの副交感神経をを活性化します。
ですからエストロゲンの分泌量が減少すると副交感神経の活動が抑制され、交感神経が優勢になります。

またストレスがかかかると自動的に交感神経が働くため、交感神経による働きがさらに優性になります。

  • 子供の自立による「空の巣症候群」
  • 夫婦関係の変化
  • 親(実親義理親)の介護の問題
  • 生活環境の変化

その結果、身体的異変として、不眠、急激な顔のほてりやのぼせ・大量の発汗を伴うホットフラッシュや動悸、めまい、頭痛など身体反応が起こります。
このような症状を交感神経のストレス反応とか自律神経失調症といいます。
更年期障害の身体面の反応とも言えます。
そして、それは「うつ病」発症に伴う身体反応とも言えるのです。

交感神経と副交感神経の調節機能を、更年期障害関係の項目で対比させると以下のようになります。

  交感神経 副交感神経
脳・神経 興奮・覚醒 弛緩・眠気
神経の活動 闘争・逃走 休息・回復
拍動 増加 減少
血圧 上昇→頭痛 低下
胃腸の運動 動きが鈍り、便秘気味になる 活発に動き、下痢気味になる
膀胱・直腸の筋肉 尿や便をためる(便秘) 尿や便を出す(下痢)
汗腺 活発化 変化なし
神経伝達物質ノルアドレナリン アドレナリン アセチルコリン

自律神経失調症はうつ病への入口です。

交感神経が優性になり、副交感神経が劣勢になった自律神経失調症の段階では、交感神経が過剰に働いているため、疲労していてもまだ頑張りが効きます。
しかし、それは長続きしません。
交感神経が働きっぱなしで副交感神経が働けないと交感神経も身体も回復しないからです。
交感神経は回復できないので、やがてエネルギーが尽きてしまいます。
このエネルギーが尽きた状態が「うつ状態」です。

ですが、「うつ状態」はまだ「やる気を振り絞って」何とかやっている段階です。

これがさらに悪化して「もうがんばる気力もない。何もする気力すら起こらない」と言う脱力状態が始まります。
この状態が2週間以上続くと「うつ病」と言うことになります。

うつ病は、凄まじいがんばり方をしたためにエネルギーを使い果状態のです。
ですから、どん底の脱力感とやる気喪失になるのは、誰も非難できないでしょう。

さて、うつ病には様々な身体症状が出ますが、これは要するに自律神経失調症の症状なのです。

これらは全て交感神経過剰稼働状態である十分な証拠です。

そしてうつ病になってしまうと身体症状に加えて、精神の症状が出ます。

「やる気が起こらない」・「喜べない」・「笑えない」・「不安になる」・「集中力や思考力や記憶力が低下する」・「大事な事でもどうでも良くなる」などです。

自律神経失調症の時には交感神経が過剰に働くためエネルギーを過剰に使います。
そしてエネルギーが尽きるとうつ状態になります。

エネルギー枯渇状態では交感神経はもとより副交感神経も働けなくなります。

副交感神経が機能しないと言う事はいつまでも回復しないという事です。

と言う事は、うつ病になると、交感神経がdisableになるので働く事も遊ぶ事もできなくなり、副交感神経がdisableになるので眠る事も満足にできなくなります。

何もできなくて、ただただ辛い状態……更年期うつ病の発症です。

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