仮面うつ病の概要等について

仮面うつの概要

仮面うつ病とは定義上、うつ病の一種です。
しかし症状は自律神経失調症などと症状が重複し時折誤解される病気で、下記の臨床の具体的経過からも判る様に専門医の間でも混乱させられる症状です。
主な症状は倦怠感・不眠・頭痛・(手足の末端)しびれ・微熱で、この事柄から表面的には自律神経失調と略同じ内容に成ります。

(臨床例)
1.(患)諸症例から更年期障害と思い患者は病院で診察。
2.(医)往診した医師は患者の意見に沿い更年期症の投薬治療で様子見。
3.(患)患者の容態は改善せず。
4.(医)薬の増量などの方法で効き目を変更する。
5.(患)容態はむしろ悪化。
6.(医)他の病気を疑い自律神経失調症に症状が近い為この方向で治療変更。
7.(患)容態は同様で改善は見られない。
8.(医)再度症状を疑いうつ症状の可能性を探った。抗うつ剤の投与。
9.(患)全体的に症状改善が見られた。

※上記のケース以外でも貧血・低血糖 の様な症状とも誤診される事もあります。

仮面うつ病の社会的問題点

仮面うつ病が認知された事による悪影響は、医師側の対応に現れました。
極端な表現をすると、診断の結果、受診者の症状が良く分からない場合、安易にうつ病に仕立てる傾向が増加しました。
その結果、本来はうつ病では無い患者に抗うつ剤が投与される事に繋がりました。

従って抗うつ剤によるドーパミン分泌量の変化等、副作用のより症状はむしろ悪化した症例が増加傾向にありました。
尚今日でも、抗うつ剤への拒否反応を示した例は鬱病患者の内、約2、3割占めている事から関連が疑われます。

うつ病治療・対策

日本に於ける鬱病の2割程度の患者は原因が不明確(無自覚)でうつ病と診断されています。

又、鬱症状が明らかに現れているにも関わらず罹患潜在人口に対して1割程度の診療率に留まっているのが現状です。
加齢やストレスに伴い更年期障害、自立神経失調症の症状が慢性化し放置される事でうつ病へと進行し、慢性化した諸状態も継続・併発状態に置かれます。
この事柄は先に挙げた症例(仮面うつ病)の裏付けに成ります。
仮面うつ病も含め、うつ病が重症化は一般的に自傷も想定され精神科での受診及び治療が必用です。
予後に於いて社会復帰出来た場合であっても再発の可能性は残り、出来る範囲で生活習慣など、ストレス軽減に工夫が必要です。

新型うつ病・チェック

ここ最近に成って現れた新型うつ病とは特に若い世代20~30歳代で罹患するケースが多いのが特徴です。
暫定的に、うつ病の範疇に入れていますが、従来のうつ病と症状が少し異なります。
又新型うつ病にも3タイプ存在します。
尚、これらの症状は何れも基本的には症候群の扱いで(仮)の分類です。

ディステイア症候群 何時も不機嫌な気分に浸る。
自己中心的な症状。
困難から回避(依存症状)。
否定型うつ病 過食・過眠・倦怠感・人間関係に過敏。
(高機能)発達傷害型 無関心な事柄や他者の異論に対して忍耐力に乏しく、一方的な主張を行う。

新型うつ病の現状

専門家の間でも意見が割れ、一部では、単なる人格形成上の問題、つまり「甘え」「サボリ」の症状と一部主張されています。
従って新型に関しては明確な基準は定義されていないのが現状です。

チェックリスト

このリストの内容に相当する場合であった場合は、あくまで新型うつ病の罹患への可能性を示唆する物で、それ以上の大儀はありません。

  • ①親の離婚、虐待、過保護などを体験。
  • ②第二反抗期が皆無。子供の頃からいい子を装い演じてきた。
  • ③他人の言葉への過剰反応(注察念慮)し易い。
  • ④人間関係に過敏に成り、何時も他者の顔色を伺う癖がある。
  • ⑤不安症で人見知りで、不慣れな事に対してアガリ症。
  • ⑥自己主張はせず、能動的な行動を苦手にする。
  • ⑦協調性に乏しく自我が強い(プライドの保持)。
  • ⑧過去にイジメられた経験を有する。
  • ⑨過失に対して、自己反省の気持ちが乏しく、他者にその責任を向ける傾向が強い。

非定型うつ病

発症条件は新型うつ病と同様、10~30歳代と若年層に罹患する場合が多く、特にここ数年、女性の発症件数に顕著な伸びが確認されています。

又、新型うつ病同様、他の疾患と誤診される可能性が高いのも特徴です。

又、うつ特有の不眠症状や食欲不振が現れず、むしろ過眠傾向が強く、食欲は至って普通である事から罹患者が自己判断して受診機会を放置してしまった例も数多く見受けられます。
しかし在る程度症状が進行すると気分の起伏が激しく成り日常生活に影響を与える様に成ります。
この段階では専門医の指導の元、SSRI(セロトニン再接種阻害剤)など服用し治療する事が望まれています。

否定型うつ病と併発して起こる症状
①パニック障害
②社会不安障害
③境界性人格障害

非安型うつ病に以下の様に神経症性うつ病(お天気屋うつ病)と同一視される事があります。

神経症性うつ病(お天気屋うつ病)とは…

酷く沈み、屈折した心が何らかの些細な出来事にも感銘し陽気・快楽的に変化する症状です。
従って症状自体に持続性が乏しく元気に成った心も直ぐに沈んで行きます。
生活面では過食傾向気味で睡眠時間にムラが出ます。
原因に関しては環境的影響・遺伝的側面が双方に見られ明確な定義はされていません。

要因の一つとして第二反抗期を経験せず何らかの葛藤無くして成人し、その結果による遅延症状と分析する専門科います。
自尊心が高く不慣れな場面では過剰な緊張感に支配され、症状進行の度合いによっては対人恐怖症に至る可能性もあります。
自意識が高い反面、周囲へは過度な気配りで言動面では自発性に乏しいのが主な特徴です。

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