トップページ >> 偏頭痛の原因 >> セロトニンがなぜ偏頭痛を起こすのか?

後頭部の頭痛にも種類はある!

セロトニンという物質を聞いたことがあるでしょうか?
セロトニンは別名5-ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine、略称5-HT)と呼ばれ、血管平滑筋を収縮させる物質として発見されました。

また、セロトニンは血液凝集作用を持っており、大怪我をした時の非常事態に、血管を収縮させて出血を食い止める働きもあります。

このセロトニンは、10種類以上ある神経伝達物質の中の一つです。
よく聞くのは、興奮状態・戦闘態勢にさせるアドレナリンやノルアドレナリンですが、セロトニンもその仲間。

ただし作用は反対で、アドレナリンが暴走するのを抑える働きをもっています。
セロトニンは様々な神経機能と関与しており、睡眠・覚醒、気分、情動、自立神経の調節等があります。

セロトニンが不足すると心が安定しなくなり、うつ病や睡眠障害を起こすと言われていますし、セロトニンの分泌が不安定になると、偏頭痛を起こすと言われています。
血液中のセロトニンが異常に減少すると、血管が拡張して偏頭痛発作を起こすと言われています。

セロトニンがなぜ偏頭痛を起こすのか?

偏頭痛の発作がなぜ起こるのか、未だに解明されていません。
いくつか有力な説がありますが、その中の一つがセロトニンが関与しているという「血管説」
三叉神経の作用と併せて「三叉神経血管説」とも呼ばれることがあります。 
セロトニンは本来人間がサバイバルな環境下で生存していくために、血管の収縮と拡張を調整する作用をもっています。
血管が収縮すれば、大出血を起こす大けがの緊急事態に、出血量を減らすことができるからです。
このセロトニンの血管の調節機能は、偏頭痛に関与します。
まずストレスを始め、何等かの誘因によってセロトニンが過剰に分泌されると、血管は収縮します。
自分を守ろうとして不随意に働くのです。
そして非常事態が過ぎ去った後でセロトニンの分泌が減少すると、今度は収縮した反動で急激に血管が拡張するために、痛みを感じるというものです。

つまり、セロトニンの調節がうまくできない=血管の調節機能がうまく働かないということ。
セロトニンが過剰に分泌されるような行動をとると、後でその反動が偏頭痛の発作として出て来ます。
ストレスをずっと感じ続けたり、過度な緊張状態に置かれて仕事をしていた後で、その状態から解放された時にセロトニンの分泌量が減って血管が拡張してしまうのです。
ですから、強いストレス下にあるほど偏頭痛が起こりやすいのです。
実際、金曜日の仕事帰りに仕事から解放されたという安堵感から発作が起こる人もたくさんいます。
一度発作が出ると数日続くこともありますから、週末が偏頭痛でつぶれてしまうのです。これはこれで別のストレスになってしまいますね。

ストレス
強いストレス下にあるほど偏頭痛が起こりやすい

セロトニンは調節できる?

うつ病や不眠症の人は、セロトニンの分泌量が少ないために症状が現れると言われています。
そのためにこれらの人達には、セロトニンの分泌量を増やすための生活改善が重要で、薬物療法と並行して病院でも生活指導をします。
その一つが早寝早起きをして、太陽の光を浴びること。
朝の太陽光を浴びることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの作用を抑え、逆にセロトニンの分泌を促します。
ところがこれは偏頭痛の人には逆効果。光刺激によってセロトニンの分泌量が増えると、その反動でまた発作が起こることになります。
ですから、偏頭痛のためには急激に光を浴びることは避けた方が良いのです。

同じように、セロトニンの分泌を促すような過度な緊張を強いるような環境に追い詰めないことも大切。
ストレスは小さいうちから上手に発散しておくと、解放された時の反動も小さくなります。

セロトニンの分泌自体は生きるために必要なことであり、意識下に調節することはできません。
しかし、セロトニンを分泌しやすい環境にはおかないようにすることは可能ですね。

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