アルツハイマーと記憶障害

認知症やアルツハイマーからイメージされるのは、記憶障害が多いと思います。
言ったことをすぐに忘れてしまう・・そして何度も同じ会話が繰り返される・・
これが多くの人のアルツハイマーのイメージではないでしょうか。

アルツハイマーの初期症状

実際にアルツハイマーの初期症状は、記憶力の低下です。
最近、いろいろな自治体などで認知症予防テストを行っていますが、「今日の年月日」や「朝ご飯の内容」という記憶に関する項目は必ず入っています。
また3つの単語を記憶させたあと、違う話をして、数分後に「先ほど言った3つの単語を言ってください」という項目もあります。

これらで解る症状は、記憶した事実を忘れていることがあることです。
健常者であっても、朝ご飯のメニューは忘れている人もいますね。
しかし食べたかどうかは覚えていますし、いくらかヒントを出せば「今日は、駅でパンを買ったんだった。」ということは思い出せます。

アルツハイマーの場合、ヒントがあっても思い出せません。
また忘れたことについて「忙しかったし」や「そう言う問題に答えることはない」など、自分以外のせいにすることも特徴です。

考える
アルツハイマーはヒントがあっても思い出せない。

他人のせいにする理由

他人のせいにする理由は、本人のプライドに関わるからです。
例えば朝ご飯のメニューを忘れたとき「最近こういうこと、あんまり覚えてないんですよね。」と言えるタイプの人は、ご飯のメニューを忘れることは大きな問題ではないのです。

しかしアルツハイマーの患者は、心のどこかで自分がおかしいことに無意識に気づいています。従ってそれを無意識に隠す行動に出るのですね。
「私は正常です」とアピールすることで、病の怖さから身を守っていると言ってもいいかもしれません。

短期記憶

アルツハイマーの記憶障害に多いのは短期記憶です。
さっき話したばかりの話の中身などですね。
アルツハイマー認知症の場合、脳の記憶を一時保管する海馬が萎縮する=極端に機能低下することから起きるのです。

健常者が大事な話を忘れたとき、もう一度説明を頼みメモするなど対策を取りますね。しかし、アルツハイマーの場合は「聞いたこと」という事実自体を忘れるのです。

こういうことが重なる上に、情報処理能力、何かを関連付ける能力も低下します。
こうなると「こないだ、ああ言われたので、次はこうしよう。」などと筋道だった考えはほぼ出来なくなります。

患者自身にしてみれば、何だか知らないが、周囲の会話についていけず、自分の頭の中も思うように働いていない状況なのです。
これはかなり孤独で不安な状況です。

対応策

これを逆手に取り、進んで会話をするリハビリはかなり効果があります。
この場合「会話のきちんとした成立」を求めてはいけません。
話は同じことの繰り返しであっても、何か意味がある、話したいことがあるから患者は話をするのです。

会話で有効なのは質問ですが、「正解のある質問」例えば日にち、具体的な思い出を問うのはやめましょう。
逆に良いのは「最近ご飯がおいしくない」と言われたら、「何が嫌い?」と言う具合です。もっとも自分の切り出した質問を忘れているケースは多々ありますが・・。
その場合は、相手の話の流れに応じて、好奇心を発揮しましょう。気にかけてくれる相手がいるというだけで、アルツハイマーの患者さんには大きな助けになります。

また、アルツハイマーの場合、長期記憶、子供の頃の記憶がはっきりしている人も多いです。自分が1番誇りを持っていた時代のポリシーをはっきり話す人も多いです。
昔の仕事の話は「何が大変だった?」とか、あるいは「そういう仕事はどうやったら出来るんだろう」と、頼るのもいいですね。

会話をすること自体、存在を認められていることと同じです。
この繰り返しでアルツハイマーの症状が悪化せず、良くなっていくこともあります。

短期記憶があり情報処理能力があることは、仕事や社会生活などでは有効です。
しかし人としてどうなのかはまた別です。アルツハイマーの患者との会話は、健常者のおごりを気づかせてくれます。

会話
気にかけてくれる相手がいるというだけで、アルツハイマーの患者さんには大きな助けになります。

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