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緊張型頭痛に効果的!?『ロキソニン』

ロキソニン(Loxonin)は第一三共が発売し、後発医薬品(ジェネリック医薬品: Generic Drug)が各社から発売されています。
主成分はロキソプロフェン(Loxoprofen)と言い、現在の日本で最も使用されている抗炎症薬の1つです。

「抗炎症薬が頭痛に効くのか」と奇異に思われるかも知れませんが、「そうです」とは即答できません。

「頭痛には緊張型頭痛と偏頭痛と群発型頭痛がありまして」と言う口上を述べて「その筆頭の緊張型頭痛に効きます」とまで言わないと、後々に苦情を言われてしまいます。
他の頭痛、偏頭痛や群発型頭痛には無力だからです。

では何故に緊張型頭痛には効くのか、と言うとその理由は緊張型頭痛の原因にあります。

緊張型頭痛の原因は首や肩に痛み物質プロスタグランジンが生じるからです。
プロスタグランジンが生じる要因は2つあります。

(1) フィジカル要因

パソコン作業などのデスクワークで同じ姿勢で長時間過ごすと首から肩や背中の筋肉が収縮し、血行が滞ります。
その結果血管を拡張するためにプロスタグランジンが発生します。

この物質は詳しく分けると数十種類になるのですが、その中でも日常的に関わってくるのは、その中の何種類かが血管拡張物質であるとともに痛み物質であることです。

機能としては、血管を拡張させ、発熱を起こさせ、知覚神経を過敏にして痛みを生じさせる、と言うものです。

つまり、炎症時によく出る物質です。

肩凝りや首凝り炎症の一種ですからプロスタグランジンとは大いに関係があります。

これが頭部付近で大量に発生すると頭痛と言う事になるのです。

(2) メンタル要因

不安や心配、その他諸々の精神的ストレスがかかると、そこは我々ヒトも哺乳類の1種なので、反射的に首から肩や背中の筋肉が強張ります。
脅かしたときのネコの反応を思い出していただければ了解していただけると思います。
その首から肩、背中にかけての筋肉の強張りが持続すると血行が滞り……(1) のフィジカル要因につながっていきます。

ロキソニン(ロキソプロフェン)はフィジカル要因にもメンタル要因にも関わるプロスタグランジンの発生を阻害する機能があります。

そのため、緊張型頭痛に効果があるということです。

ロキソニンがプロスタグランジンの発生をどのように阻害するかは、以下の通りです。

肩凝りや首凝りに限らず、打ち身・切り傷などの怪我(炎症)の時に生成される物資として有名なものとしてヒスタミンがありますが、プロスタグランジンの方が機能的に広範囲に働きます。

そのプロスタグランジンはアラキドン酸と言う脂肪酸から生成されます。
その過程は簡潔に書くと、シクロオキシゲナーゼと言う酵素の働きが根本的です。
したがってこの酵素の働きを抑制すれば、痛み物質であるプロスタグランジンの精製を阻害することができると言う事です。

そしてシクロオキシゲナーゼの働きを抑制する物質がロキソニン(ロキソプロフェン)なのです。

炎症を抑える薬剤としてはステロイド系の薬剤が有名ですが、その副作用も有名です。
ロキソニン(ロキソプロフェン)は非ステロイド性抗炎症薬の1つなのであの副作用からは無縁でいられます。
この一派の薬剤はロキソニンの他にバファリン・ボルタレン・ハイペン・ポンタノールなどがあります。

ただ、非ステロイド性抗炎症薬にも副作用として胃腸障害(胃潰瘍など)があります。
と言うのも、プロスタグランジンは痛み物質であるとともに、胃粘膜の保護にも関与しています。
ですので、非ステロイド性抗炎症薬によってプロスタグランジンの生成を阻害すると胃粘膜のバリアー機能が低下します。
その結果、胃酸の作用によって胃腸障害が起こります。

つまり、頭痛をなんとかしようと非ステロイド性抗炎症薬を服用すると、胃炎になったり、逆流性食道炎食道炎になったりします。

これでは困るので、薬剤を服用した直後、胃の中を通過する間は効果を示さず、小腸から吸収された後に体内で代謝され、その時点で薬剤として効果を表すようにすれば都合が良いと言う事になります。
このうような都合の良い薬剤をプロドラッグ(prodrug)と言います。

ロキソニン(ロキソプロフェン)は、胃の中を通過する時(体内で吸収される前)は薬剤としての作用を示しません。
そして体内に吸収された後で代謝され、解熱鎮痛作用を示す物質へと変貌します。
これにより、非ステロイド性抗炎症薬の副作用である胃腸障害を大幅に軽減できます。

ただし、大幅に軽減できると言っても、安心して過剰に服用するのはNGです。
胃を通過する時の作用は防ぐことができますが、体内に吸収されて代謝して効果を表した後に、血液中を巡って胃に作用するまでは防ぐことができません。

事実、ロキソニン(ロキソプロフェン)は2016年3月に厚生労働省から「使用上の注意」の改訂として「小腸・大腸の狭窄・閉塞」が副作用として追加される事になりました。

「クスリはリスク」と言う格言は忘れてはなりません。

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