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統合失調症とうつの完治について

統合失調症の外来治療・入院治療のいずれも、薬物療法と心理社会療法とが同時並行的に行われます。
前者は薬の投与、診療専門科とのリハビリテーションを意味します。

薬物療法では主に《抗精神薬》が投与され、補助的又は個々の患者の症状に合わせ必要な薬剤も投与されます。
例えば《抗不安剤、睡眠薬、抗うつ剤、気分安定薬》など多種に亘って投与されます。

《抗精神薬》は妄想や幻覚による自我障害(発病期に於ける陽性症状)の改善が目的に投与されます。

この様な投薬効果を全般的に《抗精神病作用》と呼ばれます。
希死感がみられる場合や逆に他者を暴力で威嚇したり、窮迫している場合は抗精神薬を大量投与する場合もあります。

前者の陽期間が改善され陰性期は一見して精神安定の症状で穏やかに成ります。
しかし完治では無く、陰性症状独特な不安・不眠・興奮・衝動を抑える《鎮静催眠作用》や同様に意欲の減退などに対応した《精神賦活作用》を目的にした投薬が必要と成ります。

抗精神薬は多種類存在しますが、薬物の《抗精神病作用、鎮静催眠作用、精神賦活作用》と言った主な作用の強弱に依拠した場合が殆どです。

完治の評価基準は各々あっても対象が患者の主観的な要素でもある為、診る側によっての評価に誤差が生じる事は無視できません。
統合失調症の完治は標準基準として数年~数十年の期間に及ぶのが一般的です。
その間、揺り戻しの頻度や状態など考慮の上、現時点での適切な投薬とリハビリ(対面診療)の繰り返しと成ります。
治療目的は投薬分量を減らし安定した精神状態を長く維持できるかです。
従って完治とは薬を用いず心の安定保持の可否を意味します。

統計上、薬部療法を中断した場合、数年で6割~8割の患者は再発します。
うつ病の場合その性格上、症状の激変はあまり考えられない為、希死感が強い患者の場合は例外として、在る程度の距離や時間を摂ってもおおきな問題は生じ難いと思われます。

他方、統合失調症の陰性症状の場合。
一見した症状はうつと似ていますが、いつ何時に陽性症状に転化するかの判断は経験値でしか予想できない為、ある意味保障のない状況に置かれます。
時には家族や周囲の人達に障害が発生する可能性も否定できません。
従って薬物療法の持続は最低限必要に成ります。
加えて長期治療ではリハビリテーションなど訓練も必須事項です。

患者の改善状態を考慮した上、主に《心理教育(病気や治療の意図など患者本人に理解される。)》《生活技能訓練(ロールプレイを通して対人関係や社会関係の構築上、必要と成るスキルを身につける。)》《作業療法(園芸や軽い農作業、料理など実践させ生活機能の復元を促す)》。

先でも触れた様に数年~数十年と言われていますが治療期間と揺り戻しの発生を見てゆくと発病5年以内の場合、揺り戻しはありえます。
10年以内では症状の起伏が小さく成ります。
20年くらいまでに至ると《3/4は完治》するであろうと思われます。

統合失調症の留意すべき点としては、治療の中断は、単に発病時点の症状に戻る事を意味するのではなく年齢など個人差を割り引いても、より重い症状に陥る傾向が多い点です。
進行度合いは他の疾患同様、若年層の方がより激しい変化で症状が現れます。

但し完治の度合いは様々な要件が重なった上での結論に過ぎず、発症の年齢、初期段階から適切な診療で対処していた場合、ごく稀に入院が必要な程進行していた患者も完治した事もあったようです。

他の病気とは異なる点は、年齢によるハンディーが高齢に従って有効である点です。
逆説的に破瓜型の場合は難易度が他の症例より高く完治の手立て略不可能と言われます。

《発症⇒[1]陽性⇒[2]陰性(揺り戻し)....何度か[1][2]を経過して(向精神薬の有効量)⇒安定します》。

安定期に入ると、最初に行うリハビリで心理教育が行われます。
これは単なる医学的な病状症例学習とは違います。
リハビリ段階に入ると一見症状が落ち着き、患者のかなりの割合で独断で完治を意識します。
その為、診療側は患者自身がまだ健全な状態では無く病気である事をまずは理解させます。
その事を前提に予定に入る様々な訓練内容と患者自身の症状改善との結びつきを理解してもらう事が目的です。

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