うつ病の職場復帰までのプロセス

休職の決断

1967年ワシントン大学の精神学者Tomas-Holmesと云う専門科の発表によると1年間に受けたストレス累積値がある定数を超えた場合、被験者の5割がうつ病に罹患すると有る様に実は風邪など同様、罹患への間口が大きいここの病気です。
個々人の耐性によっては症状もバラバラで症状への受止め方には千差万別です。

日本国内について日経新聞2006年3月が実施したうつ原因調査では、「職場の人間関係」が8割も占めました。
背景には単に人間関係に留まらず、急激な機械化により仕事の手際の善し悪しが際立って業績に反映され、特に従前タイプの中高年層大きなストレスを生み出す結果に至りました。
このケースでは、重度の『うつ』治療は仕事が元凶である事が明確なので少なくとも同じ職場での就労しながらの治療は難しいと思われます。
他方初期症状の段階では就業時間後クリニックなどに通いながら過ごす罹患者もいます。

医師の判断によって安静が下された重度の場合、一般的に性格上「休暇の決断」は思いのほか本人にとって大変な決断に成りますが養療に身を置く罹患者本人の覚悟が必要に成ります。

休職する事によるメリット/デメリット

正社員の場合は就業規定に沿って一定期間の休暇をとる権利を有します。
外科・内科疾患の他、心療治療に於いても対象である為、うつによる、休職は正当化出来ます。
しかし会社や業態によっては個人が占める役割や負担の大きさが異なり、額面通りに物事は行かない事が現実です。

正社員の場合で養療治療によるデメリットの大きさを単純に経済面だけで捉えると、思いのほか影響が小さい様です。
満額支給は期限尽きですが、期限(上記に示した休職の於ける支給期間は概ね1年6カ月です。)超過の場合一般的に2,3割減給されます。
福利厚生に充足している企業の場合は会社独自の補助金制度や組合からの上乗せ支給(傷病手当付加金/延長病症手当付加金)が設けられており、手取り支給額が満額と同じという会社もあります。
しかし昇進などキャリアへの悪影響は避けられません。

前向きに養療を心掛けた場合のメリット

通常、手取り給は休職期間の長さによって減らされます。しかし生活困窮には至らない程度は保障されてる。
身分保証は担保されている為、復帰には支障はない。 睡眠時間を削る事から解放される。
自分自身と向き合う時間が出来て、実現可能な理想とする生活を考える余暇が出来る。
萎えていた気力が回復し、徐々に仕事復帰に思いを馳せる様に成る。
抑うつ状態(症状)が徐々に改善されて行く。
抑うつの改善の兆候は頭がクリアに成り、体が軽く成る。 起床就寝の管理が出来る事で日常を有意義に送る事が出来ます。

正社員の身分で正当な休職理由が在りながら休職前にクビを仄めかされた場合などは明らかに法人側に労働基準法に抵触している場合が多く労働基準監督署に相談する事が望まれます。
但し復職後、様々な不当人事や人間関係の悪化等予想される場合、抑うつの再発が生じ本末転倒であるなら、休職後の身の振り方など考える必要が在ります。

休職に於ける手続き

休職する事を決定した後、2,3書類を準備しなければ成りません。

休職願 基本フォーマットは会社毎に用意されており、必要項目に記載し提出する
医師の診断書 掛り付けの医師に診断書作成を依頼し求めが在った場合に応じて会社に提出する。
傷病手当請求書 健康保険傷病手当金請求書
健康保険傷病手当金請求書提示の関連
  • 欠勤した月とその前月の出勤簿の提出。
  • 欠勤した月とその前月の賃金台帳(給与明細の写し)の提出
  • 最終回申請添付書類(欠勤最終日を含む賃金台帳の写し)提出

所轄の社会保険事務所や健康保険組合に休職中1カ月毎に提示が必要です。

この手当の支給は休職3日間を待機期間とし支給範囲から外され、実質4日目から支給開始されます。

支払い額の計算:標準報酬日額*60%*1カ月の日数[土日曜日も含む] 支払い日まで間、数日間空白期が在る場合は預金などで本人が工面する必要が在ります。

傷病手当付加金…上記に記した原則的な支払い額に対しての上乗せ手当の事です。
延長病症手当付加金…期限の1年6カ月を超過した場合でも支給される手当の事です。

請求満了日を超過した場合でも回復の目途が立たないケースでは一般的に就労規約により自動退職と成ります。
又社会保険に加入し一定の条件を満たせば自動退職後も最大1年6カ月は適応出来ます。
但し加入期間が2カ月~1年未満の様に短期の場合は新たに任意継続手続きをとり、本人自らが保健料金を支払う必要が在ります。

アルバイト・派遣社員の場合

派遣の場合、派遣元の会社が加入している福利・厚生内容が適応されます。
保険加入から1年以上経過したいた場合は、派遣元を離職後も給付対象に成されます。
1年未満の加入では離職後に任意手続きが必要に成ります。
本人自ら保険料の支払い有効期限は1年6カ月です。
又派遣元の規約によっては治療の復帰後就職活動を行っている場合は失業手当の対象に成る事がります。

アルバイトの場合の就労規定は企業側の裁量によって定められています。
企業保険(社会保険)に加入しているケース以外は国民保険の対象に成ります。
尚国民保険には傷病手当制度は在りません。

国民保険の負担額
①未就学児 2割負担
②小学生~70歳 3割負担
③70歳~74歳 2割負担
70~74歳の場合以下の条件により1割負担の場合が在ります。
①国保加入者の年収383万円未満
②世帯2人以上の場合で年収520万円未満
④75歳以上 1割負担
⑤高齢者で一定以上の所得者の場合 3割負担
同世帯内に住民課税所得が145万円以上で国保加入し且つ年齢70歳~74歳がいる場合。

復帰時期の見極め

鷹揚とした生活で体調が良好な状態であると自己判断していても、就寝時間の管理の不徹底、ある出来事に触発され焦り(イライラ)を感じる場合、特に朝に気が滅入る等の症状が在る場合は様子見する事が望まれます。
反対に軽い運動が出来る体力やその他生活上での自己管理が出来る様に成った時は検討する時期です。
尚、担当医など専門家の助言も必要です。

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