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何故うつ病になるのか

何故うつ病になるのか。

この問いに対して古来から様々なアプローチがなされてきましたが、21世紀になっても未だ明快な説明はなされていません。

ですが、うつ病が発症している時の脳の生理的変化がどのようになているかは徐々に明らかになって来ています。

一般的にストレスを受けると脳内のHPA系(視床下部-下垂体-副腎皮質系:hypothalamic-pituitary-adrenal axis)が活性化して危機的状況に対抗するために様々な生理的反応が起こる事は、経験則であれ計器計測であれ、周知の事です。
ただ、持続的なストレス状況下でHPA系の機能が過剰に稼働した状態となり、その結果起こる疲弊がうつ状態を引き起こす要因の1つと考えられています。

ストレス

脳の生化学的仮説

うつ病では、HPA系ストレス反応に関わる内分泌ホルモンやセロトニン・ノルアドレナリンなどの神経伝達物資の欠乏が深く関与しています。

事実、現在使われている抗うつ剤の多くがセロトニンやノルアドレナリンが脳内でより多く機能する事を促すように作用する事で効果を評価されています。

セロトニン

セロトニンは食欲や性欲、焦燥性や緊張などに関連した神経伝達物資ですが、HPA系の機能が過度に稼働した状態が続くと、セロトニンの分泌が減少してセロトニン欠乏状態になり、これによってうつ状態が引き起こされると考えられています。
実際にうつ病患者ではセロトニン欠乏状態を示す示す生理的数値が計測されています。
ちなみに、セロトニンは人体には約10mg存在し、小腸粘膜内に90%・血小板中に8%・脳内の中枢神経に2%存在します。

食欲
ノルアドレナリン

ノルアドレナリンは意欲や気力、判断力、集中力、物事への興味などに関連した神経伝達物資ですが、HPA系の機能が過度に稼働した状態が続くと、際限なくノルアドレナリンの放出が促されて疲弊し、ノルアドレナリンが枯渇します。
ノルアドレナリンの欠乏状態がうつ状態を引き起こす要因の1つと考えられています。
実際にうつ病患者ではノルアドレナリンの代謝物の減少が計測されています。

意欲

つまるところ、セロトニン欠乏の結果、食欲・性欲の低下、不安感の高まりなどの症状が発現します。
そして、ノルアドレナリンの欠乏が意欲・気力・物事への興味などの低下を発現させるのです。

以上が脳の生化学的仮説と言うものです。

従来から主張されている仮説

ところが、強いショックや過度のストレスにあってもうつ病にならない人もいれば、「なんで?」という生活環境でもうつ病になる人もいます。
1つの仮説で全てを説明しきれないところにうつ病の原因解明の困難さがあるのですが、従来から主張されている仮説を述べていきます。

遺伝的要因

血縁者にうつ病の人がいると家族内に発症しやすい事から、うつ病の発症に遺伝的要因が関与している事は定説です。
親子・兄弟のような近い親族にうつ病の人がいると発症率は1.5~3倍多くなると見られていますし、一卵性双生児のどちらかが発症するともう片方も発症する確率は25~93%と遺伝的要因の強さを物語っています。
脳も身体の一部ですから、高血圧や糖尿病などと同様にうつ病になりやすい体質が遺伝すると考えておけばよろしいと思います。
無視するでもなく、かと言って過度に恐れる事のないように。

脳形の形状変異

うつ病患者のCTやMRI画像研究から、脳の形状に異常が見られる事が明らかにされています。
特に、前頭葉・小脳・大脳基底核の萎縮が共通観察結果として報告されています。
しかし、それがどのようなメカニズムでうつ病に関与しているのかについてはまだわかっていません。

うつ病になりやすい気質

これはも少し研究が進めば、遺伝的な説明がなされるようになるのかもしれませんが、うつ病患者には一定の性格傾向(気質)がある事が知られています。
うつ病になりやすい気質にはザックリと次の4つが言われています。

執着性格
仕事熱心・凝り性・完璧主義・正直・几帳面と言った気質が見られ、正義感や責任感が強いために周囲からの信頼性の高い頼れるタイプです。
しかし、真面目すぎて融通が利かないと言った面が欠点になる事もあります。
頑張りすぎる性格から適度に休憩を入れる事ができず、自ら持続的なストレスを受け続けてしまうタイプです。
メランコリー型親和型性格
生真面目・糞真面目という点では上記の気質と同様ですが、それに加えて、人と争うのを込まず、秩序や調和を重んじ、義理堅く、他人の配慮に富んで気配りができ、人に頼まれると断れないタイプです。
これでは気を遣いすぎてストレスをため込んでしまいます。
循環気質
双極性障害患者にみられる気質です。
善良で親切・社交的と言う基本的な性格に加えて、下記の傾向もあります。
  • (1) 躁的傾向がある場合:活発で陽気
  • (2) うつ的傾向がある場合:物静かで柔和
自己愛適性格
新型うつ病と言われる人々に見られる気質です。
未熟で自己愛の強いタイプです。
他人への依存心が強いのですが、他人の配慮がなく、他罰的で失敗しても自分を責めず他人のせいにします。
物事が自分の思い通りに進まないと気がすまず、その葛藤がストレスになってうつ状態になります。
様々な依存症の人々にも共通の気質です。

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