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偏頭痛を改善させるには十分に寝ること

寝る

偏頭痛を改善させるにあたって念頭に置くべき事は「十分な睡眠」です。

偏頭痛の原因の1つとして「細胞内のミトコンドリアの機能低下」が最近の研究で明らかにされています。

ミトコンドリアは生物Ⅰの教科書の最初に出てくる細胞小器官の1つです。

私たちが食物から摂った炭水化物(糖)や脂肪は細胞内でアセチルCoAと言う物質にに変えられます。
そして、ミトコンドリアの中でクエン酸(TCA)回路に取り込まれて各種有機酸に変えらて行きます。
その間に酸素を消費しつつ活動のためエネルギーを発生させます。
その過程で廃棄物として二酸化炭素と水がでます。

つまりミトコンドリアとは細胞内のエネルギー生産工場なのです。

工場の人

このミトコンドリアの機能が落ちると、細胞の活動が低下します。
心臓の細胞であれば満足に収縮できなくなって血液を全身に送り込めなくなります。
筋肉の細胞であれば運動機能が低下したり、損なわれます。
疲れやすくなります。
大脳の神経細胞であれば、視覚・聴覚・臭覚などの感覚や物事を記憶したり判断する機能が低下したり損なわれます。

そして、ミトコンドリアは身体全体がきちんと休息を取らないと動けなくなってしまいます。
ですから、睡眠時間を確保する事が大切になります。

約4億年前の全ての脊椎動物が水中に棲んでいたころ、重力が水の浮力によって1/6Gのしか身体にかかっていませんでした。
それが地上に進出すると同時に1Gの重力がのしかかってきました。
この環境下で四足動物が立ったり、走ったり、座ったりするだけでかなりのエネルギーの消耗があり、休息(睡眠)時には重力に逆らわない姿勢になる必要があります。

現生人類(ヒト)14万年が地上に現れてきた時点で昼行性の生物でした。
日の出とともに狩猟や採取(約8000年前からは農耕)に精を出し、日が沈むとともに眠りに就くという1日の繰り返しです。
睡眠は重力に逆らって2足歩行するヒトにとって疲れを取るために必要不可欠な行為です。
重力による身体への負荷は大きく、たとえば骨髄の造血機能は横になって身体を休め、その負荷を解除しないと働きません。
文字通り「骨休み」をしないと貧血の憂き目に遭います。

また自律神経も、睡眠中は副交感神経が優位になり…

  • (1) 成長ホルモンの多量分泌による細胞の成長・修復
  • (2) 細菌・ウィルスの体内への侵入を防ぐ免疫力の亢進
  • (3) 脂肪の分解

上記のなどの現象が進行します。

睡眠は身体ばかりではなく、大脳の疲労も回復させてくれます。

長い間運動を続けていると筋肉に疲労物質がたまって十分に動けなくなるように、大脳でも同様な事が起こります。
大脳は稼働時間の長さに比例して、睡眠促進物質プロスタグランディンやサイトカイン、神経ペプチドなどがたまってしまいます。
睡眠促進物質が増えすぎると脳細胞が破壊されてしまうため、その生産を止めて分解するために、大脳の稼働を止めて眠る必要があります。
そのため、大脳の稼働時間が一定以上になって疲れて来ると自然に睡魔に襲われ、眠ってしまうのです。
その間に大脳の疲労を回復してメンテナンス作業が行われます。
酒や薬を用いなくとも、嫌な事・辛い事を眠って忘れると言うように睡眠中には心の修復・情報(記憶)の整理まで行われます。
むろん過重なモノはどうしうようもありませんが。

また睡眠中には、身体の中で様々なホルモンが分泌され、調整作業が行われます。

世の中には、睡眠のゴールデンタイムと称して22時から26.27時までを睡眠を推奨する方がいますが、それは表面的な観察に基づいたものでしかありません。
肝心なのは、就寝後180分間にいかに深いノンレム睡眠を取る事ができるか、です。
ノンレム睡眠中には、新陳代謝を活発にする成長ホルモンや免疫細胞どうしの情報伝達の役割をするサイトカインなどが活発に分泌され、病原体に対する抵抗力が強化されたりします。

不規則な就眠時間や浅い睡眠は、ホルモンの分泌時間や量を撹乱し、機能を低下させます。

偏頭痛の頻度を下げたり、発作時の苦痛を軽減させるためには良質な睡眠が必要です。

睡眠

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