妊娠中のトラブルで真っ先にではないにしても必ずあげられるのが頭痛です。
頭痛持ちの女性は決して少なくありませんが、「妊娠中は安易に鎮痛剤を飲むわけにいかない」と言うのは社会の常識になっています。
手元の頭痛薬を服用するのをためらい続ける妊婦の方にとってそれは悩み種でしょう。
なぜ妊娠中に頭痛が起きやすいか、その原因と対策をまとめてみました。
特にツワリの時期は食欲不振や嘔吐感だけでなく、腹痛や頭痛・めまいなどのトラブルが複合的に起こりがちです。
妊娠に伴ってプロゲステロン(黄体ホルモン)が大量に分泌され、ホルモンバランスが急変します。
その変化に身体がついていけず、頭痛や熱っぽさ・だるさなどの不調が起こります。
安定期にはいる妊娠16週以降から徐々に改善していきます。
何と言っても頭痛とくれば頭痛薬です。
ですが、妊娠中の事とて安易に薬に頼るのは危険なのでは……と二の足を踏んでしまいます。
「薬の成分によってはお腹の赤ちゃんに影響して『新生児高血圧症』や『羊水過少』などを引き起こします」とか怖い事を言われたり、「妊娠初期は身体の器官が形成される大切な時期です」と言われるとサリドマイド薬害事件の事が反射的に思い出されます。
薬に頼らない頭痛の方法を考えるとまずは頭痛の種類に応じた対応が必要になってきます。
頭痛は「偏頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類があります。
前者は脳の血管が拡張される事が原因で、嘔吐感や肩こり・こめかみの痛みが伴い、ズキズキと痛みます。
後者は血管収縮が原因で、後頭部から首筋にかけて頭部全体が締め付けられるような痛みが生じます。
- 患部を冷やす
- 拡張した血管を収縮させれば頭痛は治まります。
痛む場所を濡れたタオル(でなくとも冷えピタなどの便利な物が販売されています)などで冷やして暗い部屋で安静にしましょう。
この場合、温めると痛みが増すのでお風呂は避けてシャワーにしましょう。
- カフェインの摂取
- 偏頭痛にはカフェインの摂取もお勧めです。
カフェインには血管を収縮させる効果があります。
1日に1杯程度であればコーヒー・紅茶・緑茶を飲んでも構いません。
ただし、これも取り過ぎると睡眠不足を招いてしまいますので、就寝前は避けましょう。
それにしても、妊娠初期こそがもっとも頭痛がひどく、痛い物はとにかく痛く、頭痛によって生活が著しく阻害される場合があります。
頭痛が頻繁に起こったり持続的に起こる場合は市販薬に頼らず、産婦人科で適切な薬を処方してもらい、医師の指示に従って服用するのが安全です。
逆に妊娠中は避けたい頭痛薬としては、アスピリン系は避けてください。
イブプロフェンを主成分にしたイブ・バファリンルナなども、メーカー側では「妊娠中は服用を避けた方が安心」であったり、「妊娠約28週以降は避けてください」と明記しています。
それ以前でも服用しないのが無難です。
運動不足や疲れによって血行不良が起きると、脳の血行が悪くなって頭痛が起こります。
それだけでなく、首や肩が凝ってしまい、それが頭痛の引き金になります。
また、妊娠後期になるとお腹の重みから寝不足になり、疲労がたまって頭痛の元になります。
妊娠をすると「鉄分をよく摂ってください」という意見を聞くと思います。
と言うのも、妊娠期にはお腹の中にいる胎児の成長のため臍帯・胎盤中への鉄の蓄えが必要だからです。
胎児の成長のために血液腸は増加し、同時に赤血球量も増加するため鉄の必要量が増えます。
その需要を満たすためには食事を通して摂取する必要があります。
もし、必要量を充たす事ができきないと、鉄欠乏性貧血になります。
全身に栄養・酸素を運ぶ血流量が、特に酸素を運ぶヘモグロビンの量が不足し、脳が酸欠状態になることで頭痛が起こるのです。
女性は妊娠に限らず、授乳や無理なダイエットなどで体内の鉄分不足が慢性的なると貧血による頭痛が起こりやすくなります。
対策の第一歩として、日頃のライフスタイルを見直す事が大切です。
鉄は本来、毎日の食事で摂取するのが最善ですが、頭痛の症状改善には定期的な補給が前提ですのでサプリメントやドリンク類などを利用する事も考慮に入れるべきでしょう。
