統合失調症の認知機能障害の3つの特徴

統合失調症には、認知機能障害という症状があります。
認知機能とは、記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの知的な能力を指します。
統合失調症では、これらの認知機能の障害がみられるのです。
それによって、日常生活に困難をもたらすことがあります。

1.選択的注意の低下

情報や刺激を選んで、それに注意を向ける事ができない症状です。

人は沢山の情報に対して同時に注意を向ける事ができます。
テレビを見ながら家事をしたり勉強したりする事はよくある事です。
日本ではテレビだけを見るという人の方が少ないのではないでしょうか。
また、勉強に集中していても雨音が入ってきてなかなか集中できないなどの体験もよくした事があるのではないでしょうか。
居酒屋などではオーダーの声や、注文の声、お客さんの様子を観察し、料理を提供するために運ぶなどの様々な事を同時に行っています。
人は、そうして多数の情報に注意を向けて生活しているのです。

それができないとどうなるのでしょう。

テレビを見ているとテレビばかりを見てしまいます。

勉強をしていても雨音ばかりに気を取られてしまいます。

統合失調症にはそうした仕事ができる人の条件をクリアできないという症状があるのです。

これはどの仕事においてもそうです。

多数の事が同時にできない人間というのは、一般的には、仕事・作業などが出来ないカテゴリーに収まってしまうのが現状です。

2.比較照合の低下

これは過去の記憶と比較して判断できないというものです。

難しい話になるのですが、過去に幼稚園のかけっこで最下位だった子がいるとします。
そして、別の人も同じ体験をしているとします。
そうなるとどちらも同一人物だと思い込んでしまうのです。

また、細かなことにこだわって全体を把握できないという特徴もあります。

言葉に隠された意味や比喩などを理解することができないことがあります。

いわゆる物覚えが悪く、人間関係においても空気が読めないなどの弊害が出てきます。

最初にこう言ったから仕事はこうだと決めつけたり、人が冗談半分で言った言葉をまともに受け取ったり、そもそも冗談を理解できなかったりする事があります。

そうした意味ではアスペルガー症候群と同じような症状があると言えるでしょう。

アスペルガー症候群というのは非常に診断されにくい病気であり、こうした症状の類似からアスペルガー症候群であっても統合失調症だと診断されてしまう事があります。

統合失調症というのは、そうした病気の絵の具という表情を持つため、様々な病気に、総合されてしまうのです。

3.概念形成の低下

物事をグループ化して概念化できないという症状です。
さまざまな情報に対して、類似点と相違点を区別して物事をグループに分けて概念化する機能が低下しています。

例えば、箱は積み上げ、衣類はタンスにしまうといった整理整頓ができなかったり、手順よく料理ができなかったりするなどの不具合が生じます。

人間は区別する事で物事を適切に処理する事ができます。

さいごに…

人として有能な人は八方美人で色んな事が同時にできて、空気も読めて、人の名前を直ぐに憶えられて、物事を効率よく動かせる人の事をいいます。
そうした人の真逆になるわけですね。

そうなると、社会生活を送る上で非常にハンデを抱えて生きていかなくてはいけません。
かなり不便なものです。
投薬治療によって抑え込めるものは抑え込んでおきましょう。

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