トップページ >> 統合失調症の異常行動『子供と高齢者』

統合失調症の異常行動

統合失調症の症例には多様性が在り、同じ型でも個人差によって様々な経緯を経て完治及び、寛解する場合も不治の場合もあります。
この場合不治とは本人の寿命が精神治療の完治に至る前に絶えた場合を意図します。

敢えて最大公約的な統合失調症の特徴として挙げれば、言動に一貫性がなく、複数の事柄を同時に支持された時の行動に硬直・混乱が生じ、重度な症例ではパニックに浸る事もあります。
患者当人は上記の様な言動に対し自らの異常を認知出来ないという事も特徴です。
せん忘など記憶を切断される場合や幻聴や妄想現象に対し当人にとっては知覚した「現実」だからです。

統合失調症の国内羅患数は公表データから75~76万人と言われていますが、緩やかな増加傾向を維持しています。
先の数値はあくまで、認知件数で通院及び在院治療を受けている人数です。
従って自覚ない場合など潜在的には120万人以上は存在するであろうと言われています。
尚この数字は総人口の1億2千万人を鑑みると、全国民の1%程度を占める事を意味します。
又稀に幻聴や妄想現象を知覚しながら、慣習や常識に基づいて理性が拒む場合もあります。

異常行動の主な様式として以下の様な症例が挙げられます。

症状 内容
支離滅裂 言動の統一性が欠落する。
質問に対し的外れな応答をする。
意味不明で文章に成らない文章を読み上げる。
妄想 現実に存在しないモノ・事を考えます。
陽性の誇大妄想~陰性の被害妄想まで症状が複雑です。
症状起伏が大きい時は陽性と陰性の場合に倣って交互に妄想内容に反映させます。
幻覚 幻覚とは患者が感覚器外で知覚/感応してしまう様に思い込む症状です。
心霊・テレパーシー・透視などの体現を指します。
又超常的な出来事を確信し他者に強いる様に成る。
睡眠障害 統合失調症発病の予兆の代表例です。
REM睡眠状態が長く、眠りが浅く一定の睡眠を摂っても倦怠感が採れません。
夜間から朝/昼寝時間の癖が付き逆転生活に浸ります。
自我崩壊 自分と他人との境界が無く成り自分の考えを他人が話している様に感じます。
従って重度化に伴って自分の心の内を誰かに盗み撮りされている様な感覚に浸ります。

高齢者の統合失調症

19世紀末頃の認知症の区分

一般的に分裂症は現在の表現に直すと内因性・統合失調症に区分されます。
この場合の分裂症は青年期(20歳前後)に発症する早期統合失調症又は早期認知症と定義されていました。
しかし臨床では、年齢的に若年発症とは区分し難い症例も多発し、先の定義との間に矛盾が発生しました。
従って中高年の発症の場合に遅発統合失調症又は老人性精神病として、新たに区分枠を設ける様に成りました。(外因性:薬物・アルコール常用など外部からの摂取物が原因と成る症状の事)

遅発性統合失調症

20世紀半ば頃の精神学上での認識では発症年齢が概ね40歳以上での発症を遅発性とし、それより若年での発症との間に境界を設けました。

遅発認知症と早期認知症とを発症割合を比較し全ての統合失調症例との割合では約15%を占め多くの症例を持っています。
性別での比較では女性の割合が高いと言われていました。
これは単に寿命の長短が関係している事か、当時の抑圧された男性社会中心に原因があるのか未確定で、実証には至っていません。
主な症例では主に陰性傾向が有意です。

  • 妄想症状
  • [陰線]不安・抑うつ⇒[陽性]緊張型
  • 急性錯乱症

DSM(精神障害診断統計というマニュアル

1952年DSMという精神障害診断統計マニュアルが米国精神医学会によって作成され国際標準のICDと共に広く利用されています。
設立時のマニュアルをDSM-Ⅰと呼ばれ後年に於いて新解釈や新症例の発見や治療法の発展によて内容更新され今日採用されているマニュアルは2013年改訂されたDSM-Ⅴです。

1980年改定されたDSM-Ⅲマニュアルでは45歳以降の発病が遅発性統合失調症と定義され、これまでの40歳の定義とは矛盾が生じました。
7年後にはDSM-ⅢRという改定版で年齢定義が削除、その後も幾度か改定を繰り返し2000年に改定されたDSM-Ⅳ TRでは年齢で統合失調症を区分する方法に対し解釈に幅を持たせています。
45~60歳での発病を遅発性統合失調症とし、60歳以降の場合を最遅発性統合失調症様精神病として新たに区分規定が成されました。

