うつ病と睡眠障害

うつ病患者の内、不眠又は睡眠障害を患っている人の割合は9割と略、普遍的に網羅されている症状である事が分かります。
患者の状態は精神及び肉体的に辛い状態です。
体が重く、気分は落ち込み、それらは常態化し物事に意欲を持てる条件では、ありません。
健常者もストレス・疲労の蓄積や様々な因子が元で、好不調の揺らぎは多少生じます。
しかし不眠などの症状は概ね1週間程で改善します。
うつ症状に陥る事とうつ病に罹患する事との決定的な違いは自律的回復が可能か不可能かにあります。

不眠の原因 国際精神学会でも不眠症や睡眠障害をうつ病の典型的要素として認知されています。
(ICD-10 DSM-5)これらと関連して過眠も要素として加わります。
当然、うつ病が全ての睡眠障害の原因ではありませんが、うつ病が関係している場合が非常に多いのは事実です。

うつ病という病気を比喩的に表現すると、精神エネルギー、生命エネルギーの低下を初め生物保存に関わる生理的欲求の低下にまで及びます。
生理的欲求とは最も基本的な欲求の事で、呼吸、食欲、性欲、睡眠欲を指して云います。

分泌物質のセロトニンはシナプスという神経細胞から適度に放出され一定期間は脳内に分泌され、その後他のシナプスの受容体へ吸い込まれ、他のシナプスへ伝達させます。
この作用が全体にくまなく行き渡る事で脳内神経系の正常維持に作用すると言われます。
しかしシナプスには自ら放出したセロトニンを自ら摂取してしまう自弁も存在し、(分泌過剰時に際しての抑制機能と考えられます。
)セロトニンの過剰な再接収作用が発生した場合、セロトニンのフローが自己完結してしまい伝達が不十分に成ります。
この事が精神面や肉体面、双方に悪影響を与えている原因だと思われています。
抗うつ剤のSSRI/SNRIなどの薬は、この再接種作用を阻害(再摂取弁を一時的閉塞させる)させる効能を持つ薬です。

不眠の種類

  • 入眠障害【寝付けない】
  • 中途覚醒【熟睡できず何度も目を覚ます】
  • 早朝覚醒【睡眠時間が短い】

うつ病患者は中途覚醒、早朝覚醒の症状が顕著に現れます。

うつ病不眠の改善

うつ病を治療・改善(長期に及ぶ)すれば不眠症も改善します。
しかしこの様な正論からは具体的な方法を見出せず掴みどころがありません。
現実的にはうつ治癒(寛解)は目的であっても当面は体力消耗の大きい不眠状態を何とか改善を望む事は至極当たり前の欲求です。
しかも不眠の改善だけに特化、考慮する方法はある様です。

入眠時どうしても眠れない為、気晴らしにスマホでゲームをする。

就寝時に強制的な方法として深酒(晩酌)を嗜む。
睡眠薬と同様、体に抗体が出来効き目が鈍く成り、自然と量が増えてしまう。

就寝時にお菓子などをたくさん食べる。

就寝時にコーヒー・コーラ・紅茶などカフェイン含有量の多い飲み物を口にする。
叉その他の飲料類も大量に摂取する。

就寝時にタバコを吸う。

睡眠環境 遮光性のカーテン未設置や防音対策が適切ではない。
照明を消さない

不規則な食事。
空腹状態で就寝する。

上記の表は睡眠障害を及ぼす行為(環境)の典型例の一部です。
脳への興奮や刺激、興奮作用を促す物質を摂取する行為を無意識に行っていないか確認します。
次に悪習慣を改めて実践する事で睡眠障害が改善される事もありえると云われます。
叉、日中は軽い運動・有酸素運動を行います。
基礎体力の維持と眠気を阻止する効果があります。
昼寝などの習慣も入眠障害の原因に成り得ます。

睡眠薬

服用当初は環境・習慣の変更より即効性は在ります。
しかし効果は使用回数に比例し鈍化します。
副作用など考慮し医師の指導の下、適切な分量の摂取が必用です。
睡眠薬誤用すると場合によっては不眠症を悪化させてしまう場合もあります。

叉、矛盾する様ですが抗うつ剤(SSRI SNRI)には脳を活性化させる作用も含まれ、皮肉にもこの薬が不眠の原因に成る場合もある様です。
しかし四環系抗うつ剤は鎮静作用に優れ、睡眠障害には影響しないと言われています。
何れによっても主治医と良く話し合って総合的な判断の元、投薬された薬を正しく服用する事に越した話は無いようです。

日本人全労働者の内、約1割近くがうつ病に罹患しています。
先にも触れたように「何も手につかない、意欲がわかなく成る」、新奇性や好奇心は急速に萎えて異常なまでの短期間で馴化してしまう特性があります。
一般的に病状は現在に於いても、この様に文章での症状表現を用いられます。
その様な固定観念に一石投じたのが米国の大学生でK.J.クロフォードという人で、自らも’うつ病’を患っており’うつ’病を可視化出来た場合どの様な世界観が展開されるかを試みました。
「私の不安な心」という題名で写真展を開かれました。
正体不明な物質で拘禁状態に晒されている写真や苦悩、苦痛、もがきを表現した写真。
謎の黒い塊からの追訴、逃れられない状態を表現した写真。
基本的にモノトーンの背景で最低限に抑えられたカラーで閉じられた世界観を表現しています。
別のサイトでは自由や解放を意味する風船の紐の先が皮肉にも自らの首に巻かれている写真。
自画像?顔をぐにゃぐにゃ編集加工した作品。
沼に風船を持ちながら入水する写真、カーテンの背後から人影がボンヤリ浮かんでいる作品。
などなど、写真は全てモノクロで構成されて、うんざりしそうな空間の中、時間が停止してしまった様な閉塞感覚を印象として受けます。
使い方によってはサイコ系ホラーの一場面に見えなくもありません。

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