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統合失調症の暴力/暴言

急性期に於ける妄想・暴力に対する家族の対応

異常な思考内容を想起した時、第3者の指摘を介して訂正可能な状態ならば妄想とは言いません。
健常な人でも誤認知や錯覚は日常的に起こり得る事で恐怖心など感情によって目に写った信号を全く別のモノに能が編集してしまう事が在ります。

妄想疾患の場合、その現象には再起性・継続性があり他者から強く否定されてもなかなか受け止められ難い状態に置かれています。
この様な段階では強く訂正の求めても罹患者の妄想には改善が望めません。
従って否定するのではなくアプローチを変更する必要があります。
精神科の病院への通院には抵抗を感じる人もいて、その様な場合は総合病院へ「心の健康相談に赴く」という理由で来院しても特に問題がありません。
問題は罹患者が騙された形で強制診療させられる事です。
周囲との信頼関係が崩れた条件下の罹患者の予後効果に係る進展に大きく負の影響を与えます。

陽性症状では、暴力・暴言行為の対象が何なのかを考察する必要があります。
目に映っている物、耳にする音が正常時や他者とは異なる’もう一つの罹患者にとっての現実’がある事を病識として存知していたなら対応改善に余地も見えてくる来る可能性は否定できません。

注察関係被害念慮の下では概ね罹患者本人は概ね被害を受けている認識を積み重ねおり、ルサンチマンが強い人程、理不尽に怒りを感じます。
対象は国や社会なのか隣人や家族なのか状況によって様々です。
個の様に精神疾患を患っている事を罹患者自体、自覚できていない状態を病識欠如と言います。
この様に病識を持てない状態では妄想を周囲が闇雲な訂正を迫っても罹患者は理解出来ません。
罹患者は(させられ体験)という感情が増し、周囲の強要姿勢は予後の一助にも成りません。
長期間の放置は慢性化によって緊張型分列症を誘発させます。

一般的に精神疾患の場合の原因は間口が大きく、例外なく個人差を考慮せず一様な治療では予後として充足されない所が他の病症との決定的に異なる所です。
間口としては、先天的な脳障害・生育環境の状態・過度なアルコール摂取・人格障害が当症状に起因又は併発している可能性があります。

統合失調症罹患者・暴力統計

米国の精神医学雑誌『Archive of general psychiatry』誌2006年調査結果に基づくと調査対象1410人の罹患者の内、半年間内で暴力行為の有無を問うた結果、全体の内、19.1%が何らかの暴力を振るったとの回答が寄せられました。

その内軽い傷害行為が15.5%、深刻な傷害行為が3.6%です。

軽い障害行為 相手に怪我を負わさない。
若年層で制限された就業環境下で家族と同居している者で主に社会的、対人的への認知欲求が強い傾向があり、問題やトラブルを起こす者。
妄想の原因は主に薬物中毒が多い。
深刻な傷害行為 相手に怪我を負わせる(重/軽症)。
幼少期に於ける抑うつ性によって社会的繋がりが希薄である。
一見して内向的に思えるが内心はサディズム的な人格形成が成され、敵意・憎しみ・迫害・誇大妄想に支配され生物的に成長。
以上の条件と合致し、陽性症状が強く出るタイプが深刻な暴力行為とが重なる。

暴力の引金は圧倒的に他者の言葉に起因します。
主に公共の場に於いて、若者達による無配慮に吐露される暴言の一言が当人等にとって想定し得られない人の心に酷くダメージを与えます。

冗談半分の談笑や対話に偶然遭遇した罹患者は、自らの迫害や存在否定へと拡大解釈し直後にその者達存在に恐怖を覚え、更に抵抗手段を考察、それを実行した瞬間「通り魔」として広く被弾される事に成り社会復帰が一層困難な状況に負い込まれます。

統合失調症 慢性(期)

