統合失調症の症状としての攻撃性

『ドーパミン・ノルアドネラリン』

嘗て分裂症と称されていた頃は脳内の異常について必要以上に身構える社会的風潮がありました。
又もっと時を遡るとキツネ付きなど、オドロしい風習のパフォーマンスの場に利用されました。
今日では分裂症を統合失調症と名称変更され、より実像に近い世論形成に努力が払われていますが、ある種の偏見は今日に於いても粘り強く存在いるのも現実です。
統合失調症は様々な症状形態を特徴とする病気ですが中でも急変し突然攻撃性が対人関係に大きな影響が及びます。

ある種、偏見は恐怖心の裏返しかも知れません。

ストレスという表現も大昔から存在していた訳でなく1990年前半頃から徐々に認知されてきました。
現在、複雑な人間関係など受けながらストレス皆無で社会生活を営んでいる人はむしろ極少数派である様に思います。
当初は心の持ち様で対処出来る様に求められていたストレスも心身にダメージを蓄積され他の症状へと進行する可能性もあり今日ではカウンセラーなど、より重要視される様に成りました。
逆に長期間放置または気力で振り払うと言った武勇伝的対応は実はナンセンスであって、この事を起源に統合失調症を発症する事は海外も含め認知されています。
離人症でのパニック状態・躁鬱病や統合失調症の陽性・陰性症状や境界性人格障害など、表面的にはどれも似通った症状である為、正確な判断に於いては、本人は元より親しい間柄でも略出来ません。

当然、初対面の専門医にも予め答えが用意されている訳ではなく適切な時期や状態を見計らって患者にアプローチし原因追求や環境状態など治療の道筋を付けたり、客観的、医学的症例などを参考に治療を行います。
一般的に統合失調症は鬱状態の様な陰性症状発症時が本来、(先駆期)発病と捉えますが症状の性格上、周囲もその変化に対し関心を払う事は滅多にありません。
他方、陽性症状で極端な変化が通院・入院への機会と成りえる事が多く、それ以前の長期間に於けるストレスによる欝症状程度の認知が本人及び家族などにあったとしても、ストレス(反抗期)⇒陰性症状への進行とはその時まで判断できず、加えて陰性と言っても個人差が大きい為、一部典型的な症状マニュアル化に終始し、全体像を網羅する事は限界に近く結果的に先駆期の羅患は放置されがちです。

陽性症状とは《ドーパミン・ノルアドレラリン》といった神経伝達物質の異常放出時に生じる症例です。
概ね患者は攻撃的、興奮状態にあります。
ドーパミンという伝達物質はシナプスという神経繊維(細胞)が他のシナプスに刺激を加える時に神経終端から分泌される物質の事です。
通常な分泌では記憶想起や経験知を活かしスムーズに事を運ばせ、適度な緊張・ストレスだけで対応できる様にする働きを持ち、むしろ必用な機能ですが異常分泌はシナプス伝達要領にオーバーフローが生じさせ無関係な記憶や情報(視覚的・聴覚記憶)が混線して幻聴や妄想として反映されます。
非定形型の向精神薬ではドーパミンへの抑制機能を持つセロトニンも配合されており分泌量の正常を促します。

通常シナプス間には20ナノミリの隙間があり、シナプス裏側の受容体と呼ばれる所で分泌されたドーパミンを付着させシナプスのネットワークを構築します。
末端のシナプスは海馬など記憶領野と結合されていて記憶情報を取り出し言動に応用させます。

ドーパミンとノルアドネラリンとの働きは非常に似通って共に興奮・感情起伏の拡大など陽性症状を司りますが、ノルアドネラリンは怒りや恐怖に対して攻撃性行動(暴力)を促しドーパミンの方は興奮作用が主な働きを持ちます。

過度な興奮状態は生活パターンに狂いを生じさせます。
典型的な症例として不眠症状が挙げられます。

睡眠不足の解消の為興奮作用を抑える為のセロトニンの摂取にも過量な場合は意欲低下・食欲減退・感情の硬直化や平面化など陰性症状再発する副作用があります。

又、ストレスに敏感に反応する副腎皮質から分泌されるゴルチゾールは主に代謝関係の制御する糖質ストロイドを指し、セロトニンの働きに抑制効果を与え異常なまでの食欲を促す事があります。
やけ食いなどの現象はドーパミン、ノルアドネラリン、とこのゴルチゾールの分泌の反映を予測できます。

ストレスへの耐性の強弱に関しては先天的な要因が含まれますが、統合失調症の発症はストレス耐性のモロさから生じる為、発病=遺伝との因果は成立しません。
言い換えれば環境と本人の個性(耐性)との調和が整っていれば、統合失調症は存在しないとも言えます。
しかし今日の社会では約100人に1人の割合で発症する状態だと推測されています。

こだわり

統合失調症と、《こだわり》との関係は性格的な問題で統計上の神経質な人(ストレス耐性の弱い)との因果に過ぎない様に思えます。
例えば血液型での性格判断や体型による精神疾患の発症メカニズム同様、すでに廃棄された論理と同じ事です。
むしろ過剰なまでの手洗いなど、不潔に対しての異常なまでの罪悪感(心配・不安)に支配されてる症状の《強迫性障害》の症状として広く認知されています。
その他、病気に対する恐怖感が一際強く、齢70歳の患者が現在患っている病気自体は他所に、TV・雑誌などの情報から得た情報を根拠に自己判断の末、将来に於いて羅漢するのであろう病気に腐心するという症例もあります。
他方、統合失調症での陰性症状では、意欲や外部との関わりに減退が生じ、むしろ姿や衛生面、能動的な原因究明には無頓着に成るケースが多く、進行に応じて通常必用とされる関心事をへも失います。

又陽性時(緊張型)にも意味の無い言葉の繰り返す程度で拘りとは明らかにニュアンスを異にします。
従って統合失調症としての一般症例は特記されていません。

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