躁うつ病の接し方

躁うつ病の概要

一般的にうつ病と躁うつ病を同義的に語られる事があります。
その最たる原因は罹患者本人が躁状態=本来の性格であると思い込んでいるからです。
躁状態は確かに活動的で明朗な印象を受け、周囲も度を越さない限りは疾病症状と社交的な性格との認知を正確に出来難い様です。

しかしうつ病と躁鬱病とでは治療方法や服用する薬の種類に至るまで全く異なる病気です。

叉実際に社会関係でトラブルが生じる局面が生じる場合はうつ状態より躁状態の方が多いと言われます。
自分中心(他人も快適だと思い込む)に事を構え、時と場所の概念や相手の立場は考えず行動に及ぶ事が多く、例えば深夜帯にも拘らず手当たり次第に電話を掛け、一方通行な話に長時間に亘って平気で行います。
相手の話に聞く耳を持たない様に成り事情の知らない知人などは徐々に距離を置く様に成ります。

しかし罹患者本人の立場に立てば逆に裏切られた様な被害意識が高まります。
その様な経過をとして人間関係が壊れ孤立するケースも少なくありません。

睡眠も余り取らず元気に歩き回り活動を続けるので、最終的に体に限界に至り、急激な状態変化が生じます。
不眠不休で免疫が弱っている事から風邪やその他の疾患を併発する可能性も低くありません。

浪費癖が在る人が躁状態に浸ると一層その傾向が強く成ります。
収入とのバランスを失い最悪の場合、クレジットで不要な商品を買い続け、最終的に自己破産にまでに追いやられるケースも有り得ます。
この様な躁状態では家族や周囲が注意を申し出ても逆効果な場合が多く対応には苦慮します。

家族関係に於いては躁状態が進行するのに平行して日常的に口論が生じ泥仕合化します。
結局は家族も振り回され、睡眠不足状態に浸り体や精神的に変調を来たす事も在ります。
機会を見つけ治療に専念する様促し説得出来なければ離婚や家族離散と言った状態に成ります。

その他躁状態での特徴は、気が大きく成り根拠無き過信に浸り、顛末に対して熟慮する事が無く成ります。
その結果、身の丈に合わない難易度の高い仕事を安請け合いする様に成り、結局は周囲に迷惑を掛ける事に成ります。
この様な大胆さがエスカレートした結果、法外な公金流用して社会的犯罪に手を染める様にも成りえます。
解雇はおろか刑事事件の加害者として発展し、大変な立場に追いやられるケースもありえます。
この顛末を体現しても罹患者は自らの行動に対して’正義’と捉えている為に被害者意識が極限に達し、一般社会の通念との隔たりが大きく成ります。
このレベルまで進行した場合もはや躁状態とは云えず、統合失調症への誇大妄想に変質を意味します。
通常の精神状態では決して行わない事側(犯罪)に対しても抵抗なく実行してしまい自他問わず人生を破壊する可能性が示唆される状況です。

躁うつ病の接し方

上記の通り躁状態は罹患者自体、一種の恍惚状態にある為、本人にとって快適な状態の否定や忠告は基本的に有効な効果をもたらさず、罹患者が成人の場合は(犯罪性の無い場合)無下に拘束や保護する事も法的に抵触し対応出来ません。
他人を巻き込む様な深刻な状態に浸る前に、忍耐強く説得し本人同意の上で精神科に掛かるよう促す方法しかありません。

但し正直に対応せず、結果的に騙されて入院という話に至った場合、罹患者は略100%家族に対して逆恨みの感情を抱きます。
この状態では医師とも信頼関係構築も崩壊している為治療を一層難しくします。

そううつの起源

躁状態、うつ状態、どちらが起源で躁うつ病に至るのかは、個々人によって異なり、起源に於ける法則は確定できません。
尚一般的な症例として当初はうつ状態のみの状態であった罹患者が数か月~数年に及んで軽躁状態や躁状態が現れる場合もあります。
臨床に於いて担当している(医師)はうつ病の患者が些細な言動の変化(急に表情が明るく成るなど)が生じた場合、改善の兆候か双極性障害(そう鬱)への変化か見極めなければ成りません。
抗うつ治療とは同時に躁状態を促す効果のある薬を服用させている行為でもあり一定のリスクも負っているからです。

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