慢性期では陰性症状や認知機能障害等の症状が残り常態化している為、薬物療法と心理社会療法との組合せ治療を行うのが一般的です。
投薬量は揺り戻しを留意しつつ、無理の無い形で減量して行きます。
今日では不定形型の抗精神薬が主に採用されますが、薬の構造上ドーパミン分泌抑制に効能に比べ、セロトニン分泌抑制には若干効果に乏しく、投薬減量は多角的(臨床初め、これまでの予後経過などに沿って)慎重に行います。

心理社会療法とは糖尿病、高血圧症、精神障害の様に治療が長期に及ぶ場合、投薬される薬の意味を罹患者に理解して頂く事を最初に不眠など生活リズムの失調者に健康指導、その他、治療する上での生活上の問題、医師と患者との話し合いや取決め(コンプライアンス)を掲げる事を包括的に示唆します。
医師の指導に沿って薬の服用など自己管理出来ている場合を「コンプライアンスが良好」と表現されます。

治療内容や計画立案にも患者自身も参加し予後効率を高める方法が一部医療機関では採用されています。
この方法をアドヒアランスと言います。

前駆期・前兆期

前駆期(前兆期)は罹患者自身の病識の有・無に関係なく概ね3~5年の潜伏機関があります。
その間に症状が徐々に進行して行きます。
その間に本人もしくは周囲が変化を気付き、可能ならば患者同意の上、急性期に至る前に精神治療を受ける事が望まれます。
その理由は発症し妄想・幻聴で心が病む事のみ成らず、脳自体にダメージが受ける為です。
重度の統合失調症患者の脳をMRIで確認する明らかにと部分的に萎縮している所見もあります。
長期間の放置は最終的に生活機能まで侵され社会生活への復帰は略不可能です。
患者本人の人生にとって不利益にしか成り得ません。

尚、前駆期と前兆期の意味する所は同じで特別な規定は無い様です。

統合失調症の概要まとめ

生活障害
生活バランス及び対人関係など広汎に偏りが見られる。
病識障害
既に妄想、幻聴によって心に歪みが出来、自らを客観視(罹患者として)が出来ない。

2006年に精神分裂症⇒統合失調症に改名。

患者数

生涯罹患率
一生の間に罹患する可能性のある人数/世界全人口→0.7%
時点有病率
ある一時期に於いて罹患した事のある人数/世界全人口→0.46%
性別罹患比率
男:女 = 1.4:1

発症機会

  • 進学
  • 就職
  • 独立
  • 移転
  • 結婚等、環境の変化

発症年齢

10~30歳代がピーク

一卵性双生児

兄弟共に於ける発症率50%
(先天性の異常のみで発症する可能性については不明。但し生育環境面の状態により人格形成に差は生じる。)

素因・環境

先天的な素因と置かれた環境との発病率は1/3と2/3の割合。

罹患者が母体

出産後した子供の罹患割合は全人口の10%程度

症状

幻覚
目に見えないモノからの(悪意のある)干渉を知覚する事。
妄想
明らかに違う現実を想像する症状。
自意識過剰やその他過敏、脅迫神経症などと症状が重なる。
生活障害
日常における生活様式、近隣との関係などに問題を有す。
陰性症状の場合は特に塞ぎがちで誤解を受け易い。
会話行動障害
対話から要領良く聴き取れない。
話のポイントにズレが生じる。
注意散漫で作業ミスが多い。
感情障害
表情は基本的に平面的で緊張状態と疲労感を有す。
自らを理解してもらう事や他人との共感が困難
病識生涯
自らが病気に罹患している事が理解できない。
真摯に迫る人に対し猜疑心が心に淀む。
但し肉体的な疲労を初め神経過敏の様に断片的な体調変化は認知している場合が多い。

治療法

外来・入院治療に関して厳密なガイドラインは無く、患者側・医療側の意向が反映されます。

外来
以下の入院が必要な理由や本人の意向が無い場合は通院治療。
入院
薬の服用管理がルーズ。
妄想・幻聴が著しく生活に支障がある。
罹患者が苦痛故に入院を切望する場合。
陽性症状下で暴力により他者への傷害の可能性。
医療側の希望で詳細に観察したいケースの場合
薬物治療
基本的には薬物慮法とリハビリ・精神療法等と並行して実施される。
急性期・安静期など、薬物療法と診療治療との位置づけ(比重)を変更する場合があり調整する。
症状 薬の服用目的 薬の効用
幻聴・妄想・自我傷害 陽性症状の抑制・改善 抗精神病作用
不安・不眠・衝動性 症状の鎮静 鎮静催眠作用
感情・意欲傷害 陰性症状の抑制・改善 精神賦活作用

