偏頭痛に前兆があれば、対処できるのでは?

偏頭痛は日本人の約1割が悩まされている頭痛です。

実際のところ、もう一つの頭痛である緊張型頭痛が頭痛患者の7割を占めているにもかかわらず、頭痛と言えば偏頭痛!と言うほどメジャーです。

痛む部位は左右どちらかのコメカミからそこに隣接する眼のあたりまでです。
そして重篤になると左右両側が痛みます。
なので、偏頭痛患者の4割が偏頭痛と言う病名なのに全頭痛状態です。
中には後頭部が痛む方もいらっしゃいます。

頻度は月に1~2回、多い時には週に1回程度、定期的に起こります。
そして4時間~72時間(3日間も!)持続します。

痛み方は、「ズキンズキン」とか「ガンガン」で、「脈打つような」とか「拍動感のある」痛みです。

痛みの程度は日常生活ができなくなるほどです。
家事・仕事、学齢期であれば勉学に支障をきたします。
テスト期間中に偏頭痛の発作が起ころうものなら結果は惨憺たるものになります。
しかも、頭痛にともなう症状(随伴症状)も激しく、吐き気や嘔吐をともないます。
普段は何でもない陽光や照明がまぶしくて仕方なくなったり、まわりの音や声が頭痛の痛さを増大させます。

かと言って、頭痛は病気としては軽く見られている(非頭痛患者にとって偏頭痛の痛みは想像を絶するものがあります)ので、それを理由に仕事や学校を休む事が難しいものがあります。

特に小学生・中学生では不幸な話に事欠きません。
「頭痛は大人の病」という誤った思い込みを持つ教諭が多く、頭痛を理由に欠席・早退・見学などを申し出れば「贅沢病」とか「怠け病」とかありもしない病名をつけられて説教されて、閻魔帳に何やらグダグダ書き込まれるのが落ちです。

このような厄介な偏頭痛はどのような原因でおこるのでしょうか。

21世紀になっても、その原因はハッキリとは分かっていません。
最も説得力のあるとされている説が血管拡張・三叉神経説です。

そのメカニズムを順を追って記して行くと…

  • (1) 何らかの理由で頭蓋内部の血管が拡張する。
  • (2) 頭部に偏在する三叉神経の末端がその刺激を受けて非細菌性の炎症を起こし、発痛物資(ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリ)を分泌する。
  • (3) これを受けた血管はさらに拡張し、三叉神経の末端を刺激し……というように連鎖反応式に反応が広がって行く。
  • (4) その刺激が感覚神経で大脳の痛覚中枢に達すると頭部の痛覚として認識される。
  • (5) 前述の吐き気・嘔吐や光・音への過敏などの症状はそれらの刺激が感覚神経を通る間に嘔吐中枢や視覚中枢・聴覚中枢を刺激した結果であると言われている。

偏頭痛の前兆と対処方法

偏頭痛患者の方には発作に先立って特有の前兆を感じる方が5人に1人程度いらっしゃいます。

前兆現象が起こった時点では、発作はまだ起こっていないので、対処しようがあるというものです。
現象として20分~30分の間、2種類のうちのどれかの視覚障害があります。

閃輝暗点
前兆のうちで最も多い現象が「閃輝暗点(センキアンテン)」です。
たとえば新聞を読んでいると視界にジグザグ・ギザギザと光が移動します。
これが閃輝暗点で見える光のタイプはヒトによって様々で、いきなりフラッシュを効かせた時のように全面が光で包まれたように見えるタイプもあります。
半盲
視野が急に欠けるように見える現象です。

これらの前兆現象が生じた場合には、1時間前後に確実に偏頭痛の発作に襲われますから、しかるべき対処(主に薬物の服用)を行わなければなりません。

この前兆現象は偏頭痛患者全体の1/5程度しか生じませんが、予兆と言われる現象は偏頭痛患者全体の1/2程度の方に体調の変化として現れます。
この症状は偏頭痛の発作が起こる1日前から発生するので余裕を持って対処(偏頭痛の予防薬の服用)をする事ができます。

前兆現象としては次の現象を上げる事ができます。

  • 気分が落ち着かない
  • イライラする
  • 欠食をしたのでもないのに空腹になる
  • 急に甘い物を食べたくなる
  • 身体にムクミが生じる

ただし、これらの現象は別の原因で起こりうるものです。
なので、偏頭痛の予兆として気づかない場合があります。

偏頭痛の発作が起こる前の治療法として、前兆現象・予兆現象をシッカリと捉えて予防療法と呼ばれる対処法(要は偏頭痛を抑えるための予防薬を服用する事)が取られる事になります。
偏頭痛患者たる者、発作の痛みや苦しみを前兆現象・予兆現象を察知して可及的速やかに予防療法を行い、偏頭痛の発作を阻止したいものです。

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