てんかん発作の症状
てんかん発作の症状は、特定の場所で脳の過剰興奮が起きる単純部分発作や複雑部分発作、最初から脳全体に過剰興奮が起きる全般発作で症状が異なります。
- 1.単純部分発作の症状
- 脳はひとかたまりに見えますが、体の機能を役割分担していて、発作の始まりとなる特定の役割部分の症状が起きます。
- 単純部分発作は…
- 意識障害がなく、体の一部がけいれんする
- 勝手に動いてしまうなどの運動症状
- 幻覚(ヒリヒリ、ピカピカ、ブンブン)するなど身体感覚の症状
- 腹部の不快感、蒼白、発汗、紅潮、立毛など自律神経の症状
- 言葉がうまく出てこない言語の障害
- 既視感・未視感のような記憶の障害
- 無様状態や時間感覚などの認知性の症状
- 怒りや恐怖のような感情の症状
- ものが実際より大きく見えたり
- 反対に小さくみえるような錯覚の症状
- 音楽や光景が聞こえたり見えたりする幻覚の症状
これらのうち、発作の始まる部分の役割に関連する症状です。
- 2.複雑部分発作
- 単純部分発作と同じように、発作の始まる場所は同じですが、意識障害を伴う症状を持つのが複雑部分発作です。
単純部分発作から意識障害から移行するものと、意識障害のほうが先に起きる種類に分けられます。
それぞれ、自動症といって、意識がないままくるくる歩いたり手足が動いてしまう、何も食べたり飲んだりしていないのに口がもぐもぐ動かしている症状を伴うもの、伴わないものに分けられています。
- 3.全般発作
-
- 脳全体から過剰興奮が始まるタイプで…
- 意識を失うだけの欠神発作
- 勝手に筋肉がピクっと動くミオクロニー発作
- 全身のけいれんでガクガクする間代発作
- 手足がぎゅっと硬くなる強直発作
- 全身の筋肉の力が抜ける脱力発作
- 一般的にイメージされている、突然意識を失って倒れて、全身がぎゅっと硬くなった後に続けてガクガクとけいれんする強直間代発作
部分てんかん
- 中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(ローランドてんかんとも呼ばれます)
-
年齢 3歳から 14歳にかけて、とくに 5歳から8歳 対象 脳障害の無い発達が正常な子ども 症状 片側の顔面、手や腕がピクピク・ガクガクとする短いけいれん
発作が発展すると全身けいれんになる発作の時間 睡眠中とくに寝入りばなや朝起きる前 発作の原因 睡眠のリズムが乱れたとき
- 良性後頭葉てんかん
-
年齢 学童期後半 症状 視野が暗くなったり、輝く点が見えたり、錯覚、幻覚などの目の症状から始まるてんかん
- 側頭葉てんかん
-
前兆 上腹部の不快感などの前兆 症状 顔がチアノーゼで青くなる人もいる
発作の持続時間は,大体1~2分その後、5~6分くらいもうろうとした状態が続いて、回復
発作中のことは全く覚えていない
発作の間は、熱い、冷たい、痛いなどの感覚がない
- 前頭葉てんかん
-
症状 明らかな前兆なく発作が始まる
頭頚部を回旋し、両上肢を強直させる発作や両下肢をバタバタさせる原因 不明
- 頭頂葉てんかん
-
症状 しびれ、痛み、などの知覚症状
更に強直や間代発作を起こすこともある
- 後頭葉てんかん
-
年齢 学童期後半
早発型は5歳頃に、晩発型は7~8歳頃に発症のピーク症状 視野が暗くなったり、輝く点が見えたり、錯覚、幻覚などの目の症状から始まる
- コシェフニコフ症候群
-
症状 焦点運動発作が持続的、もしくは休止期を挟んで継続的に出現する
全般てんかん
- 良性新生児家族性けいれん
-
原因 遺伝性のてんかんと言われている 概要 約4割は生後3日目前後に発作が始まる。そのうちの約7割は生後6週間以内に発作がおさまる
両親のどちらかにこの病気があると1/2の確率で症状があらわれると考えられている
- 良性新生児けいれん
-
原因 明らかな原因がない 発作時期 生後5日目前後 症状 間代発作や無呼吸発作を何回も繰り返す
発作型は全身、あるいは体の一部のけいれんを起こすものと、両者の混在するものがある
