統合失調症の症状で、妄想型が多いのは中高年層

厚生省の発表では2006年における統合失調症やそれに近い症状で専門医療機関に診断を受けた人数は25.3万人/日でした。
その内入院患者数は18.7万人で外来患者数は6.6万人です。
そして推計では79.5万人の人が患っています。

ドイツのルクセンブルガーという教育心理学者は 統合失調症と近親者(遺伝性)との関係を調べました。
親子間では約17%の割合で影響する結果を得ました。
甥や姪との関係では1.8%で際立って高い事を主張していますが、他方一卵性双生児の間では一定以上の際立った数値は確認されていません。
一概に先天的遺伝性を主張するには意見には幅があるようです。

統合失調症は神経機能のネットワークが何らかの原因でトラブルを起こしている状態で、脳内の統合機能が失調している病気です。
情報や感覚が敏感に反応して、脳が混乱を生じさせます。
過剰意識がひどくなり、日常生活に支障を来たします。

分裂病での類型との関係では破瓜型・緊張型は若年層や20~30歳代に多く、他方、中高年層では妄想型が多い傾向が観られます。

幻覚・妄想(陽性症状)

--具体例--
  • 「お前はおかしい」の様な批判・悪口が何処にいても自動的に繰り返し聞こえてくる。
  • 「あっちへ行け」の様な命令されている様に思う。
  • 「今どこそこに行った」などの様に何者かに監視されている様に思う。

非現実的な事を確信してしまう妄想

--具体例--
被害妄想 普通に通り過ぎた人や大勢な人々の中に隠れている特定の人間はが自分を襲う敵と信じてつい身を固めてしまう。
関係妄想 近所の人の咳払いは自分への警告だと思ってしまう。
注察妄想 道を歩いているとチラチラと自分が見らている様に感じる。
追跡妄想 警察や探偵などに常に尾行されている様に感じる。
被害妄想 自分には世の中に悪い影響力を持っていて感傷的に成る。
幻覚・妄想の特徴

人間関係を基本に自分への評価や価値観に由来するので、大概は心の中の劣等感が反映される。
主観的には強く確信しているので幻覚・妄想を真実だと確信してしまう。

生活への障害(陰性症状)

--具体例--
  • 話のピントがズレる。
  • ひとつの話題から唐突にまったく関連性の無い話へ話題が飛ぶ。
  • 思慮を要する場面など、極度の緊張によって、話が支離滅裂に成ってしまう。
  • 対話している人の話のポイントが掴めない為、誤解などが生じやすい。
  • 注意が他に向かい集中散漫になり作業ミスが多い。
  • 急に激しい興奮が襲い大声で叫ぶ。反対に周囲からの刺激に全く無反応に成る。
  • 目的の無い行動や無意味な言葉を何度も繰り返す。
  • 芝居じみた慇懃な挨拶や奇妙な振る舞いで周囲を唖然とさせる。

感情の障害(人間関係での悪影響)

--具体例--
  • 喜怒哀楽が極めて乏しく硬苦しく、相手を躊躇させる場面がる。
  • 共感など適切な対応が出来ない。またその場にふさわしい感情が沸かない。
  • 他人の感情や表情に対しての理解力が無くなり、他者の気持ちに着いて行く事が大儀に成る。また相手の話を曲解してしまう。

意欲障害(生活全般に亘って意欲低下)

--具体例--
  • 仕事や勉強の意欲が出ず、何もせず時間を浪費してしまい、生活レベルが劣化する。
  • 入浴や洗面など身だしなみに関心が向か無くなる。
  • 整理整頓や洗濯など衛生面に於ける関心が無くなる。
  • 自分の部屋に閉じこもり、人との接触意欲(会話や集いなど)が沸かなくなる。

病気の障害(自分の病気を理解出来ない)

主観的にも多少神経過敏な人間である事には認識がある程度で、妄想・幻覚自体には真実であると確信し病気による影響であると言う認識は皆無。

一般的に統合失調症は妄想に支配される怖い病気として認知されていますが、約100人に一人が(程度に個人差がありますが)羅漢してしまうのが現状です。
しかし不治の病ではなく早期発見や診断が鍵と成ります。
リハビリや適切な治療の他、家族や周囲の協力や理解が必要になります。

人気の記事

サイトリンク

免責事項