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うつ病治療に関する薬剤について

うつ病の定義として「脳の機能低下に伴い、日常生活をまともに過ごせないほど感情が極端に落ち込んでしまった状態」とあります。

「感情が極端に落ち込む」というからには、うつ病患者は、それほど積極的な行動は取れない人々なのだろうな、と思っていました。

ところがうつ病患者の中には積極的な人もいらっしゃって、うつ病患者に対する病院の薬剤処方の実態をレポートしてくださっています。

「憂鬱な気分が何時までも続くので、精神科を受診する事にしました。でも1つの病院だけでなくセカンドオピニオン・サードオピニオン・フォースオピニオン・フィフスオピニオンを得ようと言う事で、5つの病院に通ってみました。
その結果、うつ病と診断したところが2つ、双極性障害と診断したところが3つ。
精神病院によって、診断が変わるのです。
その時処方された薬です。

  • パキシル、リスミー
  • リボトリール
  • バレリン錠
  • マプロミール、チスボン錠、ユーパン、ジアゼパム、コントール
  • ジプレキサ、テグレトール

処方はまったくバラバラだったのです。(これの薬の強さや薬の成分も全くバラバラです)」

筆者はうつ病を患ったことはまだ1度もないので、と言うか、1つの病気で5つの病院を渡り歩いたことはないので、ただ驚くばかりなのですが、病院が変われば診断も変わり、処方薬も変わってくると言うのは驚きです。

ちなみに、日本うつ病学会が、近年になって抗うつ剤の処方について次の提言をしました。

2009年、抗うつ薬の適正指導に関する委員会で、大量処方は避けるべきだと注意を出しています。
2012年、うつ病ガイドラインに「抗うつ剤は1種類を基本とする」としています。

ともあれ、精神科でうつ病と診断された患者に処方された薬剤の主なものを挙げると以下の通りです。

※()内は商品名

(1) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(レクサプロ)
(2) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
ミルナシプラン(トレドミン)、デュロキセチン(サインバルタ)、ネファゾドン(サーゾーン)
(3) 三環系抗うつ薬
塩酸アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)、塩酸イミプラミン (イミドール、トフラニール)、塩酸クロミプラミン (アナフラニール)、マレイン酸トリミプラミン (スルモンチール)、塩酸ノルトリプチリン(ノリトレン)、アモキサピン (アモキサン)、塩酸ドスレピン (プロチアデン)、塩酸ロフェプラミン (アンプリット)
(4) 四環系抗うつ薬
塩酸マプロチリン(ルジオミール)、塩酸ミアンセリン(テトラミド)、マレイン酸セチプチリン(テシプール)

それぞれの薬剤のグループごとを解説をさせていただきます。

(1) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用(脳内セロトニンの増加)する事でうつ症状、病気的な不安の改善を目指すために開発されました。

ちなみに脳内セロトニンの機能は

  • 交感神経系と連動して、体内時計の調節し、覚醒状態(活発に活動出来る状態)を保ちます。
  • ドーパミンやノルアドレナリンの作用を制御して、気分や感情のコントロール、衝動行動や依存症の抑制をしています。

旧来の三環系などと呼ばれる抗うつ薬は副作用がありました。

  • 1.抗コリン作用
    ◎自律神経抑制作用による症状です。
    ●口渇:唾液の分泌量が減るためです。
    ●便秘:腸の運動が抑制されるためです。
    ◎中枢神経抑制作用によるものです。
    ●眠気・集中力低下
  • 2.起立性低血圧症、目のかすみ

上記のような副作用があるため、医師・患者の双方から敬遠されていました。

そこで、副作用を少なく、より選択的に作用することを目的として開発されました。

2016年2月現在、日本国内で100万人以上のが使用していると推定されています。

抗コリン作用が原因の副作用は減少したが、セロトニン症候群・賦活症候群・SSRI離脱症候群など、新たな副作用が発生しています。

薬名の冒頭に出てくる「選択的」とは、数ある神経伝達物質の中でセロトニンの再取り込み阻害作用だけでアセチルコリン等は阻害しないことです。

(2) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

シナプスにおけるセロトニンとノルアドレナリンの再吸収を阻害することで,これらの神経伝達物質の濃度を増加させます。
SSRIがセロトニンだけの再吸収を阻害するが、SNRIではさらにノルアドレナリンの再吸収を阻害することで、興奮神経を刺激します。

ちなみにノルアドレナリンの機能は

  • 外部からの攻撃やストレスに対して、交感神経を活発化させ、闘争あるいは逃走反応を生じさせます。
  • 覚醒・集中・記憶・積極性・無痛などの機能があり、感情・思考の活動が高まります。

それにより意欲的になったり、活力に満ちた行動が取れます。

SSRIは服用してから効果が現れるまで時間がかかり、他人からの指摘で気がつくと言うことが多かったのに対し、SNRIは効果が現れるまでの時間が短く、服用後1週間以内に症状の改善をもたらすことが多いようです。

うつ病患者のみならずパニック障害の方にも有効な薬剤としてとうよされています。

副作用は、SSRIにくらべて軽微であるといわれています。

(3) 三環系抗うつ薬

古くからある抗うつ薬で、ノルアドレナリン・セロトニンなその神経物質に関与する受容体に作用し、脳内のノルアドレナリン・セロトニンを増加させる機能があります。
この2つの神経物質の機能増加によって、脳神経の機能を亢進させます。
うつ病の他にパニック障害・夜尿症などにも投与されます。

以下のことが懸念されています。

  • 服用から効果があらわれるまで2~3週間かかるのに対して、副作用は早めに出ること。
  • 抗コリン作用といわれる症状が出ます。
◎自律神経抑制作用による症状
●口渇:唾液の分泌量が減るためです。
●便秘:腸の運動が抑制されるためです。
◎中枢神経抑制作用によるものです。
●眠気・集中力低下

その他に、起立性低血圧症、目のかすみ等がでます。
また、めったにありませんが、肝機能障害(腹部の激痛・嘔吐・白目などの黄変)・意識混濁・幻覚などが出ることがあります。

(4) 四環系抗うつ薬

三環系抗うつ薬の後に開発・発売されたうつ病薬で、三環系抗うつ薬の欠点である副作用を弱めたものです。
抗コリン作用は三環系と比べて現れにくくなり、服用してから効果が現れる時間が短く、服用後2~4日で効果が現れます。
ですが、効果は三環系に比べて劣ると言われています。

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