パニック障害と栄養障害01

パニック障害は「ストレスによる精神疾患」と言うのが常識というものですが、先に紹介したパニック障害に関する記事の中で、原因は必ずしも心因的なものだけではない事を紹介させていただきました。

パニック障害と診断されている方の中には、栄養障害を伴っている方が多くの割合でいらっしゃいます。
つまり、パニック障害は栄養障害が神経症状の起因になっている事もあると言う事です。
日本は「飽食の時代」と言われて久しいのですが、そのような言われ方が流布する影で、1980年代から若年者の栄養不良があちこちで言われ続けてきました。

若者の間に見られる脚気、あるいはキレやすい中学生、授業中座り続けていられない小学生等々。

今や、それが一般化されてしまい、その象徴として、コンビニ弁当やカップ麺などが槍玉に挙げられています。
それでは、それ以外の食事が健全なのか、と言うと心もとないものがあります。
コンビニ弁当やカップ麺は論外にしても、ファーストフード・大衆食堂・格安レストラン・ファミレスなどの外食、スーパーや弁当屋の惣菜などが日常的になっていますし、わずかに一部で続けられている家庭料理のお手本が外食のメニューやお惣菜であったりします。

簡潔に言えば、カロリー・塩分・グルタミン酸過剰で、金額が高ければ高いほどタンパク質と脂肪がついてくるけれど、ビタミンやミネラルなどが致命的に不足していると言うシ代物です。

栄養障害の種類としては、下記が挙げられます。

  • 鉄不足
  • 亜鉛不足
  • ビタミンB群不足
  • タンパク質不足
  • 低コレステロール血症

このうような栄養障害を起因とするパニック障害を調査・発見し、根本的に治療しようと言う療法があります。

それがオーソモレキュラー療法です。

オーソモレキュラー療法とは

オーソモレキュラー療法では、詳細な血液検査を行い、そのデータと症状から栄養素の欠損をチェックし、個々人に適した必要な栄養素を選択していきます。
そして、血液データに基づいた個々人に最適な栄養素を摂取する事で、パニック障害の症状が改善され、薬剤の減量や中止を可能にする状態を目指します。

オーソモレキュラー療法は3つの輪から成り立っています。

栄養療法

1つ目の輪は、栄養療法です。
人間には元来、自然治癒能力がそなわっています。
その自然治癒能力を最大限に発揮するための要素が栄養素です。
栄養素の過不足は、血液検査データを解析して読み取ることができます。
必要な栄養素は食事に留意しながらサプリメントで補い、症状を改善していきます。

従来の栄養療法的アプローチでは、特定の栄養素の欠乏の結果、脚気(ビタミンB欠乏症)・壊血病(ビタミンC欠乏症)・ペラグラ(ナイアシン欠乏症)などが起こってから、対症療法として欠乏した栄養素を提供するという発想でした。
しかし、現代では上記のような教科書的な欠乏症が現れるのは稀で(少なくともOECD加盟国では)、そこまでは至らないが、潜在的に欠乏した状態である人の方が大多数です。
オーソモレキュラー療法では、この潜在性の欠乏状態にこそ様々な不定愁訴の原因が潜んでいる事、そしてそれを治療するには栄養素を適宜用いて補正して行くというのが基本方針となっています。

ですから、一見すると栄養素とは思えないような、たとえばオリーブ葉エキス・イチョウ葉エキスなどのハーブ類や、ナットウキナーゼなどのいわゆる機能性食品を、健康維持・改善・増進のために積極的に用いると言う方向にも考えが及びます。

また、生化学・生理学・栄養学の進歩・発展に伴い、栄養療法も生化学的な知見に基づいて行われるようになりました。

患者個々人の生物化学的情報(主に血液検査データ)に基づき、患者の細胞を構成する分子のバランスの乱れ(インバランス)を、栄養素を用いて整える(不足を補う事や健康維持だけでなく、積極的に医療に使う)と言う事です。

そのためには、一般的に見られるような栄養素の必要量とは異なる量(至摘量)が必要になります。
それは、時として、一般的に考えられている量の100倍を超える量になる事もあります。
と言うのも、過剰な栄養素がある反面、ごっそりと欠け落ちている栄養素があるからです。
同時に、栄養素の代謝の特性を考慮(たとえば、鉄:亜鉛:銅=1:1:9等)しながら、互いの相互作用を持つ多くの種類の栄養素を用いる必要があります。

細胞の分子レベルのインバランスを栄養素を用いて整える、つまり病気を治すと言う発想は、漢方薬というよりも薬膳の発想に近いものがありますが、オーソモレキュラー療法は生理学的知見に基づいた科学的な療法です。

パニック障害と栄養障害02へ続く

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