自律神経失調症は交感神経と副交感神経の乱れによるもので、精神的不安、ストレスが溜まるなど心がとても苦しいです。
治療方は大きく薬物治療と心理療法的な治療に分かれます。薬物療法では自律神経失調症や抗不安剤などが用いられます。
そのなかで漢方薬も出番の多い薬に挙げられます。
漢方薬とは、とてもポピュラーな言葉になっていますが、実際あまり詳しくは知られていません。漢方薬について紹介します。
漢方薬は、「自然界にある植物や鉱物などのうち、薬効を持つ」部分を一定の法則のもと、原則として複数組み合わせて作られた薬です。
何千年という長い年月をかけておこなわれた治療の経験によって、どの生薬の組み合わせるとどんな効果が得られるか、また有害な事象がないかなどが確かめられ、漢方処方として体系化せれました。
現代における漢方薬も「自然の恵みを利用して出来ている薬」という基本的な部分は変わりません。
その一方で、最新技術を駆使した「製剤」として生薬の持つ薬効を引き出し、かつ服用・保存しやすい状態に加工されたものになっています。
病院で処方される多くは、健康保険が適用される「医療用漢方製剤」で148処方が厚生労働省に承認されています。
植物の葉・花・つぼみ・茎・枝・根・また菌類、鉱物や昆虫など、長い経験の中で効き目があるとされた物質を、利用しやすく、保存や運搬にも便利な形に加工したものを「生薬」といいます。
それを混合して使用する治療薬が漢方薬です。漢方薬の特徴は生薬の複合効果にあるのです。
植物といっても、花や果実、種、根、茎、樹皮、葉など、草木によって用いる部分が異なります。
ゲンノショウ、センブリといった、昔から経験的に使われてきた主に一種類の薬草からなるものを民間薬といいます。
家庭で治せる範囲やケガや病気に使われてきたものです。使い方にも医学的な背景はありません。
漢方薬は原則として2種類以上の生薬を、決められた分量で組み合わせて作られたものです。
漢方医学に基づいて、用いる条件も細かく定められており、治療効果のある医薬品として正式に認められています。
また、サプリメントも栄養補助食品という名前のとおり、あくまで食品の一つです。健康食品も同様です。
漢方薬は生薬を原料にしているため「副作用がなくて安心」と思ってる方も多いでしょう。
しかし漢方薬も薬なので、副作用はあります。場合によってはアレルギー反応をおこすこともあります。
まれに重大な副作用やアレルギー反応が出ることもあるので、おかしいなと思ったときは、すぐに医療機関に相談するようにしましょう。
多くの漢方薬は、その人の体質や症状に合ったものでないと、十分に効果を発揮することができません。
その体質を見極めるためには、これから説明」する漢方特有の「ものさし」が必要で、漢方に詳しい医師は、その「ものさし」をもとに、患者に合った漢方薬を選んでくれるのです。
漢方では、独自の理論にもとづいて体質を診るオリジナルの「ものさし」があります。
それが「証(しょう)」と「気・血・水(き・けつ・すい)」です。
漢方では一人一人の病態だけでなく、体質を重んじで漢方薬が処方されるのです。
そのため、とくにはニキビの治療なのにお腹を診たり、冷えの症状なのに生理(月経)の状態を聞いたりなど、治してもらいたい病気や症状とは関係なさそうな部分も診察したり、内容を聞いたりします。
それは、その人の体質を見極めた上で、その人に合った漢方薬を処方するために必要な診察なのです。
「証」とは、分かりやすくいうと、「その人の状態(体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などの個人差)をあらわすもの」です。
本人が訴える症状や、体格などの要素から判別します。
そして漢方ではその「証」に合った漢方薬が処方されます。
したがって、同じ症状でも、自分の「証」と他の人の「証」が違えば、当然、処方される漢方薬も違ってきます。
自分が服用している漢方薬が同じ症状だからといって、他の人が飲んでも効果が期待できない可能性があるのは、こういった理由があるからなのです。
「証」の分けかたのひとつに「虚・実(きょ・じつ)」があります。
体力や抵抗力が充実している人を「実証(じっしょう)」、体力がなく、弱々しい感じの人を「虚証(きょしょう)」と言います。
実証な体質 | 体力がある。筋肉質でがっちり。血色がよく、肌つやがある。大きくて太い声。胃腸が強すぎて便秘気味。暑がり。 |
---|---|
虚症な体質 | 体力がなくて弱々しい。細くて華奢。顔色が悪くて、肌が荒れやすい。細くて小さな声。胃腸が弱くて下痢をしやすい。寒がり。 |
一方、「気・血・水」は、不調の原因を探るものさしです。
漢方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素が体内をうまく巡ることによって、健康が維持されて、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気、障害が起きてくると考えられています。