- 乳児良性ミオクロニーてんかん
-
年齢 4ヶ月~3歳頃 症状 時間の短いミオクロニーが繰り返し起こる 原因 遺伝が関係しているとも言われている
- 小児欠神てんかん(ピクノレプシー)
-
男女比 男児より女児に多い 症状 1日に数回から数十回の欠神発作が出現
意識混濁のみで、通常はけいれんを起こすことはない
過呼吸で発作が誘発されやすく、運動中に急に動きが止まって呆然とすることがある
思春期に全般性強直間代発作を起こすこともある
成人期にもてんかん発作が持続することがあり、そのような場合には抗てんかん薬が必要になる
- 若年性欠神てんかん
-
発症時期 思春期頃 症状 突然、無表情となりまぶたをぱちぱちし、運動や会話が止まるのが特徴 男女比 女子に多い 前兆 無し 原因 日常的な疲れやストレスといった外的要因も大きく影響
光刺激も
- 若年ミオクロニーてんかん
-
年齢 2~18歳頃発症
特に思春期の発症頻度が高い症状 腕に出現することが多い
手や足を左右対象に不規則に,電気ショックのようにふるわせる発作
発作によって急に倒れることもある
意識障害は伴わない原因 睡眠不足,疲労,ストレス、アルコール,光刺激などが誘発因子
- 覚醒時大発作てんかん
-
年齢 主に10代 症状 寝起き直後に全般性強直間代発作つまりは、突然意識がなくなってしまい、全身が硬直してしまう 治療 抗てんかん薬にてコントロールしやすい
薬の服用をやめてしまうと再発することが多い原因 睡眠不足、テレビやパソコンなどの光が関係している可能性も 対策 目を休める、休憩を挟むのも効果的
- ウエスト症候群(点頭てんかん、乳児スパスム、BNSけいれんとも呼ばれます)
-
概要 発作の抑制が困難で、知能障害、運動障害をともなう事が多い小児の代表的な難治てんかん
寝起きによく起こる時期 3~6カ月頃 症状 物音にびっくりしたかのような、手を伸ばし、カクンと首を縮めるような発作が特徴(首がうなづくようにカクンと下がり、両手は上にグッと上げる)。
てんかん性スパスム(れん縮)と呼ばれる手足や頭部に1~3秒間力が入る発作を繰り返し起こすことが特徴男女比 男児に多い
- レノックス・ガストー症候群
-
概要 ウエスト症候群から移行することのあるてんかん
運動・知能などに発達障害を合併することが多い症状 急に手足を突っ張るようにする(強直(きょうちょく)けいれん。
意識だけがぼーっとする(非定型欠神発作(ひていけいけっしんほっさ))
手足をピクピクさせる(ミオクロニー発作)原因 脳炎、脳症などの病気の後遺症としておこることもある 年齢 2~5歳で発症することが多いが、年長児や成人になって発症することもある
- ミオクロニー失立発作てんかん
-
年齢 生後7ヶ月から7歳
2歳から5歳が症状のピーク男女比 男児の方が多い 症状 一瞬、左右の手を拳上させ、それと同時に首と下肢の脱力がある 前兆 強直間代発作を起こすことがある
- ミオクロニー欠神てんかん
-
男女比 男児の方が多い 症状 両側性の上腕のミオクロニーれん縮を随伴する欠神発作が1日に何回も起こる
毎日頻回にみられ、持続時間も10~60秒と小児欠神てんかんよりも長め治療 治療することが難しく、知能低下や他のてんかんに移行することもある
- 早期ミオクロニー脳症(EME)
-
年齢 生後3ヵ月以内、多くは新生児期 概要 発作はミオクロニー発作と部分発作が中心で、無呼吸、顔が紅くなるなどの自律神経症状を伴う眼球偏位、部分的間代発作、複雑部分発作や二次性全般化部分発作が覚醒、睡眠時ともに頻発。
予後は不良で、障害が残る場合もある
- サプレッションバーストを伴う早期乳児てんかん脳症
-
症状 焦点運動発作が持続的、もしくは休止期を挟んで継続的に出現する 年齢 生後数カ月以前の乳児早期 症状 強直発作を特徴とする 概要 生後4~6カ月の間にウエスト症候群に移行し、一部はさらに1歳以降にレノックス・ガストー症候群に移行することが多い 治療 薬剤に反応しないことが多く、発作が消退しても心身の障害を残る場合もある