緊張型頭痛の原因は筋肉の緊張?

私たちは、強い精神的ストレスに直面した時、無意識のうちの筋肉が緊張状態に入ってしまう生き物なのです。
これは370万年前のアウストラロピテクス=アファーレンシスの時代から、私たち現世人類に至るまでこの身体の仕組みは変わっていません。
私たちは500万年前にチンパンジーの共通祖先から分離した時期から、上記のような身体の仕組みで、強い淘汰圧に打ち勝って生き伸びてきたのです。

なので、以下は反復性緊張型頭痛と同じプロセスをたどります。

  • 筋肉の緊張が高まることで筋肉の血行が悪くなり、血管に老廃物がたまります。
  • 老廃物がたまった部分を中心に炎症が起こり、痛み物質であるプロスタグランジンなどが生産されます。
  • 痛み物質が神経を刺激し、頭痛の発症とつながっていきます。

また、別な説として、精神的なストレスにさらされた状態が続くと、脳内の痛みを調整する部位が機能不全に陥り、頭痛を引き起こしてしまう、と言うものもあります。

いずれにせよ、反復性緊張型頭痛が筋肉にかかる負荷がなくなれば解消するのに対して、慢性的緊張型頭痛は精神的ストレスが続く限り、筋肉の緊張が続くので、解消されることはありません。
さらには、頭痛そのものがストレス源になってしまうので、一度慢性緊張型頭痛に陥ると治療が困難になります。

このような精神的ストレスを原因とする緊張型頭痛は、生真面目な性格だったり、几帳面な性格の人がかかりやすいと言われています。

職場で毎日ストレスを感じている人や、パソコンを長時間使用する人に発生しやすく、緊張型頭痛はストレス社会の申し子ともでも言うべき疾患です。

緊張型頭痛は、日本人の30~80%の人が生じた事があるとされ、頭痛の70%が当てはまると言われています。

日常の仕事や家事が制限されるほどの重篤な症状には陥ることはメッタにありませんが、 頭痛そのものがストレス源になってしまうので、一度慢性緊張型頭痛に陥ると治療が困難になります。

では、頭と首の筋肉が緊張する過程を見ていきましょう。

私たちの頭は成人で3kg~5kgの重さがあります。
このボーリングの玉(女性用)に匹敵するような重量物と体幹をつないでいるのが首です。

ただ生きているだけで、生まれてから死ぬまで、寝ている時以外は、この重量が首の筋肉にかかっています。
そこにパソコンやスマートフォンなどによる物理的な負担や、精神的なストレスにが引き起こす自律神経の失調による緊張が加わります。

これでは、首の筋肉とつながっている頭の筋肉も緊張して強張るのは止めようがありません。
結果として、三叉神経などの頭や顔の神経を圧迫され、頭痛につながってしまいます。
特に、頭痛の時に眼の奥がギューッと締め付けられるような感覚がある人は、顔の筋肉が強張っている可能性が高くなっています。

さらには、頭や顔の筋肉だけでなく、全身の首・胸・背中・腹・腰・脚にわたってつながっている筋肉までもが強張っている可能性があります。

何故なら、頭・首・胸・背中・腹・腰・脚とつながっている筋肉は、筋膜という膜構造で、足の裏から頭のテッペンまで、全身タイツのように包まれているからです。

なので、足の裏・ふくらはぎ・太もも・腹筋などの、一見すると頭痛とは関係のなさそうな筋肉の強張りも頭痛の原因となり得ると言う事です。

ここでいきなり出てきた筋膜とは、コラーゲンを主成分とする白く薄い膜で、骨・筋肉・内蔵・血管・神経などの身体のありとあらゆる構成要素を包み込み、それぞれの場所に適正に位置するように支えています。

筋膜は伸びたり、縮んだり、硬くなったり、柔らかくなったりと可塑性に富んでいるので、身体の一部のゆがみを吸収してくれますが、何事も限界というものがあります。
首の筋肉の強張りが全身に及んでしまえば、その強張りは一朝一夕に解消するものではありません。

ですから、慢性緊張型頭痛にまで悪化してしまうと、その治療は首まわりの筋肉だけでなく、全身の筋肉の強張りと言う見地から考えていかなければなりません。
そのためには、ゆがんで強張った筋膜を正常に戻し、筋肉・腱・靭帯などの柔組織を解剖学的に正しい位置に戻して、身体全体の構造のバランスを正す必要があります。

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