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うつ病の原因と治療

「うつ病は心の風邪」などと言うフレーズが流布してきてから、自称うつ持ちが増えてきました。
うつ病という言葉が日本社会に認知される啓蒙的な効果があった事は大いに認めたいと思います。
ですが、本当のうつ病ならそのうような言動は間違っても取らないはずです。
「心の風邪」どころか「心の癌」とか「心の白血病」と言ってもあながち間違えではないレベルの精神疾患です。

なにしろ、1日中無意味な罪悪感や考えたくない不安な思いが襲って来て、しかもそれが1日や2日ではなく、1週間や2週間で終わらず、1ヶ月・2ヶ月~半年経っても続いていて、そのまま永遠にこの心理状態に苦しめられるのです。

うつ病の目安を簡単に列挙すると…
抑うつ気分
興味・喜びの喪失
焦燥感
不眠
気力の減退
過剰な罪悪感
集中力の低下
食欲の減退
自分が消えてしまうことへの反復思考

上記が一過性ではなく持続的に心身共にまとわりついて来ます。

うつの治療

この病気を治療するために病院や健康施設で様々な方法が試みられて来ました。

うつ病患者が増加するにつれて薬物治療の比率が確実に高くなっています。

最近では、新しい抗うつ剤であるSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬)の誤った投与が問題になっています。

これらはセロトニンやノルアドレナリン・ドパーミンなどの脳内神経伝達物質と言われる物質が関わっています。

私たち現生人類の脳は千数百億個もの神経細胞の集合体です。
脳では、神経細胞どうしの情報伝達によって、心の機能(記憶や意思や感情など)を身体の機能(筋肉運動や内分泌腺)に伝えていく働きを持っています。
脳の神経細胞どうしも様々な情報を基本的に電気信号でやりとりしています。

脳細胞どうしの連絡と言うと、狭い脳内にびっしりと神経細胞が網の目のように絡まり合っているような状態をイメージしますが、正味の所は1本1本が独立していて、神経細胞どうし、神経繊維どうしの間には必ず空間があります。
特に神経繊維どうしの間は、ナノメートル単位ではありますが、シナプスという隙間が空いています。
シナプス間の隙間では、神経繊維を電気信号で送られてきた情報の量に応じて神経伝達物質がこの隙間に送り出され、次の神経繊維のレセプターがそれを受け取る事で情報が伝わっていきます。

この時電気信号が神経伝達物質に変わる事で、情報の信号を強めたり、さらに情報が細かく分かれて伝わる働きが生じます。

うつ病は、この神経伝達物質に異変が起こった事で発生すると考えられています。

では神経伝達物質にはどのようなものがあるのでしょうか。

現在では神経伝達物資は約100種類あると言われており、そのうち約60種類が発見されています。
中でもうつ病の治療では、先述のセロトニン・ノルアドレナリン・ドパーミンの3種類が重要視されています。

ではこれら3つの神経伝達物資はそれぞれどのような性質があってどのような機能を有しているのでしょうか。
神経伝達物資は、情報を受け取る側のレセプターに働きかけて神経細胞を興奮させるタイプと、抑制するタイプがあります。
ノルアドレナリンとドパーミンは興奮型の神経伝達物資であり、セロトニンは抑制型の神経伝達物資です。

これらの神経伝達物資がバランス良く機能する事によって脳の機能は健全に維持されるのです。
ですが、過剰なストレスや過労などが引き金になってこれらの物質が減少し、喜怒哀楽のコントロールができなくなってしまったのがうつ病であると考えられています。

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