そのため、診察で「気・血・水」の状態を診て、どこに原因があるか探っていきます。
気 | 目には見えない生命エネルギーのこと。「元気」の気、「気力」の気、「気合」の気。 「自律神経(体の機能を調節する神経)の働きに近いと考えられています。 |
---|---|
血 | 全身を巡ってさまざまな組織に栄養を与えます。主に血液を指します。 |
水 | 血液以外の体液全般に相当し、水分代謝や免疫システムなどに係わっているものとされています。 |
- 気の不調
-
気虚 無気力や疲労感、だるさ、食欲不振など 気滞、気うつ 頭重、のどの詰まった感じがする、息苦しい、お腹が張るなど 気逆 のぼせや動悸、発汗、不安感など
- 血の不調
-
お血 月経異常、便秘、肩こり、おなかの圧痛(押すと痛む)、色素沈着など 血虚 貧血、皮膚の乾燥、脱毛、血行不良など
- 水の不調
-
水毒、水滞 むくみ、めまい、頭痛、下痢、排尿異常など
漢方では、主にこの「証」と「気・血・水」の2つのものさしを診て、処方を決めていきます。
その人にもっとも合った漢方薬を導きだすために行われるのが、「四診」という独自の診断です。
- ①望診
- 顔色や症状、態度、姿勢、体型などを診ます。舌を診る「舌診」をすることもあります。
- ②聞診
- 声の大きさやトーン、話し方、咳の出方、痰の様子、呼吸音などを聞く診察です。体臭や口臭を嗅ぐこともあります。
- ③問診
- 自覚症状やこれまでかかった病気、食べ物の好み、ライフスタイル、仕事、月経の様子など様々なことを聞きます。
- ④切診
- 体に触れてその状態を診ます。大きく分けて脈を診る「脈診」と腹部を診る「腹診」があります。
以上のように、漢方に詳しい医師は漢方的な診断法を用いて、その人に合った漢方薬を選んでくれます。
ただし、こうした診断には患者側の協力が欠かせません。
自分に合った漢方薬を見つけるには、医師とのコミュニケーションをよくとって、患者と医師の二人三脚で治療に取り組んでいくことが大切なのです。
多様な症状が現れる自律神経失調症の治療は、漢方の得意分野のひとつです。
漢方医学の考え方には「気・血・水」というものがあります。自律神経失調症は、この3つのバランスが崩れ始めると症状がでます。
その人体質(「証」)や随伴症状などを考慮しながら、気や血を整える「気剤」や「駆お血剤」などの漢方薬を使って、症状を取り除いていきます。
実証 | 柴胡加竜骨牡苞湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、大承気湯(たいじょうきとう)、女神散(にょしんさん)など |
---|---|
虚心 | 香蘇散(こうそさん)、加味帰脾湯(かみきひとう)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)など |
- ①柴胡加竜骨牡苞湯
- 神経症、更年期障害、高血圧、自律神経失調症、不眠症、うつ状態、パニック障害、不安、動悸、陰萎、小児夜泣き。精神不安、イライラ感、肩こりがあり、上腹部全体の腹筋が厚く張っている。円形脱毛症などに効果があります。
- ②大承気湯
- 便秘症、高血圧証、神経症、うつ状態。腹部膨満して腹筋緊張が強く、便秘する、精神不安、興奮状態、不眠などに効果があります。
- ③女神散
- 産前産後の神経症、自律神経失調症、血の道症、月経不順、更年期障害。のぼせ、めまい、精神不安、動悸、不眠などに効果があります。
- ④香蘇散
- 風邪の初期、うつ状態、頭痛、じんましん、胃腸虚弱で神経質な人。
風邪初期→頭痛、頭重、食欲低下がある。風邪以外→食欲不振、抑うつ状態、不眠、精神不安、頭痛など 以上に効果があります。
- ⑤加味帰脾湯
- 不眠症、神経不安、神経症、貧血、更年期障害、うつ状態、動悸、健忘が見られる。食欲不振、全身倦怠感、鼻出血などに効果があります。
- ⑥柴胡桂枝乾姜湯
- 風邪、気管支炎、気管支ぜんそく、慢性肝炎、自律神経失調症、不眠症、更年期障害、血の道症、神経症、うつ状態。痩せ型で顔色が悪く疲れやすい。
脇腹の腹筋が張っている。動悸、息切れ、微熱、熱感、ねあせ、口渇、不眠、食欲不振などに効果がある。
漢方の診察では、独自の「四診」と呼ばれる方法がとられます。
漢方薬治療を行うに当たって、対質改善を目的にする場合、長期にわたる服用が必要となります。忘れずに根気良く飲み続けることが、症状改善の最大の鍵となります。
もちろん漢方薬だけに頼らず、ストレスや疲れをためず、生活リズムを守ることも、自律神経失調症の改善には必要です。
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- 子供のコミュニケーション障害は個性との区別が困難。
- 大人のコミュニケーション障害
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- コミュニケーション障害は遺伝するの?
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