統合失調症と多重人格

乖離性同一性障害には、多重人格障害という症状があり、嘗ては2重人格障害と混同され現在でも歯切れの良い解釈は出来にくい症状です。
双方とも基本的症状は、正気(通常の人格)に戻った際、離人症状の元での言動を健忘状態、あるいは遠くで眺めている様な状態な為、記憶が皆無又は不鮮明だと言われます。
正気に戻った状態で録画など閲覧させると自らの意思と著しく乖離した言動に相対して嫌悪感、罪悪感、違和感など覚えます。

多重人格障害や2重人格障害の原因は離人症の亢進による症状であると一部の文献には解説されています。
その離人症は回避性人格障害の一種であるとも言われています。
突発的な事故の当事者・目撃者、長期に及ぶDV被害者等は、生きて行く為に、無意識の内に半ば強制的に閉ざした堪え難い記憶がトラウマとして潜在意識下に形成・累積・熟成されます。
その為に些細な外的刺激や体調変化などで潜在意識下の不都合な記憶の回想(フラッシュバック)が生じ、記憶の断片があたかも現在進行様に知覚されパニック状態に至ります。
しかしこの症状は持続性に乏しくパニックからの開放は比較的短期間で一時的に終息します。
開放の過程は夢見状態から何らかの刺激(声掛け)により覚醒する場合や自然に戻る場合など様々です。

尚、多重人格障害の場合は長短様々な感覚で複数人格が入れ替わり、且つパターン予想が掴み悪く、当初は様々な誤解(詐病・芝居など)も受けます。

多重人格障害は現実的には症例が少なく何れにせよ仮説の域をでません。
主な原因として複雑な環境下、パーソナリティ(個性)が何らかの制約下の元極度な細分化を要求される状況で生ずる後天的症状と思われます。
一例として以下の様な多人格で構成されます。

患者は、本来の自分とメイン人格、明朗な人格、陰鬱な人格、柔和な人格、攻撃的な人格、成熟した人格、未熟な人格、男性又は女性的な人格など多数の人格を極自然に創り出し、各々名称を付け分類する傾向があります。
外部との接触時は多数の人格の内、一人格が対峙し他者との独自の関係構築に努めます。
但し接触中に人格変換も在り得ます。
事情を知らない相手は豹変する表情や言動に大きな違和感や不快感を覚えます。
一見してこの様な症状は、演技や詐病の可能性を抱かれます。
その点に対して専門医の間にも意見が分かれ、演技性人格障害の切り替えを無意識に行っているという説もあります。

離人症との共通点は幼少時の過酷な環境下での過剰適応を強いられ。
その呪縛から解かれ環境変化を経て暫く間を置いて顕在化する傾向が在ります。

治療方法は主に患者本人にとって適切な個性に収束させる事が目的で、敢えて病前の人格に戻す事に拘る治療方法は採りません。
従って収束先のターゲットは社会適応上、最も適している明朗な人格などへの統一に定めます。
多重人格障害向けの外科治療は現在は存在せず、あくまで心療治療が中心に成ります。

尚、メイン人格とは、発病後外部への露出時間の長い人格の事です。
リーダ的な人格や病前の人格などを意味する人格ではありません。

統合失調症の単純型

単純型とは統合失調症分類の一つです。
解体型(破瓜型)・緊張型・妄想型という主な3病型に該当しない場合があり、分類不能型として新たに細分類されています。
その分類不能型内でも更に分化され、残留型・単純型に分かれます。

単純型の症状は基本的に破瓜型と似ていますが、妄想・幻聴と言った症状はありません。
外部刺激の体現を避け、対人恐怖症の様に人を避ける様な症状が現れます。

意欲が減退(能動性減退)しているので、学業や仕事にも影響が出てきます。
又、特定な事柄に過剰反応を示す陽性症状への移行は他の症状と比較しても概ね診られません。

破瓜型の主な特徴

破瓜型の主だった特徴は発病年齢が概ね15歳~25歳と若年で、重く沈んだ陰性症状の進行が極めて緩やかで在る為、家族も含め他者にも病識は殆ど判断出来ません。
感情的は平坦で能面の様に成ります。
通常、対外的な関係への関心が薄れ加えて、衛生面にも関心が薄れ容姿・服装も乱れます。
尚ここまでが単純型と共通する症状です。

他方単純型との相違点には、患者の執拗な拘り、過敏に反応する事柄が在ります。
それが些細な事柄であっても、予想の付かない感情爆発(陽性症状)があり病識が明らかに成るタイミングでもあります。
妄想・幻聴も表れ話す内容も筋道の立った内容はむしろ稀で、非合理な事柄を反復主張する様に成り、この辺は統合失調症・緊張型との重複症状が時折確認されます。

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