症候性てんかん

症候性のてんかんは、脳や神経にダメージを与えるような、過去に明らかな病気がベースになって発症するタイプです。
脳腫瘍、先天性異常、脳炎、頭部外傷、出産時の低酸素脳症などベースがあるかどうかの判断についてはMRIで器質的変化が認められますが、問診を通して今までにかかったことのある病気、生まれてからの成長過程、運動能力、知的能力なども重要な参考になるので、初診の問診時には本人だけではなく、親や家族が付き添って話を医師が聞き取ります。

乳児期、幼児期に発症しやすい症候性てんかんには予後について共通する特徴や薬の効きやすさ、手術の可能性が分かっています。
症候性てんかんは薬では完全に発作が抑えられないが、手術で治まりやすいタイプが多いです。

乳幼児期早期
乳幼児期早期の発症する症候性全般てんかんは、発作の頻度が高い、治りにくい発作、発症前から精神、身体の発達の遅れ、発作以外の神経症状が進行性が特徴です。
成人
成人になってからの発症の原因となりやすいのは、事故による頭部外傷、中枢神経系の病気、脳腫瘍、高齢になると脳血管性の障害などが主な原因となります。

頭部外傷や脳の病気では一過的にけいれん発作が生じることがありますが、その後に繰り返すことがなければ「てんかん」とは呼ばず、急性症候性発作というてんかんとは別の区分に分けられています。

症候性てんかんの治療

症候性てんかんの治療は一般的に、薬物治療です。
その他には日常生活が重要になります。

日常生活に注意すべき点
お医者さんから処方された薬を決まった時間に決まった量を飲む
睡眠不足は、発作を誘発させる恐れがあるので、規則正しい生活をして十分な睡眠時間を確保する
ストレスをためないこと、または自分なりのストレス解消法を確立する

症候性てんかんの症状

症候性てんかんの症状は、その部位によって異なります。
前頭葉
側頭葉
頭頂葉
後頭葉

前頭葉てんかん

  • 発作が突然始まり短時間で突然終わる
  • 大声をだす
  • うめく
  • 両手を激しく振る
  • 睡眠中に発生

側頭葉てんかん

  • 上腹部の不快感などの前兆がある
  • 自動症が見られる(意識がないままで、いろいろな動作をすること)
  • 発作後にもうろうとして歩き回る
  • 動作が停止して、一点を見つめる
  • 意味のない言葉を繰り返す
  • あちこちを歩き回る

頭頂葉てんかん

  • 主にしびれ、痛み、などの知覚症状
  • 異様で不快な感覚
  • 強直や間代発作を起こすこともある

後頭葉てんかん

  • 目の前に光が見える
  • 変なものが見える
  • 目のかすみ
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 頭痛

症候性てんかんの予後と再発

症候性てんかんは治りにくく、再発率も高いとされています。
難治性になりやすいてんかんとも言われています。

症候性てんかんと脳梗塞

脳梗塞に限らず、脳に何らかの障害や傷があることで、症候性てんかんが発症することがあります。
過去に、脳梗塞や脳出血を起こしてしまった場合、将来65歳以上になったとき、症候性てんかんを引き起こす可能性は高くなります。

症候性てんかんとアルツハイマー

症候性てんかんんとアルツハイマーの関係について説明します。
アルツハイマー病は、脳が委縮することで発症します。とくに『海馬(記憶にかかわる)』が委縮します。
症候性てんかんの中の側頭葉てんかんは、焦点の中心になるのが海馬です。
上記のことから、アルツハイマー病の方は、側頭葉てんかんを引き起こしやすいといわれています。

症候性てんかんと血圧の関係

症候性てんかんの一つの原因として、『起立性低血圧』が挙げられます。
これは、急に立ち上がるとフラフラしたり、めまい、立ちくらみを頻繁に起こすものです。
原因は、血圧の低下です。
起立性低血圧が原因となって、症候性てんかんを発症してしまうこともあると言われています。

赤ちゃんが症候性てんかんになる原因

お母さんと赤ちゃん
赤ちゃんにもてんかんがあるの…?

赤ちゃんが症候性てんかんになってしまう原因を説明します。

  • お腹の中で赤ちゃんに奇形が生じてしまう『先天性奇形』
  • 頭部に受けた衝撃で脳自体に損傷が直接来る『脳損傷』
  • 細菌、ウイルス、真菌などによる感染症の『髄膜炎』

症候性てんかんは遺伝する?

症候性てんかんの原因は、脳の損傷によって起こるてんかんです。
ですので、遺伝の心配は必要ないと言われています。

症候性てんかんと高齢者

高齢者
高齢者のてんかんが増加傾向?

皆さんは、てんかんのイメージはどのように持っていますか?
主に若者や赤ちゃんに多いと思っていませんか?
実は、最近、高齢者のてんかんが増加してきています。
そのてんかんこそが、『症候性てんかん』なのです。
症候性てんかんは脳障害、脳変性疾患、脳卒中疾患等の脳に何らかの原因があって発症します。
高齢者は、脳血管の障害を下地として症候性てんかんを発症してしまうのです。
症状は、認知症と間違われやすく、呼びかけても返事をしなかったり、記憶が飛んだりします。
けいれんが起こることは少ないと言われています。

犬の症候性てんかん

犬にも症候性てんかんがあります。
原因は、脳炎、脳腫瘍、交通事故などの外傷、水頭症などで発症します。

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