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緊張型頭痛に効果的!?『抗不安薬』

緊張型頭痛に対する薬物治療として、鎮痛薬、筋弛緩薬と紹介してきましたが、最後に出てくるのが抗不安薬です。

抗不安薬とは、緊張した筋肉の凝りを和らげる働きがあります。
不安や緊張、イライラを和らげるので、心と体をリラックスさせる目的でよく使われます。
副作用として眠気、ふらつき、脱力感があげられます。

眠気

抗不安薬の種類としては、選択的セロトニン再取り込み阻害薬薬剤(SSRI)や、アザピロン系、そしてベンゾジアゼピン系などがあります。

ベンゾジアゼピン系の薬剤は、抗不安作用・筋弛緩作用・催眠作用(眠くする)・抗痙攣作用の4つの作用がある事が知られています。
精神科に初受診と言う患者にはベンゾジアゼピン系の作用の穏やかな薬剤を処方される事が多いようです。
その代表として上げられるのがデパス、セルシンなどです。

ただ、デパスは以前に紹介したので、今回はセルシンを紹介させていただきます。

セルシン

セルシンはベンゾジアゼピン系の抗不安薬として、1964年に武田薬品工業から発売された薬剤です。(セルシンは商品名で物質名はジアゼパムと言います。) 古い薬剤ですが、鎮静作用・筋弛緩作用・催眠作用・抗痙攣作用・自律神経調整作用などの作用を持つ併せ持つ薬剤であり、作用が穏やかなため、鎮静剤・催眠剤・抗痙攣剤・自律神経調整剤・頭痛薬として広く使われています。

セルシン(ジアゼパム)の作用機序は、大脳辺縁系及び視床・視床下部に作用して鎮静作用をもたらします。
神経伝達を抑制するGABA神経系上に分布するベンゾジアゼピン受容体と結合し、GABA神経系の作用を増強させます。
結果として神経伝達がが抑制され、鎮静作用・抗不安作用・筋弛緩効果へとつながります。

鎮静作用に対する耐性は服用開始後から数週間以内に形成されますが、抗不安作用に対する耐性は形成されません。

臨床的には心身症や不安神経症、パニック障害など各種の不安障害を中心に、自律神経失調症・更年期障害・うつ病や不眠症・などに処方されています。

また、筋弛緩作用があるので、腰痛・肩凝り・首凝り・けいれん性の病気、および緊張型頭痛などの治療に応用されることが多くなってきました。

また、セルシン(ジアゼパム)は古い薬剤であるため、剤形が多くのヴァリエーションに富む事もメリットも上げることができます。

錠剤だけでなく、粉薬・シロップ・注射・座薬など多数の剤形がそろっています。

患者の年齢や健康状態に合わせて処方することができるという治療者側にとってのメリットもあります。

また、作用時間が長いと言う特徴があります。
セルシン(ジアゼパム)服用後、約1時間で血中濃度が最大となり、半減期が50時間(2日強)ほどと報告されています。
さらには、セルシン(ジアゼパム)が体内で代謝・分解された結果できるジメチルジアゼパムの半減期も時間~180時間(1週間強)と非常に長いことが報告されております。
この事からセルシン(ジアゼパム)の作用時間はかなり長い事が判断できます。

以上、この薬剤の長所と言うべき特徴を紹介してきましたが、長所と短所は盾の両面というもので、セルシン(ジアゼパム)の薬剤としての短所は…。

  • 抗不安作用、筋弛緩作用、催眠作用、抗けいれん作用の4つの作用がまんべんなくあるため、副作用が現れやすい。
  • 作用時間が長いので薬効が体内に残留しやすい。

と言うものです。

副作用として、眠気・注意録低下・集中力低下・ふらつき・めまい・倦怠感・脱力感などが出ます。

ふらつき

それから長期服用の結果、効き目が低下したり、不用意に服用を中断すると離脱症状が出ます。

セルシン(ジアゼパム)の効き方が比較的穏やかと油断して摂取しすぎると思わぬ事故が出ます。

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