尚、最遅発性...と(早期・遅発性)統合失調症との間に、異なる因子の存在を完全否定出来ず暫定的な意味合いで定義しました。

最遅発性統合失調症様精神病の特徴

  • ① 統計上、孤独な女性の発症が多い。
  • ② 妄想症状が最も共通症例で続いて陰性症状及び分裂病(緊張型)に類似した症状が現れる。
    尚、陰・陽症状は共に持続性は限定され、症状も概ね軽度。
  • ③ 分裂病(解体型)の症状は稀で、完全な社会性の消失はあまり見られない。
  • ④ 視覚・聴覚障害者が多く、妄想・幻聴発症者の4割は聴覚障害を患っている。
  • ⑤ 抗精神薬の効果が比較的良好。
  • ⑥ 循環器等の疾患を伴っている患者が多い。

認知症の特徴

アルツハイマー認知症の特徴は妄想障害が4割以上占められ、不具合な状態を家人や面識のある人物がターゲットにされます。
一般的に症状発生時の状態は興奮且つ攻撃的です。
症例は下記の主に下記の様な妄想が挙げられます。
その他の妄想は個々人特有な妄想で、仮に妄想内容が常識を逸した荒唐無稽である場合、症例の性格上、他の症例とも疑われ認知症として診断される為には時間を要します。

  • 物盗妄想
  • 見捨てられ妄想
  • 人・場所に関する認知妄想
  • その他の妄想

譫妄

原因が環境によって生じる妄想です。
高齢者に限った事では在りませんが、代謝が不活性な状態が促進要因と成ります。

夏場など脱水・低栄養・電解質異常・感染症などによる全身状態にダメージが加わった際に発症します。
主に断片的・一貫性のない妄想を見ます。
しかし速やかな適切な対応によって、遡及性が直ぐに確認でき診断的には容易な症状です。

アルコール関連性持続性精神状態

長期間アルコールの大量摂取の後遺症で統合失調症の様な症状が生じます。
一般的には慢性アルコール中毒と呼ばれています。
この場合主な症例は嫉妬妄想です。
アルコール中毒の解消は薬物ショック療法も有効です。
シアナマイドCH2N2という薬物はエチルアルコール⇒アセトアルデヒド⇒酢酸への酵素分解過程に於いてアセトアルデヒドの分解を抑制する働きがあります。
アルデヒドは基本的に毒物で体内に蓄積されると吐き気や頭痛症状を促します。
酷い二日酔い状態に長時間晒す事で飲酒に抑制を促す方法です。
尚、シアナマイドは個人利用は法律上禁止されている劇薬指定薬です。
従って医師の処方箋による購入が原則です。

子供の統合失調症

子供の症状自体は青年期に於ける早期統合失調症(認知症)とは略同様です。
つまり脳内での知覚や、思考を巡らしたり、判断する思考との間にバランスを失う症状です。
人との交流や社会的生活がうまくコントロール出来ない状態に至ります。
主な症状は幻覚症状です。
発症時、頭に浮かんだモノを執拗に他者に伝達したり、現実の物事との間に区別や論理立てが付かない状態に浸ります。
早期治療の機会が無いケースでは解体型の症状に近く支離滅裂な思考混乱などへ進行します。

子供の場合、発症時期は性別によって大差はありませんが、発症時期の平均年齢では若干、男の方が早く症状が出ます。

早期認知症の発病時期が大概,10~20歳代がピークと言われますが。
10歳代前半で発症するケースもあります。
しかし子供の夢想などは珍しい現象では無く、直ちに精神異常として結びつけるケースはむしろ少数です。
しかし症状の進行も他の症例と比較しても早く、早期発見、早期治療が求められます。
又、医療機関の選択では小児科専門を有する精神科への来診が適しています。

発症の兆しとしては、就学児の場合、不登校・チック・異常行動が挙げられます。
これらの経過の後、常に誰かから非難されている様に、又は、他人から自尊心を破壊されている様に妄想を抱く様に成ります。(注察/関係被害念慮)加えて対人恐怖も生じそれからの回避の為、部屋に籠る様に成ります。)
喜怒哀楽の意思表示が乏しく成る一方で、小さな刺激でカンシャクを起こすと言った現象も現れます。
大人より語彙を用いた表現能力が乏しい為に、奇妙な遊びや不可解・突発的な行動と成って現れます。

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