鶏・豚・羊などの肉や鯖・鰊・鰯などの魚に含まれるヘム鉄は吸収率が良いので貧血による頭痛改善のためには積極的に取り入れる事をお勧めします。
最近では使いたい素材で検索すれば料理法がわかるサイトもありますし。
「無理なダイエットが貧血の原因」ということは、その対策は逆をやる事が貧血による頭痛改善の近道であり王道でしょう。
バランスの良い食事を3食定期的に取る事は血液を造るうえでとても大切です。
炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラルなど多種類の栄養分を満遍なく摂る事でそれぞれの吸収率や体内での運用を能率良く行う事ができます。
貧血性の頭痛を改善するためには、大脳や身体全体に酸素を充分に行き渡らせて血行を促進する事が重要です。
そのためには適度な運動が必要です。
かと言って、いきなり過激な運動(ジョギングやウェイトトレーニング・ジャズダンスなど)をしよう、と言うのではありません。
貧血によるめまい・動悸・息切れなどの症状がひどい場合や、運動制限が必要な場合もありますので、必ずかかりつけの医師と相談の上で自分に合った運動量で行いましょう。
ゆっくり歩く事・軽いストレッチだけでも、毎日継続する事によって貧血性の頭痛の改善につながって行きます。
貧血と同時に始まる自覚症状に「冷え」があります。
「手足の末端が冷えて、ひどくなると痛いほどで真夏でも厚手の靴下や手袋がないと眠れない」というところまで行っても黙っている方が多いのですが、そこまで行けば立派な症状です。
冷えが進行すると血行がますます滞って頭痛も悪化するので、冷え対策も同時に行う事が必要です。
貧血性の頭痛を予防するためには普段から保温性の高い物を身につけるようにします。
入浴もシャワーを浴びるだけでは身体が冷えてしまって血管が収縮するので頭痛の原因になります。
できるだけ湯船につかって身体を温めるようにしましょう。
質のよい睡眠は鉄の吸収率を向上ささせ、ホルモンバランスを整える事で造血活動をを促します。
普段から意識的に各自にとって必要な睡眠時間の確保を心がけるようにしましょう。
また、睡眠不足に陥ると脳は防御反応で血流を抑制しようとします。
脳が休憩を取りたがっているのに起き続けていると貧血状態が悪化して頭痛を引き起こす事になります。
妊娠8ヶ月以降の妊娠後期に発症する事が多く、かつては妊娠中毒症と言われていました。
重篤化すると、最悪の場合、母子ともに命に関わる可能性があります。
症状としては、妊娠経過に伴って血圧が徐々に上がりタンパク尿が出るようになります。
診断の目安としては、妊娠20週~分娩後12週の間に高血圧(最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上)が見られる場合、また高血圧に加えて尿にタンパクが出る(1日量が30mg/dl以上)場合です。
自覚症状としては「むくみ」がありますが、妊婦の約30%はむくみを経験しますので、妊娠高血圧症候群かどうかを見極める事は困難です。
妊婦検診で血圧測定と尿検査を定期的に行う事で早期発見できるので、妊婦検診は休まず定期的にいくようにしましょう。
治療法は主に食餌療法です。
重傷の場合は入院して厳重な食事管理をする事があります。
特に高血圧の原因になりやすい塩分は1日に7~8gまでにしてBMI治にあったカロリーの食事量を3回に分けて取ります。
食餌療法で改善が見られない場合は薬物治療となりますが、血圧降下剤などの血圧をコントロールする薬は妊婦にとっては禁忌薬に指定されているモノが多く妊娠を継続させるための最終手段として使用されます。
予防としては、これは全ての高血圧症に対する事ですが、下記の通りです。
- ストレスをためない
- 塩分に気をつけて栄養のバランスに心がける
- 適度な運動をする
- 各自にとって必要にして十分な睡眠の確保
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