予後に於ける被害妄想の患者の感想は薬で洗脳される恐怖心を抱いた過去の記憶は完全に払拭されないが結果的に薬物治療後は精神的に楽に成った事や気分起伏の略、安定してきた事から服用への拒絶反応が減退、最終的には肯定的に変化する傾向が診られる。
向精神薬に馴化するまでは寒気・倦怠感・眠気などの症状が強く出る場合があり、被害妄想では無くても服用回避を望むケースが多い。
その様な場合担当医に相談し薬の量や種類の変更を求める事が合理的。

脳内分泌物質と言動との関係
脳内分泌物質と言動との関係
維持療法
現状に於いて妄想・幻聴など陽性症状が略鎮静化し安定している場合でも一定期間最低限の服用を行う治療方法で、揺り戻し(再発)に対する予防効果が目的。
予後が適切であれば仮に再発があっても、起伏の幅が徐々に小さく成る傾向が確認出来る
服用の中止・減量
一般的な目安として罹患者が初発の場合1年間、再発経験が有する場合では5年間以上、症状安定が確認された場合、服用減量へ試行。
症状の再発乃至は兆しが在る場合、通常の服用に戻す方法を執る。
但し個人差が大きく期間、減量パターンは一概に厳密な規定は無い。
但し患者自身の自己判断による中止は症状悪化や治療の長期化の可能性が予想され、本来認められません
副作用
10年間の長期治療を前提に作られた薬である為、効果も限定的に抑えている為、基本的には副作用は殆ど無い仕様に成っています。
罹患者が服用する事で体調を崩し、耐え難い場合は主治医に相談して少しでも体に合う薬に変更して頂く方法は有効。
肝臓や腎臓にも疾患が在る場合は、精神薬とは限らず、服用による副作用の発症は否定出来ません。
従って関連する疾患がある場合、約3ヶ月単位で尿検査や血液検査など行う事が必用な場合もある。
随伴的副作用
想定されうる抗精神薬による副作用で健康的な問題は無い症状。
機械操作(車の運転などは留意事項に相当)
  • 眠気
  • 倦怠感
  • 立ちくらみ
  • 口渇
  • 便秘
  • 体重増加
深刻な副作用
極稀に体質上の問題で悪質な副作用(悪性症候群)が伴う場合もあり、主治医に相談が必要。
  • 発熱(高熱)
  • 筋肉硬化
  • 自律神経の失調
リハビリ
sst(社会生活技能試験)項目に基づいた機能回復訓練
  • ①コミュニケーションや対人関係構築能力、自立した生活能力の回復の為の訓練
  • ②仕事に対する集中力・持続力・作業能力回復・複数人と関わった共同作業・就労を前提にした訓練

研究状況

  • ①脳神経伝達物質の分泌異常
  • ②脳細胞の萎縮(成人以降での脳体積減少は経年に伴う現象と際立った隔たりは確認されていないが平均的な症状として否定できない状況)

①②の原因についても不明確な点が多く特定遺伝子配列によって罹患し易い状態に置かれる推測も完全否定ができない。
尚、後天的な因子と発病とが因果関係として有力。

統合失調症のタイプ別まとめ

タイプ 発症時期 基本症状
破瓜型 10代後半~20歳代 陽性症状の突発性が少ない(抑うつ症状の持続)。
緊張型 20歳代 陽性症状の際、突発的に興奮及び昏迷状態を繰り返す。
安定期中に幾度かは、症状の揺り戻しの可能性あり。
妄想型 30歳以上 上記2タイプに比べ症状は軽く、妄想・幻聴について罹患者本人の病識があれば表面的には健常者と変わり無い。
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