うつと漢方薬

漢方学の発想では何となく気持ちが滅入る抑うつ状態は、体を巡る「気」の生命エネルギーの流れがスムーズにいかない状態と捉え、その流れを整える漢方薬を服用する事で体質改善により徐々に気持ちを沈め安定させる作用があると云われています。
尚、漢方学で云われる人間の生とは「気(き)」の他に「血(けつ)」と「水(すい)」という要素から成り立っていると解説されています。

漢方医学を専行する病院は一般の精神・神経科に於ける西洋医学とは病気へのアプロ―チとは根本的に異なり、患者からは治療や診断の内容が的外れの様に思えてしまう所が難点です。
独特の心や体の理論を有し初診の場合は一見、病気との関係のない事と思われる診断を受けます。

例えば代表的な診断に「四診」と呼ばれる問診が在り、長期的な体質改善を目的にお腹や舌の状態の検査、又は脈を診られたりする事もあります。
しかしこれらは漢方治療には最低限必用な情報(カルテ)と云われます。

漢方治療と一般の治療とを平行受診する事によって副作用が生じたりする事は無く症状や経済的な状態を考慮した上で試す事は悪い事ではないと思われます。
うつ病や抑うつ症状は精神面(環境や遺伝などの心理面)と全く別の疾患が原因で生じる場合もあり、糖尿病、肝臓病、アルコール依存症、脳血管症状や認知症などが絡んでいる、又は根源である場合も多く、特に中高年層はうつ治療に併せ身体検査も必用な場合も在ります。

現在、漢方医院は札幌市内だけでも180以上も在ります。
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漢方薬

初期・軽度うつ症状(病)
薬名 よみ 効能
香蘇散 こうさんそ 意欲低減、不眠症、食欲不振、消化器の不調、風邪の改善
酸棗仁湯 さんそうにんとう 不眠症(熟睡が出来ない)場合に有効
中度うつ病
薬名 よみ 効能
柴胡加竜骨牡蠣湯 さいこかりゅうこつぼれいとう 主に精神安定に効果
半夏厚朴湯 はんげこうぼくとう 胸のつかえ、吐き気、ヒステリー状態の改善
加味帰脾湯 かみきひとう 肉体疲労、動悸、貧血の改善、イライラや不安感を沈める。
柴胡桂枝乾姜湯 さいこけいしかんきょうとう 口の渇き、過剰な発汗、動悸、肉体疲労の改善
慢性・重度うつ病
薬名 よみ 効能
甘麦大棗湯 かんばくたいそうとう 重度の気分消沈、緊張時のあくびの抑制
分心気飲 ぶんしんきいん げっぷ、吐き気、忍耐力減退、むくみ、食欲不振の改善

電気治療

電気治療の一種にETC(電気けいれん療法)という方法があります。
対象は重い精神障害を患っている人に成ります。
うつ病の他に重度の躁病や統合失調症の緊張型と呼ばれる症状の治療にも有効です。
この方法は通常の治療効果が出ない場合、飲食に強い拒否反応を示し生命維持に危険なレベルと医師が判断した場合、且つ既に電気療法の経験がある患者に於いては、一定の改善か診とめられた場合に採用されます。
ETCの治療はこめかみ両端に電極を通し、治療器から発生する電流を極短時間流す方法です。
脳内に電気が流し軽い発作(けいれん)を発生させるショック療法です。

叉、全身麻酔薬(3~5分で睡眠状態に成ります)、筋弛緩剤(呼吸をし易くする)など用いて患者は眠っている状態での治療に成ります。
けいれん状態は概ね20~50秒で収まります。
実施は一般の精神・神経科では未対応な特殊治療で救急医療センターや大学病院などのETCセンター専用治療室という施設で行われます。
治療回数は個人差が在りますが概ね6回~12回が目処と成ります。

電気療法の理由

薬物の効果が無効である為、脳全体に電気を通す事によって神経系(シナプス)にもショックを加え停滞や再接種されている脳内分泌物質を強制的に放出を促し精神疾患の回復に対応します。

実施後

ETCを実施前段階には必用な身体検査を行います。
血液検査、肝臓、腎臓の状態、血糖値、心電図、電解質、必用に応じ頭部や胸部のレントゲン検査です。
治療後に軽い記憶障害(混乱)が生じる場合が在りますが30分程度で通常の場合回復します。
原則として最低30分間は回復室に於いて血圧検査など予後検査も実施されます。

後遺症としては一時的な興奮による血圧上昇、長期的、短期的な軽い記憶喪失です。
覚醒状態直後に過呼吸の場合を考慮し酸素マスクや血中酸素濃度測定器を用いる場合もあります。
全身麻酔にも副作用症状(頭痛・筋肉痛・めまい・嘔吐・嘔気・恐怖感)が生じる場合も極稀に生じる事があります。

叉最悪なケースでは死亡する事も否定出来ません。
しかし確率は1回/5万回で出産時の亡くなる確率より低い割合です。

尚、筋弛緩剤を用いた療法はm(修正)-ETCとも呼ばれていますが、現在ではm-ETCも単にETCと呼ばれています。
初期のETC治療に於いて筋肉が萎縮し骨折が生じたケースがあり事故防止の為、弛緩剤を麻酔と共に使用されます。

治療期間

実施回数は最大2~3回/週の割合で行われます。
一般的に効果が顕著に生じるには最低3~4回の(2週間分)実施が必要に成ります。
治癒には平均6~8回(3週間分)程度です。
体質や症状により15回の実施を要したケースがありますが、それ以上の実施で効果が現れないケースは、治療無効と判断し中止する事に成ります。

サイン波とパルス波

治療器は一般電源仕様と同様、50~60Hzの交流電流を脳内に流します。
サイン波は構造的に、けいれん作用を発するまでには闘力が無ため、パルス波が採用されています。

夜鬱

昼間は元気で行動が活発であっても夕方から夜に掛けて気分が落ち込むという症状が最近よく耳にする様に成りました。
この症状は「非定形型うつ」に相当し新型うつとも言われます。
特徴は主に20~30歳の女性に多く発症すると言われ、炭水化物への過食症状も現れるケースもあります。
典型的なうつ(定型うつ)の3大特徴、眠れない、何をしても億劫(疲労困憊)、朝が辛いと云う症状とは乖離し、まるで別の病気の様相を見せます。

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